2014年「時の鐘 大掃除」 | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

 

穏やかな天気、平日の落ち着いた川越の一番街。

見上げれば、今日も時の鐘はいつものように川越の街をどっしりと見守っていました。



一年に一度の大掃除。

年末恒例になっている川越蔵の会による時の鐘の大掃除を過日行いました。
川越のシンボル、時の鐘は

階段が足元にありますが普段は立ち入り禁止となっていて、

鐘楼は現在は電動により、6時、12時、15時、18時の一日四回打ち鳴らされています。

昭和の始めくらいまでは、

二階部分に鐘つき守の方が住み込みでいて、

定時に頂上の鐘楼部分に登って鐘をついていたそう。

確かに二階部分であれば、4畳半くらいの広さではありますが寝泊りできそうです。

 

年間600万人以上の観光客が来られる川越で、

川越に来たら一番街同様、時の鐘を見る事で川越に来たことを実感する代表的な場所。

川越の象徴的存在です。

なぜ、時の鐘が川越のシンボルと言われるのか??

「時の鐘」は、寛永4年から11年(1627~1634)の間に
川越城主酒井忠勝が、城下多賀町(いまの幸町)に建てたものが最初といわれています。
現在の鐘楼は、明治26年(1893)に起きた
川越大火の翌年に再建されたもの。
創建された江戸時代の初期から、
暮らしに欠かせない「時」を告げてきた川越の時計塔です。

高さは16メートル。

この辺りは土地が高い、高い所に建てることで遠くまで鐘の音が響き渡るよう計算されていたと思います。

 

当初は、時刻を知らせることで規則正しい生活を徹底させる目的がありましたが、

その存在感と鐘の音色は人々の生活になくてはならないものになっていった。

また、川越の街のほとんどが消失した明治の川越大火の後、

まっ先に建造して復興の象徴としたのが時の鐘でもありました。

時の鐘が再び建つことで、ここから再興していくんだと奮い立ち、

そびえ立つ雄姿が心の拠り所となっていたはず。川越の復興のシンボルだったのです。

そして火事を教訓に、耐火建築である蔵造りの建物が建ち並んでいきました。

今の人からしたら見慣れた時の鐘でも、

そこにあるのは悲惨な過去と立ち上がった人々の姿、平和な日常の願い、

単なる時計塔以上の想いがあの建物には込もっている。

そういう歴史に想いを馳せ、紐解くことも大事ではないかと思います。

時の鐘を掃除することはいろんな意味で感慨深く、掃除させていただくという意識があります。

川越の歴史を見つめ、人々に見つめられ、

変わらず在り続ける時の鐘が、川越のシンボルと言われるのは自然なことです。

 

平成8年に、時の鐘は環境庁主催の
「残したい“日本の音風景100選”」にも選ばれました。

時の鐘をくぐると薬師神社。昔から薬師講が盛んな神社で、眼に御利益があるとされています。


 

大掃除当日は、蔵の会会員の中で都合の合う会員が10人ほど集まり、

(蔵の会は川越のまちづくりを考える市民の団体です)
掃除は、時の鐘の内部を各階に分かれ、分担して掃除していきます。

川越のシンボルではありますが、時の鐘が掃除されるのは・・・

実は一年ぶり。そう、去年の年末に掃除して以来となります。

 

時の鐘は、2階、3階、4階の鐘楼部分からなる建物で、

上にいくほど室内は狭くなっていく。

決して大きな建物ではありませんが、狭い中で4階部分まであるので、

階段は必然的に梯子のような角度になる。

急階段から内部に入ってみると、薄暗い空間ですが、

小窓や壁の隙間から光が射し込み、灯りがなくてもまったく問題ありません。

 

 

おや?と思ったのが、去年ほど床に埃が溜まっていない。

去年ここに入った時には、一歩歩くだけで埃が立ち上がり、

埃によって斜めに差し込む光の筋がくっきり見えたのです。

壁のあちこちに隙間があるので、

外から埃などが入ってきても外に出ていかず、ここにどんどん溜まっていく。

それと比べると、今年は全然綺麗だった。

これから始まっていく時の鐘の耐震工事のために、

今年は事前調査が行われたので、その時に少しは掃除したのかもしれない、とのことでした。

 

外は寒さで手がかじかみますが、時の鐘の中は寒さが緩む。

そして、木の香りが充満していることも特徴で、

狭い空間四方に古い木が迫っているので、独特な香りがあります。

そして、

立派な梁が通っていても、足元を見ると、床の隙間から下の光が漏れてくるので、

内心ひやひやしながら足元を確かめるように踏み進みました。



 

会員がそれぞれ持参したのが、箒や塵取り、バケツ、雑巾などお掃除用具一式。
濡らした新聞紙を床に敷いて、埃を集めやすくする。

雑巾は何枚も持ち込みましたが、どれもすぐに真っ黒に。

去年より内部は綺麗といっても、本格的な掃除は一年ぶりなので、やはり埃は積もっています。


特に今年大活躍したのが、集塵機。
仕事で使っている集塵機を持ち寄ってくれた会員がいて、

これが今までの苦労がなんだったのかというくらい、すいすいゴミを吸い取ってくれました。

これからは集塵機がもう欠かせないかもしれません。



 

 

 

鐘楼の4階から集塵機で埃を吸い取っていき、

細かいところは濡らした雑巾で綺麗にし、

夜、鐘楼を照らすライト周辺も入念に拭いて綺麗にしていきました。

これで夜のライトアップがさらに綺麗になるかもしれません。

地上から見上げる鐘は小さく見えますが、

実際間近で見る鐘楼は巨大です。

鐘楼の真下に床を拭いている時に、ちょうど12時を迎えました。

12時といえば、鐘の鳴る時間。

頭の真上で鳴る鐘の音は、耳が遠くなるくらい大きな音。

地上で聞く風情とは違ってみんな掃除モードになっているので、

真上で鐘が鳴ろうが動じず、黙々と作業を進めます。

 

鐘楼から下りて、3階部分も集塵機が大活躍。

床に溜まった埃などをどんどん吸い込んでいってくれました。



(狭さが伝わるでしょうか)

 

手分けして行ったので小一時間ほどで終了しました。

毎年参加している方はさすが手際がいいです。

(時の鐘の掃除に慣れているというのも凄い話しですね(笑))

また学生会員も率先して頑張ってくれて、頼もしい限りです。

 

掃除道具一式と共に、地上に降りて今年の時の鐘の大掃除は終了となりました。

内部がピカピカに綺麗になって、時の鐘も心なしか喜んでいるように見えました!

これで、新年を迎えられる気持ちが整った感じです。

市民の手で川越のシンボルを大掃除できることが嬉しいです。

 

川越にはいろいろと古い建物がありますが、

旧鶴川座や川越織物市場など、積極的に関わることで、

眺めるだけから、自分たちの街の財産を身近なものに感じられるようになります。

 

最後に、時の鐘を見る、から、時の鐘から見る、とどうなるのか。

それはタイムスリップしたのような感覚になるので、

より川越の原風景、時の鐘を感じられます。感じてもらえれば幸いです♪

 

時の鐘を下から上がっていき、

西と東の小窓から外の風景を見てみました。

まずは西の小窓から。雲っているのは小窓がそれだけ雲っているんです。。。





 

そして東、一番街方面。


 

時の鐘は、これから耐震工事が始まるので、

来年の大掃除はどうなるか分かりませんが、

丈夫な建物になって、これからも末永く川越の街を見守って欲しいですね。。。♪


 

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