日銀は、一昨日21日の金融政策決定会合で、金融政策の枠組みを抜本的に


修正し、目標をお金の量から金利に転換することを決めました。現状のマイナス


金利政策を維持しながら、長期金利を0%程度に誘導する新たな目標を設定


しました。どういうことかというと、中央銀行の金融政策は、通常は短期金利を


操作します。日銀は、金融機関が預け入れる当座預金残高の一部に適用する


金利をマイナス0.1に設定し、短期金利をマイナスに押し下げてきました。今回、


日銀は、長期金利の指標である10年物国債の流通利回りを0%に誘導する


枠組みを新たに設けた、ということです。中央銀行が、長期金利を操作するのは、


世界的にも異例のことです。私たちの生活への影響は、マイナス金利の影響で


年金基金などの成績が下がっていましたが、これによって運用成績が上がれば、


将来に対する不安が薄れ、消費が増えることも期待できる、とされています。


しかし、長期金利が上がると住宅ローンの金利が上昇するなどのデメリットも


考えられます。今回の日銀の金融政策の枠組みの修正は、黒田総裁が鳴り物


入りで行ってきた異次元緩和の限界がはっきりしてきた、とみることもできます。


出回るお金の量を増やせば物価が上がるという考え方で大量の国債を購入する


ことで、巨額の資金を供給してきましたが、空振りに終わった、ということだと思い


ます。しはし、日銀は、原油価格の下落、消費者物価の引き上げ、新興国経済


の減速など、外からの要因が原因としているのも、納得できないところです。マイナス


金利の副作用が大きく、年金運用にも支障をきたしたので、方向転換をした、と


専門家は、みています。しかし、中央銀行が長期金利をコントロールするのは、至難


の業とされていて、実効性は不透明です。そもそも、なぜ物価にこだわるのかを、


私たち国民に納得がいくように、説明してもらいたいと思います。賃金が上がらない


どころか、実質賃金が下がっている中で、景気がよくなる実感がなく、将来物価が


上がるとは思えないですから。