第39回コモゴモ展 開催しますキラキラ

 

およそ1年ぶりで、上野公園にコモゴモ展が帰ってきます!

2019年と2020年は上野での開催がほとんど叶わず・・

久しぶりに開催できる喜びでいっぱいですアップ

作品販売、コンサート、キッチンカーの美味しいフードをお楽しみください!

 

 

では、本ブログの為に書き下ろして下さっている倉本幸弘氏のシリーズ

「上野の丘の四季折々に 第五回」とともに。NEW

第四回はこちら

 

 

上野の丘の四季折々に

 

第五回 「秋風の、ヴィオロンの…」

 

倉本幸弘

 

 

 先日、東京藝術大学の前の通りを歩いていると、音楽科の門の横の柵に幕が張られていて、何か工事が始まる気配です。近づいてみると、「正門再生プロジェクト」と書かれた説明板がありました。老朽化のために耐震補強工事を始めるというのです。この趣きある門が壊されるのでなくてよかったとまずは思いました。

 

 面白かったのは、この門は大正3年(1914)に造られたのだとの説明です。なんだか創立以来ずっとあるように思われますが、東京音楽学校、東京美術学校の開学がともに明治20(1887)年ですので、正門の設置はいかにも遅い。学校が設立されてから30年近く経ってからということになります。

 

 さらに面白かったのは、次のような説明です。

 「東京藝術大学の正門は、前身である東京美術大学の敷地内に新しい道路「屏風坂通」(現在の都道452号線)が開通するのに合わせて、大正3年(1914)ごろに完成しました。」

 

 この説明からわかることは、かつては、美術学校が音楽学校の敷地の中に張り出していて、今、二つの門が向かい合っているところを走っている道路は、100年ほど前には存在していなかったということです。

 

 では、美術学校や音楽学校の門は、もともとどこにあったのかといえば、現在、東京都美術館と動物園と美術学部の間を抜けて、東京国立博物館や国際子ども図書館の横を鶯谷の方へと向かう道沿いにあったのだということになります。

 

 この古い道を歩くたびに、とてもいい道だなあと私は思います。春から夏にかけては樹々が生い茂って小暗く、秋から初冬にかけては、散りまどう枯葉の音が寂しい。一年を通して歩く人の少ない道です。そして、私の空想の中で、この道を、樋口一葉が下駄の音をひそやかにたてて歩いていきます。森鷗外や夏目漱石の作品に登場する青年たちが歩いていきます。この道沿いに図書館があったからです。その古い図書館の建物の一部が残っています。音楽科の門の脇にある煉瓦造りの建物です。

 

 ・・・いやいや、年寄りじみた蘊蓄(うんちく)が長くなりました。

 さて、昨年の夏の有明の地から、再び、上野の丘に戻ってきました。

 そもそもこの連載は、「上野の丘の四季折々」の姿を語ろうとしていたのでした。

 この丘の、秋のはじめの風物詩として、東京藝術大学の学園祭(藝祭)があります。

 

 夏の間に、学生たちが力を合わせて造りあげた数基の「御神輿」が公園内を練り歩き、鋪道に沿って手作りの「作品」が並べられた出店が並び、訪れた人たちと製作者(学生)が語り合う姿があって、広場では、管弦楽が演奏され、歌曲が歌われ、人々が静かにそれを聴いている……いかにも初秋の上野の丘らしい。

 

 やむ得ないこととはいえ、昨年に続き、今年もまた、その風景を見ることができませんでした。喧しく経済の停滞を心配する声はあっても、文化の萎縮に危機感を持つ声がほとんど聞こえてこないのは悲しい。何よりも文化は継続が必要であり、その姿は、あらたまった装いの中だけではなく、生活のさりげない風景の中にこそあるのだと私は思っているからです……秋風の中を、画架(イーゼル)を担いで歩いている人とすれ違うとか、バイオリンの弦の、かすかに鳴る音を耳にするとか、散りまどう枯葉に、ふと詩歌の一節が思い出されるとか……

 

 すでに、丘の樹々が色づきはじめ、不忍池には冬の渡り鳥がやってきています。夜になると、丘の上の空に、オリオン星座がその巨大な姿を現します。

 

 人の世がどうあろうとも、今年の秋も、上野の丘には、そんな風景があり、そんな時間が静かに流れています。

 

 

倉本幸弘氏プロフィール:

千駄木にある森鷗外記念館の仕事をされている森鷗外記念会常任理

文京区立森鴎外記念館HP :  https://moriogai-kinenkan.jp

 

 

 

上野公園でお会いできるのを楽しみにしています。音譜

 

 

KOMOGOMO展とは

東京藝術大学出身等の若手アーティスト達によるアートマーケット

次回 第40回コモゴモ展 2022 04/29(金)・30(土)・5/1(日)

場所:東京都上野恩賜公園 噴水前広場

エントリーはこちらホームページよりご応募ください

 

 

KOMOGOMO展常設販売所 上野案内所

 

 

 

@KOMOGOMO_TEN

 

 

 

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