松山市井門町にある、国指定重要文化財「豊島家(としまけ)」の改修現場へ。
この豊島家は宝暦8年(1758年)に建築されたそうですから、築256年ですか・・・長い歴史があります。
現存する茅葺屋根を40年ぶりに全面葺き替え工事が進んでいる最中で、周囲は足場に囲まれていて全貌を見る事はできません。
足場を上り、茅葺職人の作業を間近で見せて頂きました。
葺き替えの終わっていない部分、かなり腐朽していて、触ってみるとボロボロで朽ちています。
茅を「ハリ」という道具で縄を押えの竹に縛っています。
それを足で叩いて縄を更に締め付けていました。
触ってみましたけど、全然緩みがありません。
人力であそこまできつく縛れるなんて、まさに職人技です。
「こて」で叩いて先端を揃えていく作業です。
茅葺と本瓦の取り合い部分、茅葺の一番下の部分は希少な麦藁だそうです。
使用されているのは静岡県産の山茅(やまがや)で、職人は大阪の方でした。
やはり、県内にはこんなに多くの茅場が無いし、職人も十分にいないようです。
工事中でしか見ることができない、屋根上から見た「門」
同じく、屋根上から見た「長屋門」
瓦職人さんから、古瓦の強度の見分け方も習いました。
見かけは大丈夫でも、内部が割れている瓦は鈍い音がします!
逆に丈夫な瓦は、金属音に近いような高い音がします。一耳瞭然です!
下の写真は茅葺屋根の棟瓦です。
内部の改修の様子も見学できました。
床下の湿気の為に痛んでいた床下地を取り替えている様子です。
古民家にしては床下の高さが低いです。
根太の大きさにちょっと驚き・・・松前の古民家に使ったものよりずっと小さいです。
柱寸法も小さい・・・
耐震補強するというので内容を聞いてみると・・・
柱が小さい部分を鉄骨の柱で補強するとか・・・嘘でしょ???
重要文化財なのに鉄骨入れちゃうの?って疑問が残りました。
他の耐震補強は特段しないようです。
瓦屋根の下地部分、竹の野地板です。これは松前の古民家と同じです!
これらを考えると、現在再生工事中の松前の古民家の造りの立派さに改めて驚きます!
そんな古民家の再生を設計・監修させて頂いていることにただただ感謝です!
今日の重要文化財の改修現場の見学会、大変勉強になりました。
地域や年代により建築様式がそれぞれ違いますけど、全て昔の職人の知恵と技の集結。
日本の住文化を残していくための活動、これからも続けていく価値があると再認識できた1日でした。