【アーティストプロフィール】
◇柚木 恵介YUNOKI Keisuke
東京藝術大学大学院美術研究家空間造形専攻修了
法政大学デザイン工学部システムデザイン科教育技術員(2015~)


【インタビュアープロフィール】
◇松永 小百合MATSUNAGA Sayuri
テキスタイルアクセサリー作家、コモゴモ展立ち上げメンバー
◇松田 環MATSUDA Tamaki
漆芸家、コモゴモ展立ち上げメンバー


 第1部に引き続き、
「物々交換 プロジェクト」という活動をされているアーティスト、
柚木 恵介さんのインタビュー(第2部)をお届けします!


 

松永 小百合(以下 M)
昨年の12月、コモゴモ展はいつもより開催時間を延長し、
イルミネーションを灯したクリスマス市を開催しました。
屋台もライティングされていて、すごくいい雰囲気でしたよね!
この時も、たくさんの方と交換したんですよね。 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



柚木 恵介さん(以下 Y)
そう、2日間で78人でしたね。 
上野公園は、やっぱりあれだけ人が来る場所も珍しいと思うし、
すごいポテンシャルを持っている場所なんだよね。



T
しかも、芸術に興味を持っている人がたくさん来るっていうのが
他にはない特徴ですよね。


 


上野公園では、お花見の時期に交換をされたことがあると伺いましたが、
夜の交換はいままでにもやったことはあったんですか?

 

Y
いや、夜は初めてでした。 
イルミネーション看板もコモゴモ展のために作ってみました。 

 

M 
「さゆり」という手製のプレートも作っていただいて(笑)。


 

 



Y
一応、このプレートが屋号みたいになっていて、
毎回書いているんですよね 。
そういう物に対しても質問をされたり、実際にこの時も、 
「これはなんで『さゆり』なんですか?」って。
それを話すのも一つのコミュニケーションになるので。
 

松田 環(以下 T)
全部がコミュニケーションのきっかけを作る素材なんですね!
全てが自作の物だから、「何かしら意味はあるだろう…」って
期待して聞いちゃいますね。


 

 

 

 



M
ちょっと違う雰囲気の写真がありますが…、
海外でも「物々交換」の活動はされているんですか?



Y
タイでも物々交換をしました。
タイには屋台を持っていけなかったので、現地で廃材を集めて作って。


 

 

 

 



T
なんだかスタイルも現地の人みたいですね !
 

Y
そう。この帽子もね、

バンコクよりちょっと離れた田舎町のマーケットで、
帽子を買おうと思って探してたら、
おばあちゃんがいい感じの帽子をかぶってて。
「その帽子どこで買ったんだ?」って聞いたら、なぜかくれて。
それを愛用していました
(笑)



M
おばあちゃん優しい!
タイの方は、おおらかな人が多そうなイメージです。
みなさんどんなものを交換しに来るんですか?

 

 

 

 

Y
リラックマのグッズが多かったな。
空前のリラックマブームみたいで、バンコクではカワイイ系の
キャラとかサンリオ系の物が多くて。
あとは、ブッダのカードのような財布に入れるお守りとか。

また日本にはない感じの雰囲気だったな。


 


交換に来るのは現地の方が多いんですか?
外国人の観光客の人とかも?
 


Y
ほとんどがタイ人で言葉もイマイチ通用しないんだけど、
毎回このタイ語で書かれた札を変えて 。
 

 

 

 

 

M
これは何を書いてあるんですか?
 


Y
これはね、マイペンライ。
タイ語で、「大丈夫!」って意味のプレートを掲げたり
(笑)。 

 

M
なるほど!いろんな意味を込めての大丈夫(笑)。



Y
これは、ラエッガンマイ。「交換しない?」みたいな、
ちょっとフランクな感じで書いてあって。
現地の人に書いてもらって、それをこう、肩に抱えながら歩いていた 。

 
 

 

 

 

 




感触はどうでしたか?

 

Y
一番交換してくれたのは、シラパコーン大学っていう現地の大学の
キャンパス内だったんだけど、そこにいる学生は、
たぶん割と上流階級の人たちでみんな英語の教育がされているから、
英語で会話がなんとかできて。
でも大学から一歩外に出ると全く英語が使えなくて。
だからもう、すごい交換が難しくて。いっぱい喋るんだけど…・
 


M
言葉が全く通じないんですか?

 



Y
そういう場面が多かったかな。 いろいろ勉強になりましたね。
 



そもそも、どういうきっかけでタイに行くことになったんですか?
 


Y
藝大のプロジェクトで、夏に茨城県の大子町っていうところで
国際交流を兼ねた活動プロジェクトをやるというので、
たまたまその相手がタイのシラパコーン大学だったんです。


シラパコーン大学の学生が10人くらい来日して、
一緒に何かプロジェクトをやりましょうという企画で、

逆にこっちのプロジェクトが先にあって、茨城県の大子町で
物々交換をして歩くっていうことだけが先に決まっていたんです。


向こうからアクションがなくてどうしようと思ってた時に、
「まず先に、自分がタイに行って交換してきます」って提案して。
タイで始まった交換を、茨城の大子町につなげて作品にしますよって。
 一人国際交流みたいな感じですね。
 



では、現地の学と先に約束をして、単身タイに渡って?



Y
そう。割とすんなりと希望が通っちゃって。 



そして、タイでの活動が終わってすぐに、
茨城県でのプロジェクトが始まったんですね!


 

第3部では、2016年9月17日~ 11月20日に開催される
『茨城県北芸術祭』で展示される物々交換のドキュメント、
「物々交換プロジェクト at KENPOKU」についてご紹介します!



【アーティストプロフィール】
柚木 恵介(YUNOKI Keisuke
鹿児島県生まれ
東京藝術大学大学院美術研究家空間造形専攻修了
法政大学デザイン工学部システムデザイン科教育技術員(2015~)
柚木 恵介HP:http://yunokikeisuke.com/