総選挙の最大の争点は原発?消費税?TPP?外交・安保?_02_(後半) | Hidy der Grosseのブログ

総選挙の最大の争点は原発?消費税?TPP?外交・安保?_02_(後半)

02 (前半)

http://ameblo.jp/konrad-nachtigall/entry-11426033800.html

 

さて、「原発維持派の政党に対抗するには、最も確固としたな脱原発派の政党を以てすべし」とはいっても、その政党に入れた票が議席に結び付かなければ、Bさんの思いは無駄になってしまいます。   けれども幸いなことに、比例代表選挙では、比較的小さい党に託した票も死票にはならないので、Bさんは「比例代表では『再稼働No。 全原発を直ちに廃炉へ』派の政党に投票しようかな」と思案しているわけです。   そのような党が、ある程度の議席数を確保すれば、仮に原発推進の党が単独で過半数をとっても、あるいは、原発推進の2党で連立政権を組むことになっても、一定の抑止力・牽制になるだろう。   Bさんは、そのようなコンセプトをもっています。

 

例えば、日本共産党の吉井英勝という前衆議院議員が、“巨大地震と津波によってポンプを回す電源が失われ、炉の冷却ができなくなり、炉心融解に至る”という事態についてかねてから警告していました。   吉井議員は、例えば20061213日に提出した質問主意書の「一 大規模地震時の原発のバックアップ電源について」で、次のように述べています。

 

「6 大規模地震によって原発が停止した場合、崩壊熱除去のために機器冷却系が働かなくてはならない。津波の引き波で水位が下がるけれども一応冷却水が得られる水位は確保できたとしても、地震で送電鉄塔の倒壊や折損事故で外部電源が得られない状態が生まれ、内部電源もフォルクスマルク原発のようにディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなった時、機器冷却系は働かないことになる。
 この場合、原子炉はどういうことになっていくか。原子力安全委員会では、こうした場合の安全性について、日本の総ての原発一つ一つについて検討を行ってきているか。
 また原子力・安全保安院では、こうした問題について、一つ一つの原発についてどういう調査を行ってきているか。調査内容を示されたい。」

 

この質問に対して、安倍晋三内閣総理大臣(当時)は、同年1222日の答弁書で、以下のように答えています。

 

「一の6について

地震、津波等の自然災害への対策を含めた原子炉の安全性については、原子炉の設置又は変更の許可の申請ごとに、「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」(平成二年八月三十日原子力安全委員会決定)等に基づき経済産業省が審査し、その審査の妥当性について原子力安全委員会が確認しているものであり、御指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。」

 

けれども、「指針」が、そしてまた、指針に基づく審査が決して「妥当」ではなく、「安全の確保に万全を期してい」なかったことは、明らかではないか。   だからこそ、「ご指摘のような事態」を生じさせてしまったのではないか。   各政党は吉井議員の重大な指摘を軽視し、大手メディアもこの警告を無視し、それが今の惨事につながっているわけだが、日本共産党が衆議院議員9名という小政党でなければ、事態が少しは異なっていたのではないか。   たとえ与党ではなくとも、衆議院議員数10人を擁していれば、せめて議案提出権を持つ20名に届いていれば、他党もマスメディアも、彼の警鐘に少しは真面目に耳を傾けざるを得なかったのではないか。   Bさんは、そう悔やまれます。   「既に起こってしまったことは今さら変えられない。 けれども、同じ過ちを2度と繰り返さぬよう、今度の選挙では、原発に対して最も厳しい態度を取っている政党に伸びてもらおう。 『原発即時0』派の政党が政府に入る可能性は低いが、原発を再稼働させようという諸党に対して、しっかりとチェック機能を果たしてもらおう」と、Bさんは意図しています。

 

また、Bさんは、こうも考えています。   原発推進の党と段階的廃止の党が連立する、もしくは、個別政策で協力関係を結ぶという場合でも、段階的廃止の党が有権者を裏切りにくくするための「足枷」として役立つだろう。   なぜなら、「○十年で廃止」という公約を反故にして、原発の新設を容認しようとしても、「でも、そうすると、次の選挙では、反原発色の鮮明な☆☆党に票を取られちゃうかもしれない」と心配しなくてはいけないから。   と、Bさんはこのような戦略をもって、自分の投票行動を決めようとしているわけです。

 

そういうわけでBさんは、選択肢を日本共産党と社会民主党(社民党)2党に絞り込みました。

 

社民党は、前身の日本社会党時代に原発容認姿勢に転じたことがあります。

 

「大事なことは、これだけ国民生活が高度化して、電力需要というのはどんどんどんどん増していくわけですね。その電力需要に対してどう供給をしていくかという面から考えてまいりますと、それだけのやはり電力量は必要なんですよ。それで私どもは、可能な限りエネルギー、クリーンな、被害の少ないエネルギーをどんどんどんどんやはり開発すべきだ、そのために努力をすべきだ、一方では。しかし、そうはいっても、それは右から左へすぐ間に合うものじゃありませんから、したがって、ある程度の原子力発電の造成もこれはやむを得ないのではないか。」

(19941012日衆議院予算委員会における高市早苗議員に対する村山富市内閣総理大臣の答弁)

 

現在の社民党は当時に比べて勢力を著しく減らしており、ある意味「純化」されたとも言えるわけで、そう簡単にグラつくとも思えないが、念には念を入れて、ブレの少ない、悪く言えば「頑固すぎる」ともいえる日本共産党に投票するのが良いのではないか。   Bさんはそう思い、日本共産党の他分野での政策も少し検討してみました。

 

すると、“消費増税なしでも、社会保障を充実させ、なおかつ、財政再建を進めることもできる”という旨の絵空事のようなことを同党が主張していて、Bさんは唖然としてしまいました。   「大企業に対する増税を行うことで財源は確保できる、などと言うけれど、それでは日本の産業が空洞化してしまうではないか。   今でさえ、日本の法人税率は世界最高水準と言われているのに、これ以上高くするなどとは、言語道断だ。   企業が外国へ逃げてしまう」。

 

ところが、党首討論会などを見ていると、どうも様子がおかしいのです。   他党がBさんと同じような立場から法人減税を主張しているのに対して、日本共産党は“いやいや、様々な優遇措置によって、実効税率は大企業になるほどむしろ低くなっていて、日本の法人税は実質を見ると決して他国に比べて突出して高いわけではないでしょ”という内容の批判をする。   すると、他の政党の政治家たちは、これに対して反論できないでいるのです。   「これはひょっとすると、多くの政党が言いたてていて、マスメディアも喧伝していること、その結果私が『常識』と思い込んでいること、それが実は間違っているのかもしれない」。   Bさんはちょっと驚いて、日本共産党の経済政策・社会保障政策を少し詳しく調べてみました。

 

そして、今年(2012)27日付の『社会保障充実、財政危機打開の提言』という政策案を見つけました。   そこには、「政府も財界も、日本の法人税率は高すぎると言います。しかし、大企業の実際の法人税負担率は、三菱商事121%、ソニー133%、京セラ167%、住友化学172%など、「表面税率の40%」を下回り、上位300社(税引き前利益)の平均で338%です。大企業にしか使えない優遇税制の仕組みがあるためです。」とあります。   他国の「実際の法人税負担率」との比較を載せていないのが納得のいかないところですが、Bさんは「一般に信じられていることが絶対に正しいとは、言い切れなさそうだ」と感じました。

 

この『提言』には法人増税以外の財源も示されています。   Bさんは、「『軍事費や公共事業費を減らせばいい』というお題目を唱えたところで、結局は民主党と同じ道を歩むことになってしまうのではないか」と不信感を抱いていました。   新聞でもテレビでも学者・評論家たちが“消費増税に反対するどの党も、赤字削減や社会保障のための具体的な財源を示していない”などと判を押したように語っているので、Bさんもすっかりそう思い込んでいたのです。   けれども実際には、削減するべき項目と額が、結構細かく列挙されています。   「消費税に頼らずに、社会保障を再生・拡充し、財政危機を打開する」という日本共産党の主張は、必ずしも大風呂敷・夢物語とは決めつけられないな。   Bさんはそう考えました。

 

「しかし」、とBさんは思います。   「企業が負担しなくてはいけないのは、税金ばかりではない。   異常な円高が、日本の企業にのしかかっている。   国際競争力を考えるときには、極端な通貨高という事情も織り込まなくては、机上の空論になるのではないか。   輸出産業の不利な条件を緩和するために法人税を引き下げる、少なくとも据え置く。   そういうオプションもありえるのではないか。   それとも、共産党は何か円高是正の策でも持っているのか」と。

 

すると、「異常円高の原因となっている投機マネーを規制する一つの方法として」「『為替投機課税』を新設する」と提言されています。   「なるほど、これはなかなか良い方法だ」とBさんは感心しました。

 

けれども、気になることもあります。   『提言』には「フランスとドイツは、2013年に金融取引税(中略)の導入をめざし、EU全体でも2014年に導入することを提案しています。」と述べられています。   けれども、英国は金融規制の強化に抵抗しており、EU全体で金融取引税を導入するというのが、それほど簡単にいくとは見通せません。   さらに視野を広げると、米国では共和党が下院の過半数を占めており、金融規制の強化は難しそうです。   また、シンガポールや中国(香港)の金融市場も成長してきています。   日本のライバルとして台頭してきています。   日本と、そして独仏といったEUの中の先進的ないくつかの国々とで先行して金融取引税を導入しても、規制の緩い国に投機マネーが逃げるだけの結果に終わってしまうのではないか。   Bさんは、そういう懸念を拭いきれません。

 

Bさんは途方に暮れてしましました。   「思い切って共産党に投票しようか。   それとももう少し考えるべきか」。

 

02はここまで。

03(「民間活力重視・市場重視派のCさん」の場合)に続く予定。

 

 

参考:各党の選挙公約など

20121116日の衆議院解散直前の時点で国会に議席を有しており、かつ、比例代表の全11選挙区に名簿を届け出ている政党。

衆議院解散直前の全国会議員数順。

 

民主党

民主党の政権政策 Manifesto

http://www.dpj.or.jp/global/downloads/manifesto2012.pdf

 

自由民主党

重点政策2012

http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/seisaku_ichiban24.pdf

 

日本未来の党

未来への約束

http://www.nippon-mirai.jp/promise/promise.pdf

 

公明党

衆院選重点政策 manifesto 2012

http://www.komei.or.jp/campaign/nipponsaiken/manifesto/manifesto2012.pdf

 

みんなの党

アジェンダ2012

http://www.your-party.jp/file/agenda201212.pdf

 

日本共産党

総選挙政策 日本共産党の改革ビジョン

http://www.jcp.or.jp/web_policy/data/2012_senkyo-seisaku.pdf

「即時原発ゼロ」の実現を――日本共産党の提言

http://www.jcp.or.jp/web_policy/2012/09/post-473.html

20061213日、巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書、吉井英勝衆議院議員

http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a165256.htm

衆議院議員吉井英勝君提出巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対する答弁書、20061222日、安倍晋三内閣総理大臣

http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b165256.htm

吉井英勝『原発抜き・地域再生の温暖化対策へ(新日本出版社・初版20101010日・本体価格¥1600)Hidyのレビュー

http://blog.hangame.co.jp/P096546547/article/34835537/

社会保障充実、財政危機打開の提言 201227

http://www.jcp.or.jp/web_download/seisaku/20120207_syouhizei-stop_teigen.pdf

 

日本維新の会

骨太2012-2016

http://j-ishin.jp/pdf/honebuto.pdf

 

社会民主党

衆議院選挙公約 2012 総合版

http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2012/data/manifesto_all.pdf

国会会議録検索システム

http://kokkai.ndl.go.jp/

日本社会党・第61回臨時党大会(199493日)決議、『当面する政局に臨むわが党の基本方針』

http://www5f.biglobe.ne.jp/~rounou/myweb1_159.htm