粋な先輩【3】 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

悩んだ挙句、その1回生氏、親戚が来ており夕飯を共にせねばならないという、彼女をここ何年も会っていない叔父さんに置き換えて申告する事にしました。


應援團というところは教育勅語の精神そのままでありまして、忠孝を重んじる気風があり、家庭問題に首を突っ込まないまでも、團務とは関係なくとも親不孝と思われる行為は窘められます。
故にこういう場合、團務がないのであれば、早く帰って叔父さん孝行せい、となる訳であります。
咄嗟にここまで考えが及んだのか否かは分かりませんが、やはりこの1回生、良くも悪くも頭の回転が早いのは間違いありません。


何はともあれ團室を脱出した1回生は彼女との待ち合わせ場所である三ノ宮にひた走ります。デート用に持って来ておりました私服は團室のロッカーから出す事は叶いませんでしたが、服装は二の次で、約束通り待ち合わせ場所に行ける事が嬉しくてなりません。

無事、彼女と合流し、汗臭い学ラン姿には閉口されながらも、この日の為に探していたお洒落なお店に入り、食事と会話を楽しむのでありました。


入店して2時間も経った頃でしょうか、腹も満たされ、そろそろ次の店に移動しようかなんぞと話していた矢先、彼女が怯えた表情で1回生氏の背後の方を指差します。1回生氏が振り返ると、推定年齢32歳、とびきり目つきが悪いパンチパーマに学ラン姿の男が視界に飛び込みます。何と3回生の先輩ではありませんか!それなりに広くて薄暗いお店でしたので、学ランを脱ぎ入口方面に背を向ける格好で座っていた1回生氏には気付いていない様子で、連れもおらず一人、カウンター席に腰掛け飲み始めたのであります。


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