こんにちは。会津素子です。

成田市では、医学部新設への動きが急速に早まっています。
用地取得のための補正予算案、約23億円の用地取得案、そして用地を国際医療福祉大学に30年間無償貸与する案がスルリと市議会を通過。

不可解なのは、まだどこの大学が来るか分からないうちに、成田市と国際医療福祉大学が30年間タダ貸しの契約書を交わしたこと。
国家戦略特区は国のトップダウンで行なわれます。公募を出して大学を選定するのは、成田市ではなく国なのです。そして、まだ公募は始まってもいないのです! 
11月に校舎建設工事を始めたい成田市は、特別委員会の中で「たとえ事業者が決定されなくても、11月に着工します。」と、強気の姿勢。選定される大学は、国際医療福祉大学以外ありえないとのこと。東京オリンピックエンブレムもビックリの出来レースなのです。


なぜここまで成田市は建設を焦っているのか?それは、国が示した最短のスケジュール2017年4月開校に何としても間に合わせたいのです。安倍政権の大好きな言葉「世界最高水準」は、ここ医学部新設でも使われています。「最高水準の医療を提供できる『世界最高水準の国際医療拠点』をつくる」・・・だとしたら、じっくり時間をかける必要があるのではないでしょうか? 大慌てで良いものが造れるとは、とても思えません。
しかも、この医学部・付属病院は外国人の富裕層をターゲットとし、医療ツーリズムを狙っているのです。成田市が求める地域医療と、国が考えている医療ビジネスとは、まるで性格が異なるのです。

ここまで国主導で動くのだから、大学新設に必要なお金は国が面倒見るの? ・・・いいえ、それはありません。面倒を見るのは成田市なのです。医学部の用地取得に23億円、建設費160億円の半額80億円(?)、付属病院の用地10億円(?)、建設費20億円(?) ざっと計算しただけでも133億円。しかも(?)が付いている通り、建設費と付属病院に関しては具体的な負担額がハッキリしない。すでに成田市は、来年開学となる国際医療福祉大学看護学部・保健医療学部(公津の杜駅に建設中)に50億円を支出しています。つまり、市民が知らない間に成田市は具体的内容の乏しい一大学法人に183億円もの支出を行なうつもりなのです。
大学の言われるままにお金を出し続ける成田市は、「大学のATM」と揶揄されるようになってしまいました。

「市民が知らない間に」と書くと、成田市から反発が来るかもしれません。「自分たちはきちんと説明会を開催しました」と。その説明会は3回のみ。先日行なわれた成田全域住民対象の説明会の参加者は、わずか50名。公津の杜住民対象の説明会の参加者は約40名。成田市のカタチが大きく変わり、成田市の税金の流れが大きく変わる、成田空港以来の大事業についての説明会は、非常にささやかに行なわれたのでした。(そのような中、説明会まで足を運び市政に深い関心を寄せて下さる市民の皆さま、ありがとうございました。)

それもそのはず。説明会の告知期間があまりにも短く、告知方法もホームページや広報なりたの隅に慎ましく収まっていた程度だったため、説明会開催そのものについて知る市民がほとんどいなかったのです。しかし、成田市は参加者が少ない理由を「市民の理解が広まったから」と特別委員会で考察していました。松岡修造さんもビックリの超ポジティブ考察に、私は開いた口がふさがりませんでした。

こんな風にムチャクチャに進めている特区の中の医学部新設について、現在パブリックコメントの募集が行なわれています。
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大型公共事業により、成田市のツケは雪だるま式に増えています。そのツケを払うのは次世代の子どもたち。私たち大人は一度足を止めて、考え直す必要に迫られています。