川越style「手づくり食市in川越織物市場2014」 | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
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川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

 

「こういう活用の仕方が、未来に向けて夢を持つことができる」

 

 

2棟の長屋に挟まれて、居るだけでタイムスリップするような

 

独特な空気感の場所。

落ち着いた穏やかな時間の中、

美味しいものを食べながら、建物を見上げました。

「こういう使い方が最高だな」

同時に、大切に残そうとしてきた、残そうしている会の皆さんに、

感謝とともに頭が下がる思いです。。。、

 

『月に一度の公開日には、そんなに人は来ないけど、

 

今日はこんなに来てくれた』

 

織物市場の会の方は、感慨深げに

 

オープンスペースで寛ぐ方々を見つめながら話していました。

 

 

2013年11月16日、17日に行われた

 

 

アートクラフト手でくり市in川越織物市場。

この場所でしか醸せない雰囲気のイベントは、

他では味わえないものだとみんなが分かっていました。

凄く楽しかった!ぜひまたやって欲しい!

この場所に浸った時間を振り返って、数ヶ月経っても

多くの方が目をキラキラさせて織物市場を語る姿がありました。

 

あれから半年近く。

 

 

待ち望んだイベントが帰ってきました。

 

前回はクラフト市、

そして今回は食にこだわった市。

川越織物市場の会が主体となって開催したのが、

2014年4月27日川越織物市場で行われた

「手づくり食市in織物市場」です。


前回も今回も、一貫してこだわったのは

大事に手づくりされたものであること。

手が生み出す織物を扱っていた場所で、

今、手が生み出す美味しいものが集まったハレの日を作ろうとしていました。

 

必死に残そうとしてきた建物の下で、

 

こだわりの食がより美味しくなる、

こだわりの食があるから、

建物を大事に思うようになる。

お互いが相乗的に。大切なものを確認できる日となりました。

 

川越織物市場へは、

大正浪漫夢通りから大野洋品店から東へ曲がります。

蓮馨寺から真っ直ぐ伸びる立門前通り沿いにあります。

(ちょうど今、大正浪漫夢通りの空を

塗り絵鯉のぼりが大漁に泳いでいます♪)

 

雑貨のsakuさんを越え、さらに進んでいくと、

 

一際古い二階建ての建物が現れます。

ここが川越織物市場、のように見えますが、まだここは入口。

 

 

 

建物の脇の細道に、人が次から次へ入っていきます。

 

普段は立ち入り禁止の建物ですが、この日はハレの日。

普段は、織物市場の会の方が月に一度、建物の公開日を設けています。

奥に進むごとにタイムスリップしていく。。。

 

砂利道を踏みしめて行く前に、

 

ぜひ、上のこの建物のありさまを目に焼き付いておいてください。

川越織物市場も、昨年には、川越市が正式に所有権を取得し、

2019年までに修復・新たな形での供用開始をめざし、

今年度から保存再生に向けての動きが具体化していきます。


現在は市の指定文化財となりました。

 

今回が、修復開始前の最後の、

 

活用実験となる可能性があります。

 

入口の建物が、イベントで使われるのは今回が最後かもしれない。

 

夏から始まる工事の中で、

上の建物は取り壊され、この場所はトイレ、自転車置き場となるそう。


道を進むと、テーブル・椅子が並べられ、

普段の静かな様子とは違う

ハレの日らしい賑やかさがありました♪


 

左に見える建物が栄養食配給所。

 

昔この周辺にあった製紙会社の機織工さんに、

お弁当を作って配っていた場所だそうです。

今でいう給食センターのような場所。

貴重な建物がそのまま残り、連なります。

だんだんと空気感がしっとり深まっていく。


この栄養食配給所も、これから復元調査が始まります。

 

 

かつて食べ物を作っていた建物の前で今、

 

 

BREADMANが美味しいパンを焼いて提供している対比がいいですね♪


 


 


 

BREADMANは、川越市駅近くにあるパン屋さん。

 

クリームチーズを合わせたグラノーラがイチオシとのこと(*^o^*)

 

さらに進むと、

 

赤いワーゲンバスのハンバーガーMilesAwayが待っています。

(この日のための限定バーガーを用意!)

建てられた当時からある石の上に座って頬張る子どもたちの姿。

曲がった先に広がるのが、

明治に建てられた川越織物市場の建物です。


 


 

 


 

 


 

 

手づくり市in川越織物市場2014。

 

川越及びその周辺の、

有機野菜や天然酵母パン屋さん、焼き菓子、お茶、コーヒー・紅茶、

ピザ、タコス、ハンバーガーなどの、

手づくりの食べ物が集まり、楽しい、市場空間を創造し、

旧川越織物市場の空間の活用実験を行おうというものです。

 

川越織物市場は、

 

明治に建てられた当時のまま完全な形で残る全国唯一の建物です。

2棟の長屋が向かい合わせに建ち、

醸し出す独特な空気感は、やはりここが特別な場所だと感じさせてくれます。


穏やかな雰囲気に、心臓の鼓動がゆったりとしてきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

川越ベーカリー楽楽です♪

 

建物の軒下にお店が並び、

 

オープンスペースにはベンチが置かれ、ゆっくり過ごせる雰囲気。

 

居るだけでタイムスリップしてしまうようです。

 

落ち着いた時間が流れ、

いつまでもこの場に浸っていたい気持ちになります。

 

この建物があるだけで、流れる時間がこんなにも変わる。

 

古い建物が生み出す時間は、街にとって絶対必要なもの、

大事なものを理解して、守ろうとするのが川越市民です。

織物を取引していたかつての建物で、

大事に手作りされた食べ物が並ぶ光景は素敵です。。。

 


 

河越茶 」を使用したほうじ茶、河越抹茶ラテ。

 

 


 

 

「Pizza!Pizza!Pizza!」のマルゲリータ。

 


 

焼き菓子の「野里」。

 



自家焙煎珈琲「Tango」。

 

 



「はとふら」のジャム。
 

 

手づくり食市の話しが出たのが、なんと2014年になってから。

わずか3ヶ月の間にこの市開催までこぎつけました。

運営に携わる草野さんは、

前回のクラフト市同様、この食市にも同じ想いがあります。

 

「手づくりにこだわる若い人に出てもらいたかった。
川越全体がどうしたら上手くいくのかなって考えた時に、

 

ここ(織物市場)には全部で11所帯があって、

一つ一つのブースに若い作家さんに入って頂いて、

アーティストinレジデンスとしてやっていただく。


川越でやっているチャレンジショップみたいな、

チャレンジ工房をここでやっていく提案をしています。

ここに作家さんに住んでもらって、
普段の静かな日常がありつつ、
時にこのようなハレのイベントが行われる二つの顔があるといいと思うんです。
そうすればこの織物市場も活きてくるんじゃないかと思います」

建物を生かしていくには日常とハレの日をともに大事にしていく。

草野さんが、「二人がいなかったら実現しなかった」と語るのはソコノワ。
 

今回、この場所にこだわりの手づくりの方々に出店の呼びかけを行った

『ソコノワ』の二人。


ここに出店する半分くらいはソコノワさん繋がりの方々で、
前回のクラフト市同様、運営を支えています。

 

「いろんな食べ物が集まるのはなかなかない機会。クラフト市と合わせて協力していきたいです」

そして、会場でずっと動き回ってイベントの運営を支えていた

 

川越織物市場の会の方々。

 

「署名運動の時はみんな必死だった。

 

取り壊されないように、昼間は女性が、夜は男性がここに泊り込んで見張っていたんだよ」

 

『あの当時』のことを、そう振り返ります。

 

当時、建物を残そうと活動していた生き証人のような方々が、

今も会にいて、多く人で賑わうこの日の手づくり食市の裏側で、
自転車整理にゴミ掃除にと支えていました。


手づくりにこだわる若い人を応援したい、
こういう機会が上の世代の方々のメッセージであることを受け止めたいです。

 

 

残った建物と、並んだ手づくりの食べ物たち。

 

 

この昔の今の対比に胸が熱くなります。。。

 

改めてになりますが、川越織物市場、

 

この建物のことを考えたいと思います。。。


川越織物市場は、明治43年に開場。

織物の問屋、取引所として、月に6回ほどここで定期市が開かれていました。

 

 

 

大正8年に市場としての機能を終了しますが、

ここから歴史の荒波に揉まれます。

その後は長屋として住居として使われます。

今で言う・・・アパートです。

11所帯あった。

取引所としての建物だけど、

当時としては近代的で立派なアパートだったんではないでしょうか。

 

平成になるまで、ここに人が住んでいたそう。全部の部屋が埋まっていたそう。

 


 

 

 

 

 

織物市場が盛んな地域、例えば

 

桐生や秩父、八王子、足利でも

同じような織物市場が建てられました。

しかし、

完全なそのままの形で残っているのは川越だけだそう。

窓も木戸も明治に建てられた当時のままです。

 

取り壊しの話が出ても、人が住んでいるからできず、

 

この形が残った側面があります。

 

そしてその後、時を経て

 

この建物は、さらにさらに激動の波にさらされます。。。




2001.11.02 旧織物市場を解体し、マンションを建設する計画が発表される


2001.11.03 「旧川越織物市場の保存再生を考える会」が設立


2001.11.10 署名運動を開始したことが新聞各紙で報道


2001.11.29 保存を求める陳情署名13449名分を川越市に提出

(最終署名者数は20314名となり、翌年一月末に川越市に提出)


2001.12.08 マンション業者と地域住民の初会合

マンション業者側に織物市場の文化財としての価値を説明


2001.12.14 織物市場「敷地」について、川越市が地権者との間で

売買予約契約を締結し、仮登記


2001.12.17-18 川越市の委託を受けた協同組合伝統技法研究会による

建物現地調査(→旧織物市場の文化財的価値が確認される)


2001.12.19 さいたま地裁川越支部、市場棟解体禁止で仮処分

監視のための泊り込みを開始(翌年6月まで)


2002.03.23 講演会「川越織物市場 文化遺産とまちづくり」を開催


2002.04.24 織物市場の本来の所有者(川越織物工業小組合)によって、

処分禁止仮処分がなされ、建物の取壊しが法的に不可能に。


2002.04.28 川越市制施行80周年記念事業の「小江戸DEモード」において

「小江戸ベストマッチ団体賞」を受賞


2002.08.22 川越市と、川越織物市場の場所にマンション建築予定業者との間に

事実上の合意が成立。川越市土地開発公社は、8月22日、理事会を開催し、

土地を買収する議案を可決。


2002.11.14 川越市・川越市土地開発公社が旧川越市織物市場のマンション建設予定業者との間で、

川越市土地開発公社が敷地を購入し、建物はすべて川越市が寄付を受ける旨の契約を締結


2002.11.20 旧川越織物市場の建物の所有権に関する訴訟は、

本日、すべて和解により終了

 

 

時系列で追うと想像しにくいですが、

 

突如発表されたマンション計画に、

市民がすぐに立ち上がって保存のために活動を始めました。


川越織物市場の会の方々は振り返ります。
「取り壊されると知って、残さなきゃ!」
と使命感のような気持ちから動き出した。

完全な形で残る織物市場は全国でここしかない。
その意味を理解している方が川越にはたくさんいて、
運動を起こすとすぐにたくさん集まるのが川越。

「署名活動は、一番街に各自治会など市内各地で行いました」

署名集めるのはあくまでスタートで、
裁判で最終的に決着することができました。

 

 

 

 

 

 

川越にいると、

今ここにあるものは、かつて必死に守ろうと動いた人たちがいること、

そういう話にたくさん出会います。

織物市場から受け取るのは、

素敵なイベントだね、だけでなく、背景を知る事なんだと思います。

今も残る建物の背景が川越市民にとって大事だし、

川越市民なら理解してくれるはず。

 

かつて動いた人がいること、

 

その話しや想いを自分たちが受け継いで、回りに伝え当時の話しを共有したいです。

 

建物で楽しめる今の自分は、多くの人に生かされてここにあるということ。

 

そして、建物も、そこで食べる食べ物も大事に思えてきます。

 

 

「COUCOU」のマフィン。

 



「WACCI」のパン。

 



 

この場所で、

 

実際に手を使って

提供してくれるものがたくさんあったことが嬉しいです。

「紅茶の時間」で、ハチミツに漬けた桜の花びらに紅茶を注ぐ、

桜花茶をいただきました♪

 

 

 





 

 

紅茶の時間さんは、前回のクラフト市に続いての手づくり食市出店。

 

桜の季節が終わっても、春の余韻を楽しめる紅茶でした。


細かいところまでこだわった紅茶をいただきながら、建物を見上げ、ゆったりした時間に浸る。
肩の力が抜けて、脱力していく気持ち良さがありました。

 

 

手づくり食市in川越織物市場。

 

 

落ち着いた雰囲気は、この建物でしか味わえないものだと思います。
この建物があって、
ゆったりした時間が流れ、
穏やかな気持ちになり、
普段の生活にゆとりを感じられるようになる。
建物は、人を変える。
それを分かっている人が昔から川越にはたくさんいて、
今の川越の街並みがあると実感します。
 

今の状態でのイベントはこれが最後で、

これから入口の工事が始まり、

今より少し形が変わりつつ、利用しやすいものになっていくことを願います♪

 

夏には夕涼み会、秋にはまたアートクラフト手づくり市、

 

織物市場を残すだけでなく、活用していこうと、

さまざまな計画が予定されています。

 

ここに来れば、大事なものを取り戻せる、

 

手づくりにこだわったものと出会い、日常が少し豊かになる。

一つのパン、

心のオアシスとして、市民で守っていきたい場所です。。。♪

 

また次回楽しみにしています!

 

 



川越織物市場の会の方が、
建物を見渡しながら話しました。

「織物市場のすぐ北には時の鐘がある。
一番街はすぐそこで、喜多院にも近い。
ここが中継地点として、川越の各地を結べたらいいですね」

散策の合間、中継地点としてここで
手作りのこだわりのクッキーを食べたりする。
ハレの日だけでなく、
それが日常になるといいなと思います。。。♪