そりゃ、僕にも悪いところはあるだろう。相談員Aさんの言うとおり、結婚を焦り過ぎていたかもしれないし（この時は婚活を始めてまだ3～4ヵ月しか経っておらず、そんなに焦っていたとは思えないが）、Dさんからメールが来ないことにこだわり過ぎていたかもしれない。しかし、お見合いを30回した経験から言わせてもらえれば、「うまくいく人とは最後には何をしてもうまくいくし、うまくいかない人にはいつまで経っても何をしてもダメ」だったのである。それをよく仲人さんや世間では、「ご縁がない（ある）」「相性が悪い（良い）」「合わない（合う）」という言葉で表現するが、Dさんのような人は、お見合いというシステム自体が「合っていない」のだと思う。
というのは、その後、お見合いやお見合いパーティーで、Dさんのような人に何人か出会ったからである。彼女たちには、次のようないくつかの特徴があった。①マイペース。人に合わせようという気持ちがない ②ファジー。あいまい。縁談が進まない。時間だけが過ぎていく ③クール。やる気があまり感じられない（モチベーション不足）。あまり笑わない ④コミュニケーション下手。自分のことを分かってもらおうと自分について一生懸命話すわけでもないし（自己開示の欠如）、相手の人間性に興味を持って根掘り葉掘り聞くわけでもない（他者への興味・理解不足）。自分からは電話しない、メールしない ⑤自分オンリー。他者にあまり興味がない（共感力、同情心の欠如） ⑥ワンパターン。頑固に考え方や言動を変えない。時には相手の希望を聞き入れるなどの柔軟性、発展性に欠ける ⑦そこそこ。ルックスも学歴・職歴もそこそこ良いので、自分を過大評価しやすい
このようなマイペース型女性は、もちろんお見合いには向いていない。お見合いとは、親や仲人さんが客観的に見て「釣り合う」と判断したお互い見ず知らずの男女を、結婚を前提としてある程度強引に出会わせ、半ば強制的に交際させ、早期に結婚させるシステムだからである。つまり、お見合いで結婚するためには、結婚という目的のために、自分の理想の異性像はあきらめて、見ず知らずの何の縁もゆかりもない相手のことを好きになろう、少なくとも嫌わないでおこうと、お見合い相手と同調する努力が大切なのである。しかし、マイペース型の女性は相手や周りに合わせるのが苦手なので、お見合い相手はもちろん、お見合いという行為自体が「合わない」のである。
婚活中の男性がマイペース型女性と出会った場合の問題点は、お見合いして交際を承諾された場合である。お見合いして「この男はダメだ」と思うならすぐ断ってくれればいいのだが、マイペース型女性は、なぜか交際を承諾して、態度をはっきりさせないまま、ずるずると交際を続ける場合がある。これが一番困るのだ。
前にも書いたが、お見合いは時間との戦いである。早く縁談をまとめないと、どんどん歳を取って、ますますお見合い市場での価値が下がってしまい、さらに結婚するのが難しくなってしまう。だから、わざわざお見合い料金を払って、休みの日にスーツを着て、電車に乗って、ホテルの喫茶室のお茶代を相手と仲人さんの分まで全て払って、恥を忍んで見ず知らずの相手とお見合いをしているのである。多少気に入らなくても、何とかその人のことを気に入るように努力して、結婚して温かい家庭を築こうと覚悟を決めているのである。そして、デートの回数が増えるごとに、その人との結婚に向けてモチベーションを高めようと努めているのである。
しかし、マイペース型女性は、そのような婚活男性の追いつめられている気持ちや親・仲人さんの思い、自分の置かれている厳しい状況というものが分かっていない。「この人が好きなのか嫌いなのか」と自分の気持ちだけを大切にしているようなのだ。お見合い相手となる男としては、このタイプの人とお見合いしても、なかなかうまくいかないので、はっきり言って非常に迷惑である。冷たく言い放たさせていただければ、こういう人は最初からお見合いなどせず、恋人探しが目的のカップリングパーティーに行って、じっくりゆっくり自分の希望を満たす人を永遠に探し続ければいいのではないだろうか。
それでは、マイペース型女性は恋愛ではどうかいうと、恋愛では相手のことをどれだけ好きになれるか、どれだけ相手のことを考えてあげられるかが勝負なので、当然、マイペースでは恋愛もうまくいかない。つまり、恋愛市場での売れ残りがお見合い市場に売りに出されているのが現状なので、お見合い市場におけるマイペース型女性の占有率は比較的高いと思われる。
そう、僕が30回もお見合いをするという泥沼状態に陥ったのは、このDさんをはじめとする何人かのマイペース型女性のペースに巻き込まれ、婚活を引っ張られてしまったというのも原因の一つである。もちろん、相手のペースに巻き込まれてしまった、僕が悪いとは思うのだが…。次回は、マイペース型に合わせるな。