変酋長の小部屋 PART#9 | コオロギ養殖のブログ(レトロPCルーム)

変酋長の小部屋 PART#9

月刊電脳倶楽部編集長(株式会社満開製作所の社長)
であった祝一平氏(ペンネームね。本名は伏せておきます。)が
電脳倶楽部内で「変酋長の小部屋」というコーナーを持っていました。
(個人的に)今読んでも面白いもの(今読むから面白いもの)を抜粋しました

X68_DCp92

以下「電脳倶楽部 第92号(1996/1号) の『変酋長の小部屋』」より抜粋

某月某日

 さぁて『NINTENDO 64』である。11月にはお目見えで、
今年中には発売開始の予定を、「恒例通り破って」来年4月の発売だそ
うである。というわけで、太陰暦や、イスラム暦みたいに「任天堂暦」
なんてのを作ってみようかな? つまりだな、西暦の1996年4月が、
任天堂暦では95年12月なのだな。がはっはっ。山ちゃんたら、ホン
トお茶目なんだから、もう、やっだぁ~。

某月某日

 聞くところによると、11月23日の0時に「日本がバージョンアッ
プ」されたらしい。んでもって、秋葉原のカウントダンウンには甘酒だ
けを目当てにした野次馬も含めて3,000人ぐらいが押し寄せたんだっ
て。で、売れた内の80%が98用のWin95だったとか。
 ということは、日電がサクラの秘密指令を出したのか、それとも98
ユーザーは(ピー)なのか? なんともかんとも困ったご時勢である。

某月某日

 だはははは。FMV-TOWNSの登場である。さっそく一般人の振
りをして富士通に問い合わせる。結論=「DOS/VマシンにTOWN
S OSを移植しただけ」。すなわち、ハードを叩いてTOWNS本来
の機能を使うようなソフトはほとんど動かないらしい。ナハッ、ナハッ、
ナハハッ!!

某月某日

 あのー、勝手なお願いなんですけど、ZAURUSにGPSを組み込
んでいただけませんか? いや、実は私は母親からモロに方向音痴の遺
伝(農耕民族系ですな)を受け継いでいるので、初めての場所なら確実
に、何度か行った場所でもほぼ確実に道に迷うんです。基本的に私の脳
味噌の中の羅針盤は完全に壊れていて、車を運転していて道に迷うと、
ほとんど必ず東西南北を逆に判断します。歩いている時は、晴れている
昼間なら太陽の方向で多少は見当がつきますが、夜や曇の日は完全にア
ウト。というわけで、全国数百万人の方向音痴のために、多少高くて大
きくて重くてもいいので作って下さい。現在でもポータブルなGPSは
ありますが、あれはやはりちょっと大きすぎて恥ずかしい。というわけ
で、よろしくお願いします。
(だけど、私は電波の届かない地下街でも道に迷うんだよなぁ…。けっ
こう良く行ってる池袋の地下でも、大体を把握するのに3年かかった。
3年もかけて「大体」なんです…。)

某月某日

 『Oh!X』が休刊になって思う。
 Macはアート(芸術)的にクリエイティブな人のためのマシンであ
るのに対し、X680x0はテクニック(技術)的にクリエイティブな
人のためのマシンである。それは、ハードウェアもソフトウェアも含め
た設計思想の根本的な違いである。だから、他のマシンのCPUパワー
がどんなに大きくなっても、周辺機器やソフトの性能がどんなに高くなっ
ても、やはりX680x0は世界で唯一の名機なのだ。
 で、それ以外のマシンはどうかというと、ま、いちがいには言えない
が、CONFIGファイルの中の一行を変更することさえできないユー
ザーが多いらしいので、大部分のユーザーはいかなる面でもクリエイティ
ブとは言い難いと思う(もちろん例外もあるだろうが)。
 そんな事を考えながら、「ではどうすべきか?」を目下のところ模索
している最中。近々、その野望の片鱗をお味見していただく予定。乞う
ご期待。では、また来月。


X68_DCp93

以下「電脳倶楽部 第93号(1996/2号) の『変酋長の小部屋』」より抜粋

某月某日

 日本のソフトウェアの「脱98専用」が進みつつある。古いソフトは
相変わらずだが、新作はウインドウズ用に書かれているケースが多い。
最近満開製作所でも回路設計用のCADソフト(安いやつ)を買ったの
だが、その組み合わせが、「CADは98専用」「それで作ったデータ
の出力はウインドウズで」となっている。おそらくは、先に作られた
「CADは98専用」の方が、現在ウインドウズ用に改訂されている最
中なのではないかと推察する。
 まあ、世の趨勢からして「98」という、一頃ブイブイ言わせてた
「標準」は、もはや「NECのウインドウズ用マシンの型番」と同じぐ
らいの意味しか持ってない。なんせ、ウインドウズ用アクセラレータを
標準装備していない98なんて、「プイ」の状況だからなぁ。私は96
年中に、98がDOS/Vと合体すると予測しているのだが、はてさて。
この前も、98にWin95をインストールするのに、結構ドタバタが
あったそうである。そうなんだよな。世界的に見りゃ、「98」なんて
ドマイナーなんだよな。さて、NECのメンツと打算はいかに? 

某月某日

 業界新聞によれば、ビル・ゲイツの子供が5月下旬に出産予定らしい。
半分笑い話だが、「ビル・ゲイツに3人以上の優秀な子供ができたら、
コンピュータ業界は崩壊する」そうだ。ぜひともフォード2世(引き合
いに出してごめんなさい)みたいな「ぼんぼん」に育っていただきたい
と、心から願う。さもなきゃ、とてもぢゃないが「30年後」を怖くて
想像できないよぉ。ぷるぷるぷる。

某月某日

 なんて言ってる中、1996年2月1日の予定で電脳倶楽部のCD版
を発売予定。何枚売れるやら、結果の評判はどうだかで、ドキドキハラ
ハラ。そのせいもあってか、体温は平熱より1度4分も高く、この調子
だと夢の38度台を目指して爆進中。ああ、おねげえですだ、読者の皆
はん、CD-ROMドライブを装備しとくれやす。あんじょうよろしゅ
うたのんまっせ。

某月某日

 以前2倍速のCD-ROMドライブが価格崩壊しているという事を書
いたと思うが、それは徐々に4倍速にも及んでいる気配。各メーカーは
6倍速、さらにはその上を狙っての熾烈な開発競争かな? 理論的な限
界値はワカランが、CDのメディアって結局はプレス機でタイヤキ方式
で作っている関係上、けっこう欠陥(歪み、中心ずれ、ピットの欠陥等)
があるのね。しかも「線速度一定」だから、内周と外周で回転速度が異
なる。よって、ランダムアクセスでもパフォーマンスを保とうとすると、
モーターの性能やヘッドのトラッキング能力が過酷になってくるのであ
る。ましてや、音楽CDなら「誤り訂正符号」を越えるエラーが出ても、
テキトーにゴマかしたり、最悪の場合、「音飛び」でもなんとかなるが、
CD-ROMの場合はシャレになんねえからなぁ。
 というわけで、8倍速が出るか出ないかあたりで「CD-ROMも読
めるDVD-ROMドライブ」で「中じめ」ってところか。その後は
「書き込めるDVD」の競争に突入か? でも、そうなるとデジタルで
のコピーが…。ううむ、パソコン周辺機業界波高し。

某月某日

 そうなのです。問題はデジタルのコピーなのです。
 最近デジタルのビデオカメラ(テープ幅が約6mmのやつね)があち
こちから発売されているが、どっこいカメラばっかりで「据置型」がな
い。また、カメラの方も、某メーカーの1機種を除いて「デジタル入出
力」が無いらしい。つまり、基本的にデジタル←→デジタルの編集がで
きないのだ。ここら辺は映像(映画)業界あたりと、しばらくモメそう
な感じだなあ。DATの時は「1回だけよ~ん」で済んだが、ビデオの
編集ということを考えると、「1回だけ? それじゃ使えないよ」だも
んな。さらにDVDが絡んで、あーたらこーたら。
          ウッキー! 
 ああ、著作権ってなんだろう。もしかしてガラスの城か?

某月某日

 最近編集部内で『ときメモ』が流行っていることはご承知の事と思う。
で、先日、ちょっとためしに「『ときメモ』って、やらせてくれるの?」
と聞いてみたら、某君は「なんや、このエロおっさん!」という、氷の
ような視線を私に浴びせた。予想どおりの反応。クスクス。でもって、
結局『ときメモ』って、手もつながないという、「プラトニックラブ・
シミュレーションゲーム」なのね(「おんぶ」はあるらしい)。
 そして、「『ときメモ』をプレイしていない人は、『ときメモ』につ
いて語る資格はないんです!」とか力んじゃって、もうタイヘン。どう
やら、みんなの頭の中は「らぶらぶ状態」なのだ。がはははは。
 そいでもって私であるが、親の遺言で「『ときメモ』だけはするな」
と言われてるので、やんないのである(でも、始めたらきっとハマるだ
ろうなぁ)。

某月某日

 『Oh!X』の休刊にともなって、満開製作所を心配して下さる方が
結構いらっしゃる。実にありがたいことです。それでは、
          心配するなら、カネ送れ 
なんちゃって。では、お時間もよろしいようで。テケ・テンテンテン♪。


X68_DCp94

以下「電脳倶楽部 第94号(1996/3号) の『変酋長の小部屋』」より抜粋

某月某日

 販売高は増えたが、値引きし過ぎで昨年の10月~12月の決算が赤
字になり、経営不振がささやかれていたApple本社であるが、CE
Oが「再建屋」に変わって、とりあえずは売られる事は無くなった様で
ある(ワークステーションのSUNが買い手の有力候補だったそうな)。
さて、ちょっと調べたいこともあって、Macの専門誌(『MAC P
OWER』)を買ってみたら、ギャハハなコーナーを発見。毎月お題目
が変わるらしいのだが、私の買った号での題目は「私がAppleの社
長だったら」と、なかなかその筋。で、そこで気を吐いている読者の声
を(ちょっと意訳、簡略化等して)引用させてもらうと、「MacOS
をIntelのCPUに移植して、Windows95とMacOSの
どちらが良いか一目でわからせる」、「10万円以下のMacを出せ」、
「すべての純正モニターをトリニトロン管に戻す」、「任天堂と組んで
‘すーぱーまっく’を開発する」等々。
 電脳倶楽部で、「私がSHARPの社長だったら」なんてお題目で同
じ事をやったら…。ぷるぷるぷる。絶対やんねーぞ。書いてきても絶対
載せねーぞ。

某月某日

 3月16日発売の『ゲームラボ』に乱入の予定。定期購読者はノルマ
として一人3冊以上を買うべし(ウソ)。でも乱入は本当だよ~ん。そ
のうちX68k関係のページを増やして、最後には…。
 「ふっふっふっ。祝屋、おぬしも悪よのうぉ。」
 「いえいえ、とうていゲイツ会長様にはかないませぬ。」(グサッ)

某月某日

 満開製作所はその野望の一貫として、秘密裏に『電脳倶楽部』の商標
登録化を進めていた。その結果、昨年12月に公告されたのである。し
かも、東映ビデオの『V CINEMA:ブイシネマ』と同じページと
いう光栄なオマケ付きである。
 「ふっふっふっ。祝屋、おぬしも悪よのうぉ。」
 「いえいえ、とうてい山内社長様にはかないませぬ。」(グサッ)

某月某日

 今月の「諸評無情」にも紹介してあるのだが、見事に「私が待ってい
た本」とも言える『The Bill Gates Jokebook Volume1/Volume2』で
ある。さっそく出版元の、株式会社ビレッジセンター出版局に電話で注
文した。今月の電脳倶楽部がお手元に届く頃には、私はギャハハしてい
るであろう。ここで株式会社ビレッジセンター出版局の電話番号を書い
ても良いのだが、やはり差し控えておく。本屋で同社の本を見つけるか、
NTTに104して聞くが良い。ちなみに、同社は東京都千代田区であ
る。で、「本屋に注文する」という手もあるのだが、その場合は、「で
きるだけ大きな流行っている本屋」に頼むこと。たぶん今もシステムは
変わってないと思うのだが、出版の流通では、「その本屋からの注文が
一定の数以上にならないと、たとえ何ヶ月たとうが配送しない」という、
ワンダホーな商習慣があるらしいのだ。だから、近くに大きな本屋が無
い場合は、直接出版社に問い合わせるか、「本の宅急便」等を使うのが
安全&確実。出版の流通は、掟無用のジャングルなのだ。

某月某日

 でもって、『The Bill Gates Jokebook Volume1/Volume2』の中の
「」であるが、私の使っている MicroEMACS のバージョンでは半角2
バイト文字をサポートしてないので、ゲロゲロであった。
 しかし、(エッヘン)雷語はちゃんと対応してるので、問題無し。ま
あ、半角2バイト文字を使うという機会はほとんど無いが、やはり今回
のような場合では重要である(だって、「」自体がジョークだもんな)。
 それはさておき、雷語のバージョンは現在1.45。そろそろα版に
せねば。

某月某日

 先日、桑野氏の家に遊びに行った。その筋な打ち合わせの後、宴会モ
ードに入ったのだが、その時面白い物を見せてくれた。なんでも、桑野
氏が書いた記事が転載されたとかいう、台湾版の「トランジスタ技術」
みたいな本である。ただ、台湾はまだまだ発展途上なので(とはいって
も、世界のパソコンの80%が台湾製だとか)、「トランジスタ技術」
ほどは特化しておらず、総合的な電機関係の雑誌みたいな本である。
 でもって、大陸(中華人民共和国)では、漢字の簡略化が行われて、
日本人には「?」な文字が結構あるが、台湾(中華民国)ではその様な
簡略化が行われてない(実は、ヘタに大陸製の簡略漢字を使ったりする
と、ナニな方面からナニな人物と疑われかねないそうである)。だもん
で、その雑誌は結構なんとなく意味が分かるので、広告等を見ていると
なかなか楽しい。そこで発見した事実。マウスは中国語では「滑鼠」な
のだ。うむうむ、確かに机の上を滑るからなぁ。思わず定期購読したく
なる一冊であった。
END