私は、神奈川動物保護センターの登録ボランティアです。

我が家の保護猫は、みんなセンター出身の仔たち。

行政から許可を受け、行政が保護した猫を預かっているので、行政で定められた適正飼養ガイドラインに同意し、関係法令等を遵守してくださる方(固い響きですが、室内飼育や不妊手術、ワクチン接種など、当たり前のことばかり)に限り、縁組をさせていただいております。


募集サイトに投稿する際、「記載内容をよくお読みになり」、「応募条件に納得してくださる方」のみのご応募をお願いしています。

それなのに、「安易なお問い合わせはご遠慮ください」と明記してあるにも関わらず、内容を把握していらっしゃらない方からのお問い合わせが、なんと多いことでしょう。

その都度、一から説明し、ご意向を確認し、結局白紙に戻る…というケースが殆どです。

挙句の果てに、

「行政から金もらってるんだろう、その上、寄附を募るのか」

「そんなに大事なら、自分で飼えばいいじゃないか」

などと突っかかってくる方も本当に多い。

売られた喧嘩を買うようなことはしませんが、こんなやりとりが続くと、さすがにうんざりします。


行政から金をもらってるんだろう

行政からの金銭的、物資的援助はありません。

ペットシーツ、フード、ミルク、トイレ砂、医療費に加え、提出書類のコピー代やガソリン代も当然自分持ちです。

保護された直後は状態の悪い子が多く、駆虫や消毒、療法食などのフード代もかさみがち。
募集開始時には健康で愛くるしい子猫も、センターから引き出した段階では、生きられるのかどうかも分からない…そんな子もたくさんいます。

ご寄附をいただいても赤字の解消にはなりません。

「奉仕」なので、プラスマイナス ゼロ に持ち込もうなんて考えるボランティアはいないと思いますが、マイナスが大きくなり過ぎれば、活動を続けていくことが困難になります。

どのボランティア、どこの団体も、赤字が限界を超えないよう、里親様にもご負担のない範囲でご協力いただければという気持ちで、ご寄附をお願いしているのだと思います。


そんなに大事なら、自分で飼えばいい

おっしゃる通りです。

うちにいるより幸せと思えるご家庭でなければ、譲渡はしません。
幸せ=贅沢な暮らしではありません。
家族の一員として、最期までその仔を守ってくださる覚悟がある方に託したい。
譲渡先が見つからなければ、精一杯我が家で幸せにしようと考えています。
ただし、そう決めた瞬間、それ以降の保護活動は続けられなくなると思いますが。


ボランティアだって一般市民です。
家族もいれば、生活もある。

仕事の都合や家庭の事情などで、正直「保護活動どころじゃない」という時だってあります。

でも、そんな自分の都合や事情で保護を拒んだら、処分される子が出てしまう…

そんな思いに突き動かされて、日々奮闘しているボランティアが殆どだと思います。


我が家で保護する猫は少ないとは言え、お世話するのは私一人なので、4時間以上の外出ができない日が延々と続くと、生活に支障が出てきます。
子猫の容態が急変すれば、全ての予定を組み直さなくてはならなくなり、周囲に迷惑をかけてしまうことも。


ただ保護数が少ないということは、私がボランティアをやめたとしても、さほどダメージはないとも言えます。
私がいなければ、力のあるボラさん達が少しずつ無理をして、かわりに引き出してくださるはず。


でも、そういう方たちは、すでに大幅にキャパを超えてギリギリの線で頑張ってくださっているんです。
たとえ少しであったとしても、これ以上の負荷がかかれば、たちまち崩れてしまうかもしれません。


かろうじて表面張力で持ちこたえている…

これがボランティアの現状だと思います。


それでも、メインで活躍されているボランティアのみなさんは、そんな危うい状況でも猫の幸せのため、安易な譲渡は決してなさいません。



同じセンターのボランティアさんで、REIさんという方がいらっしゃいます。

REIさんは、小麦をセンターから引き出してくださったボラさんで、小麦にとっては命の恩人であり、私にとってはボラ師匠・恩師のような存在です。

REIさんのおかげで、素人の私でも、迷走しつつもなんとかボランティアとしてやっていられます。


そのREIさんのところにも安易な応募があるらしく、残念でなりません。

常に多数の乳のみ猫を抱えた状態で、適当な問い合わせや応募への対応は、どれだけ時間の無駄になることか…
  

REIさんのブログ
  ←ボランティア事情について書かれた記事があります。

私は猫を保護するボランティアであって、猫を斡旋するボランティアではありません。

保護猫に関心を寄せてくださる応募者の方々に、感謝の気持ちは抱いておりますが、必要以上にへりくだるつもりはありません。

あくまで猫の幸せを第一に考え、検討させていただきます。