川越style「宵の市ミケネコに・・・クロミの奮闘」 『私も出てみたい!頑張る!』 | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真






2014年9月6日、川越の一番街のイベント宵の市。
通りのあちこちで催しが行われ盛り上がった一日でした。
音楽に雑貨にグルメに・・・
それから忘れてはいけないのが、あの子。。。
もちろん今月も表に現れてくれるはず。
期待を胸に中市本店さんに向かいました。

一番街の埼玉りそな銀行向かいにある中市本店さん。
炭火で焼き立てのねこまんま焼おにぎりを求める人で、この日も長蛇の列です。
その人気は衰えを知りません。

中市本店さんと宵の市といえば、そう、ミケ猫さん。
普段は中市さんの店奥で昼寝していますが、第一土曜になると表に出てきて
通行人に愛想を振りまき、列の整理をし、と大活躍する中市さんちの猫です。
その奮闘ぶりに以前密着しました。

ミケさんの宵の市への思い



7月の宵の市でミケさんが身に着けていたのはアロハシャツとククイナッツのネックレス。

ハワイに行った方からもらったアロハシャツは、

ミケさんにぴったりなサイズ。

とても大事しているんだ、と身振り手振りで教えてくれました。


宵の市に特別な思いを寄せるミケ猫さん。

 

ミケさんが初めて中市本店さんに登場したのが

 

2013年の6月の宵の市の時だった。

宵の市というイベントが始まってすぐくらいの時から毎月登場していて、

まさに宵の市と重なる歩みです。

 

そして、詳しいプロフィールを筆談で聞いてみると・・・

 

年は3才。生まれは川越、

というか河原で拾われ連れて帰ってくれたのが中市本店さんだったので、生まれは川越。

 

「中市さんには本当に感謝している。足を向けて寝られない」

 

 

と言っているのが分かりました。

 

そして、だんだんとある想いが芽生えて大きくなっていくのを感じたそうなんです。

「川越に恩返ししたい」。

 

生まれ育った川越という街に対し、中市本店さんに対し、感謝の気持ちを示したい。

 

自分に何かできることはないか?

ずっと考えてきたミケさん。

そうだ、二足歩行で手には看板を持ち、店頭に立てばいいんじゃないか。

そうすれば、お客さんに喜んでもらえるはず、と。

 

想いを中市さんに打ち明けたところ、

 

「やってみたらいいじゃないか」

と賛成してくれた。

初めて店頭に、川越に登場したのが宵の市の日で、

大事な記念日でもあります。

だから、

「特にこのイベントを自分は大事にしているんだ」

そう語っていました。


今月の登場の準備ももう終わってる頃だろう、と
中市さんの裏に向かうと、
ああ、いましたいました。
準備万端でこれから表に出ようとしている所でした。
鏡を見て毛繕いをし、夏服から秋の装いになり、服を正し、
今月もやる気満々な様子。

うん?
暗闇の中に黒い物体。
あれ・・・


二匹いる・・・!
もう一匹ちっちゃい黒猫が!
い、一体どういうことなのでしょう。。。

 

中市さんちに他に白猫がいるのは知ってましたが、黒猫がいるのは初耳です。
驚いているこちらを、

 

ミケ猫さんは得意顔になって筆談で教えてくれました。
「私の妹のクロミだよ。唯一の肉親なんだ」
と。

そういえばあの時・・・と、中市さんの言葉を思い出しました。

ミケさんと一緒にもう一匹連れて帰ってきた子がいるんだ、と。


その一匹がクロミでした。

 

 

引っ込み思案なクロミは、今までずっと人の目に触れることがありませんでしたが、
ある日突然、ミケさんにこう打ち明けたといいます。
スラスラ文字を書くミケさん。

 

 


「クロミがね、『自分も宵の市の時に中市さんの表に出たい』そう言ってきたんだ」

なんと、クロミが自分からやりたいと言い出した。

「でもこれは簡単なことじゃない。

人と触れあったことのない猫がいきなりできるはずがない。

裏で平和に昼寝してればいいじゃないか。

私はそう思って最初は大反対したんだ。でもクロミはどうしてもやりたいと言うんだ」

その熱意に負けて、よし、分かった、それなら一緒に出ようと決めた。
数ヶ月に及ぶ訓練の日々が始まりました。

「立ち方、歩き方、手の振り方、ポーズ、覚えなければならないことはたくさんある」

初めて経験することに最初は戸惑っていたクロミ。

立っているだけでも長い時間続けることは難しかった。

それでもクロミは、宵の市のあの舞台に登場することを夢見て、

必死に練習に励んできた。

 

そして、これなら大丈夫、とミケさんが確信し、
クロミ初登場となったのが

 

2014年7月26日、27日の川越百万灯夏まつりの二日間でした。

中市さんの店先で実現したミケ猫さんと小さなクロミの競演に

一番街はすぐに人だかりができた。
通行人ばかりでなく、一番街にお店を構える方々も様子を見にきていた。

 

けなげに手を振って頑張るクロミの姿に、
「あのクロミが頑張ってる」と
涙を流す人もいたといいます。
「街の人が温かく見守ってくれた」
とあの時の様子をミケさんは振り返ります。

二回目の登場となったのが8月2日。
いよいよ、クロミは待ちに待った宵の市初登場を果たしたのでした。

 


(手を振るクロミ)



(まだ慣れず看板を落としてしまうクロミ)

 

 

(二匹に囲まれて子どもたちは大喜び♪クロミ、決めポーズです)

 

着実に経験を重ね、人前に出ることにも馴染んできたクロミ。

 

そんな妹の姿に、目を細めて見守るミケさん。


あれから一ヶ月。

9月6日の宵の市にも二匹で登場しようとしていました。
よく見ると、二匹はピンクと青のスカーフを巻いてる。
ミケさんはニヤッと笑い、
「ふふふ、これ似合うだろう??秋のテイストを取り入れてみたんだ」

と筆談で伝えてくれ、さらに続けて、

「今日はある挑戦をクロミにさせようと思っているんだ」
と意味深なことを書きます。
ある挑戦??
それだけ書き残して、二匹は中市さんの表に出て行きました。。。



一番街は大勢の人が行き来し、香ばしい香りが漂う。

ねこまんま焼おにぎりを買おうとしている方が並んでいます。
クロミがぎこちなく表に出た。

通りから、「可愛いー!」という声が早速上がります。

が、しかし・・・ミケさんがいない。クロミしか表に出ていません。

ミケさんはどこにいったのでしょう。。。??

ふと、お店の奥を見ると・・・


 

奥に立ち止まり、表の様子を覗き込んでいる後ろ姿が。

 

そうです、今回の宵の市では

まずクロミを一人で立たせようと挑戦させていたのでした。

「もう二回も経験しているのだから、そろそろ独り立ちさせることも考えないと」

ミケさんはそう書きます。

それでも、

「自分が出るより緊張する」とソワソワするミケさん。

 

宵の市初、クロミ一人の挑戦が始まった。。。

 

「ちっちゃい猫ちゃんだ!」

駆け寄ってくる子どもたち。

「新しい猫だね」

大人も笑顔で振り返っています。

店先に出現した新しい猫ちゃんに、通りは騒然となる。

 

クロミは必死に手を振ったり、愛想良く接しています。

 

ただ、はやりまだどこか硬さが残る。
やきもきしながら、クロミの後姿を見守るミケさん。

「クロミ、一人で頑張るんだ」

可愛い妹には旅をさせろという気持ちで、妹を独り立ちさせるため厳しく接するミケさん。

 

しばらく見ていて、たまりかねたようにミケさんも表に飛び出していきました。

 

クロミ、よく頑張った!とねぎらいつつ、

こうやるんだよ、と見本を見せる。

 

 

 

「クロミ、看板は通行する方に見えやすいように持つんだ」

 

「そこに立つとお客さんの邪魔になってしまうよ」

「もっと手を振ろう」

ミケさんの熱血指導が始まりました。

そんな二人のやり取りをよそに、通りの方は

二匹の猫ちゃん登場という思いもよらぬ展開に大喜び。

「ニャンニャンが二匹いるよ!」

撮影会がスタートしていました。

 

さすがは対応が慣れているミケさん。

 

みなさんと親しげにスキンシップをはかります。



 

 




動きが硬かったクロミも、時間とともに緊張がほぐれ

お客さんに笑顔で接することができるようになっていきました。

 

たくさんの方と写真を撮り、行列の整理をし、中で食べてくださいと案内する。

 

二匹の猫はフル回転で動き回っていました。

中市さんの行列が一段落し、一息つく二匹の猫。
たくさんの方と写真を撮り、笑顔になってもらえた。クロミも雰囲気に慣れてきたようで、ミケさんも安心した様子でした。
おもむろに看板をテーブルに置き、
なにやら二匹で話をしています。
そして。。。
中市さんを離れて二匹で出かけていく。
どこに行くのでしょう??
気になるので後を着いて行ってみます!
二匹は仲良く手を繋ぎ、一番街をゆっくり歩き始める。




その姿に通りの人の目は釘付けになっていた。後を追いかける人に写真を撮る人、まるでスター登場のような騒然さ。
そんな回りの空気をよそに、
「クロミ、最近の一番街は新しいお店が増えてるんだよ」
「お兄ちゃん、ここにも新しいお店ができたんだね」
「そうだね、パターテのお菓子は美味しいんだよ」
「いいな!クロミ食べてみたい!」
「そうか!じゃあ帰りに買おうな」
「わぁい♪」
と、二匹の会話がジェスチャーで伝わりました。
そして、幸町駐車場で行われていた雑貨の『ぶらぶらマーケット』に到着。

「クロミ、ここは宵の市でお馴染みのぶらぶらマーケットだよ」
「へぇ!いろんなものが並んでいるね!」
初めて見るぶらぶらマーケットに興味津々なクロミ。
「ほら、ここはKIRICの雑貨が並んでいるね。KIRICはラオスで直接買い付けた人形がイチオシなんだ」
「お兄ちゃん、これも気になる!」
「ああ、それは工房千代さんの服だね。みんな手作りで作っているそうだよ」
「グルメ屋台もあるし、川越sunsetの音楽も聞こえてくるね」
「凄いなあ。いろんなものがあるんだね!」


と、マーケットの端まで来て二匹は立ち止まりました。




「ある」物に二匹の視線が止まる。
それを見つめて微動だにしません。
似てる・・・そう思ったんでしょう。
「お、お兄ちゃん・・・あれ・・・」
「そ、そうだな。。。似てるな」
それは、サニーサイドテラスさんのブースに置かれていたマットでした。
白いマットを見つめるミケさん、
黒いマットを見つめるクロミ。
「お兄ちゃん、クロミあれが欲しい!」
「ああ、お兄ちゃんも欲しいな。買っちゃおうか!」
「うん!!」
ミケさんは財布を取りだし、

サニーサイドテラスの佐々木さんに財布のチャックを開けてもらい、マットを買いました。
おつりも佐々木さんに財布にしまってもらい、記念写真をパチリ。



なんと、スカーフの色が一緒といった奇跡でした。。。!
気に入ったものが買えて大満足な二匹。
「まさか自分たちそっくりなマットがあるなんて、びっくりだったなあ」
「そうだね!早くこのマット使いたいな!」




再び手を繋いで一番街を歩いて中市さんに戻り、

店先に立つミケさんとクロミ。

途中喉が乾いたのか、

隣の河村屋さんで恒例の?ラムネ飲みを敢行。
またまた店員さんに財布を開いてもらい、お金を取り出してもらうミケさん。



(ラムネ飲んでます(*^o^*))


この日もいろんな人が一番街を訪れていた。
年代、性別問わず人気のある二匹の猫。




今では中市さんの看板猫を超えて、一番街のアイドル的な存在になっている。
これをボランティアでやっているのは本当に頭が下がります。。。
宵の市には、見返りを求めず、盛り上げたい、と特別な思いを寄せる人がたくさんいる。
まだちっちゃいクロミでさえ、宵の市に出てみたいと言い出すくらいです。

長時間立つのは難しいので、休み休み表に出るクロミ。
クロミはなぜ、人前に出たいと思ったのでしょうか。
裏で休んでいるところで聞きました。


「私が幼稚園だった頃、夏に花火を友達とやった時にミケさんが来てくれて楽しませてくれたの」
「それから卒園式の時にも来てくれて、

回りの子たちはみんな凄い喜んでいた。あんな風に人を楽しませられたらいいなって」

ミケさんが人を楽しませて笑顔にする場を見てきたクロミ。
そんな後ろ姿に、「尊敬する」と話し、憧れるようになっていく。
いつしか、自分も立ちたい、という思いが膨らんでいった。

ある月の宵の市の時のことだった。
いつものようにミケさんは中市さんの店先に立ち、通りを笑顔にしていく。
ねこまんま焼おにぎりも完売し、裏に引き上げてきた時に・・・クロミは言った。
「私も出てみたい」。

ミケさんは、

クロミは楽しい部分しか見ていない、これは想像以上に大変なんだ、と始めは反対しましたが、
クロミの思いは日に日に増すばかりだった。
ミケネコさんはその熱意に負けて、表に出ることを了承。

二匹三脚の訓練の日々が始まったのでした。

 

その話しを聞いた中市さんは、

 

クロミのデビューを応援しようと、入店証を制作してそっと渡した。


そして、

2014年7月に無事にデビューしてから着々と前に進むクロミ。
まだまだ動きはぎこちないですが、

ミケさんの後を追って、立派な看板猫になるために頑張っています。


9月の宵の市も夕方を迎え。
中市さんのねこまんま焼おにぎりはこの日も好調でした。

落ち着いてきた時に再び二匹は一番街をお散歩に行こうとしていた。
その前に、「ちょっと着替えてくる」と書き残し、

一旦裏に戻り、なにやらごそごそやっています。

表に戻ってきたその姿は・・・ああ、そういうことですか♪

二匹の猫は「それ」を着て、手を繋いでお店から出かけていきました。

中市さんの近くの角を曲がり、歩いていく。

辿り着いたのは、ウィーン料理でお馴染みのMieCoco(ミーココ)でした。

 

外から店内を覗き込む二匹。

 

気付いたMieCocoのかよさんが外に出てきました。

そして、誇らしげにかよさんに見せたのがTシャツだった。




MieCcco特製Tシャツを購入したミケさんとクロミ。(実際にお店で販売しています)

着たところをかよさんに見せたい、と

ここまで見せにやって来たのでした♪


この日もやりきった二匹の猫。

中市さんの裏に戻った二匹の猫は、

今月は凄く暑かったと振り返り、

「みんながちょうど良いと思う気候が、猫には一番大変なんだ」

真夏の7月、8月よりきつかったと言います。

 

「クロミ、今日はよく頑張ったな!心配になる時もあったけど、よくやったと思う」

 

 

ミケさんは、クロミの奮闘をしみじみと称えていました。

 

中市さんちの二匹の猫。

普段はお店の奥で昼寝している二匹ですが、

宵の市の時にだけ、すくっと表に出現し愛想を振りまく。

いつも会えるわけではないけれど、

会えたらきっといいことあるはずです♪




 

2014年9月の宵の市もいろんなドラマがあって幕を閉じました。

 

本当に宵の市はドラマが多いイベント。

 

きっとまた、あの二匹は戻ってくる。

10月の宵の市はお休みするそうですが、

別に、ハロウィーンにちなんだ登場もあるかもと書いていました。

 

クロミの成長を見守りつつ、

 

二匹のこれからをお楽しみに。。。♪


 

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

 

 

あれから数日。

 

 

なんと、クロミからラブレターをもらってしまいました(*^o^*)

 

クロミありがとう♪


 

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