海外で大ウソをついた首相 | 衝動記

衝動記

自分の心の中の衝動を文字や文章にして表してみました。











表現者 2016年 11 月号 [雑誌]


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APECに参加している安倍さんがとんでもないことを言いました。

●安倍首相 「自由貿易が格差拡大は誤解」 | NHKニュース http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161120/k10010776071000.html

>安倍総理大臣は、世界的に保護主義的な風潮が広まっていることについて、「確かに自由貿易に対する非難はあるが、自由貿易は世界経済の発展の源である。自由貿易が貧富の格差を広げているという誤解を解き、経済政策を通じて格差を解消すべきだ」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は「開かれた市場と包摂的な経済成長を実現することが不可欠であり、最近の調査で、日本では貧富の格差は縮小している」と述べ、自由貿易体制を重視する日本の姿勢をアピールしました。


果たして本当なのか?
格差に関して言いますと

●9年で平均所得73万円減、所得格差は過去最大 厚労省が調査結果発表 http://www.huffingtonpost.jp/2016/09/15/_n_12038808.html

公的年金などを除いた世帯間所得の格差が2014年に過去最大となったことが、厚生労働省が9月15日に発表した調査でわかった。高齢化で所得の少ない世帯が増えたことが主な原因という。

「所得再分配調査」はおよそ3年に1回実施されている。対象は約4800世帯。

1世帯あたりの平均所得は、392万6000円で、前回2011年より12万1000円の減少だった。2005年調査との比較では73万2000円減っていることも明らかになった。こちらも高齢化が影響している。

世帯間の格差を指数で表した「ジニ係数」(格差が大きくなるほど1に近づく)では0.5704で、前回よりも0.0168ポイント増えて格差が広がっている。調査を開始した1962年以来格差が最も大きくなっている。


「格差」を、年金・社会保障などを再分配した後の数値で比較しているためだ。再分配後の所得では、1世帯あたりの平均所得は481万9000円。ジニ係数では世帯間格差は0.3759で、確かに前回より0.0032ポイント減った。

厚労省はさらに、再分配によって格差を縮める「改善度」について、過去最高の 34.1%となっているとし、「再分配機能の拡大により、格差の拡大を防止している結果」と概要に記している。


ハフィントンポストに載っている厚生労働省の資料はこちらです。

●平成26年 所 得 再 分 配 調 査 報 告 書
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12605000-Seisakutoukatsukan-Seisakuhyoukakanshitsu/h26hou.pdf

●「平成 26 年所得再分配調査」結果の公表
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12605000-Seisakutoukatsukan-Seisakuhyoukakanshitsu/h26press.pdf


自由貿易のおかげではなく、社会保障による再配分のおかけですのでウソです。
自由貿易が原因で格差が拡大したわけではないというのは

●スティグリッツ:新自由主義・トリクルダウンの誤り http://www.financialpointer.com/jp/%e3%82%b9%e3%83%86%e3%82%a3%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%83%83%e3%83%84%ef%bc%9a%e6%96%b0%e8%87%aa%e7%94%b1%e4%b8%bb%e7%be%a9%e3%83%bb%e3%83%88%e3%83%aa%e3%82%af%e3%83%ab%e3%83%80%e3%82%a6%e3%83%b3%e3%81%ae/

スティグリッツ教授は語る。
一つ目は格差拡大だ。

過去40年の経済政策を形作ってきた単純な新自由主義的な市場至上主義はひどい誤りをもたらす。
格差拡大という犠牲のもとにGDPを増やす。
トリクルダウンの経済学は機能しない。
市場は真空の中に置かれているのではない。
サッチャー・レーガン『革命』は上層の利益のために市場のルールを書き替え、作り直した。
それは格差を拡大することに成功し、成長を高めるという使命には完全に失敗した。」

こうした観察から、二つ目の教訓が導かれる。

「米国は再び経済のルールを書き替える必要がある。
今回は、普通の市民に恩恵があるようにだ。」

スティグリッツ教授は、変化にともなうリスクを認めている。
しかし、変化しないリスクの方がはるかに大きいと主張する。
それは、社会の分断、民主主義の危機、経済の弱体化をもたらすからだ。


●スティグリッツ:新自由主義者はセラピストに診てもらえ http://www.financialpointer.com/jp/%e3%82%b9%e3%83%86%e3%82%a3%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%83%83%e3%83%84%ef%bc%9a%e6%96%b0%e8%87%aa%e7%94%b1%e4%b8%bb%e7%be%a9%e8%80%85%e3%81%af%e3%82%bb%e3%83%a9%e3%83%94%e3%82%b9%e3%83%88%e3%81%ab%e8%a8%ba/

スティグリッツ教授は、格差拡大のメカニズムを解説する。

「(ほとんどの新自由主義的な経済分析の基礎となっている)完全市場の仮定の下では、自由貿易は世界中の非熟練労働者の賃金を均一にする。
財の貿易は、人の移動の代替なのである。
中国から(非熟練労働者を多く要する)財を輸入すれば、欧米での非熟練労働者の需要は減ってしまう。

この力は強く、輸送費がなく、欧米に技術のような他の競争優位がなければ、最終的には賃金の差が完全になくなるまで中国の労働者が欧米に移入したのと同じ効果を及ぼす。」

●TPPが日本のホワイトカラーを追い落とす

スティグリッツ教授の話は残念ながら欧米に注目している。
少し日本の話をしよう。
仮にTPPが発効したら何が起こるか。
日本の非熟練労働者の賃金が、アジアの新興国のそれに一致するまで下がっていくということを意味する。

問題なのは、「非熟練労働者」である。
すでにブルー・カラーでは、日本でも勝負はついている。
熟練が求められない低賃金労働の職場では、日本人はすでに劣勢だ。
では、ホワイト・カラーの分野はどうか。
日本のホワイト・カラーのいったい何割が《熟練労働者》と言えるだろうか?

政治家の沈黙とウソ

スティグリッツ教授の新自由主義批判は止まらない。

「驚くことではないが、新自由主義者はこの貿易自由化のなりゆきを全く語ろうとしない。
彼らは、みんな幸せになると主張する(これはウソだ)。」

日本でも、TPPにウソはないだろうか。
非熟練のホワイト・カラーに対し、来るべき脅威を伝えているだろうか。
政府は、労働者が厳しい競争にさらされる日までに人的資本を積み上げておきなさいと忠告すべきではないか。


スティグリッツ教授を全否定です。
安倍さんがこれらを覆すだけの証拠やデータを提示して論理的に連関した口述をしなければなりませんが、できないでしょう。

だってウソですもん。




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