バッテリーⅠ~Ⅲ(あさのあつこ)


「野球は楽しむもんじゃ。」


野球少年の物語、うーん全く縁のない世界なんですが、映画化されたし、と読んでみました。ひねくれた主人公が友情・団結・勝利に目覚めていくストーリーかと思ってたら、一筋縄ではいかない主人公ですっかりはまってしまいました。

1は家族、2は中学生活と部活、3は自分にとって野球とは、というところが中心になってました。


天才なんて言われる人の実物を見たことも、身近にいたこともないので考えたこともなかったのですが、天才ってある日突然でてくるものじゃないんだなーと。巧のような才能と意思、そして自分を磨く努力を怠らないことで世にでてくるのかなあ。こんな中学生いるの?って思ってしまいますが未来に天才と呼ばれるコってこんなかんじなのかもしれない、と思いました。


親や周囲の大人とぶつかる姿はやっぱり子供だし、感情のコントロールも表現も下手な巧。天才に出会って夢が広がった豪、身体が弱いが兄に憧れ、巧の心の緩衝材のような弟青波。仕事が忙しく家庭内のことに疎い父、青波中心の母、元名監督の祖父。
徹底した管理指導で巧とぶつかる戸村、同じ野球部1年の沢口、東谷、吉貞、野球部の先輩海音寺、展西。たくさんの魅力的な登場人物で一気に読めます。


「おまえは、信じてないのか」

中学生くらいだと学校と部活(や塾、習い事)が世界の全てで、今思えば狭い世界で、でも気持ち的には親も世間も関係ない、自分の好きなことに没頭して自由に夢見ることのできた時間だったと思います。その中では今以上に色んな感情が渦巻いていたかも・・・なんてことを思い出しながら読みました。


「けど、ひとりじゃ野球はできないことぐらい、わかってます」


■バッテリー
出版社/著者からの内容紹介
中学入学を目前に控えた春休み、父の転勤で岡山の県境の街に引っ越してきた巧。ピッチャーとしての自分の才能を信じ、ストイックなまでにセルフトレーニングに励む巧の前に同級生の豪が現れ、バッテリーを組むが・・・。
文庫版のあとがきは三浦しをんさん。

■バッテリーⅡ
出版社/著者からの内容紹介
中学生になって、野球部に入部した巧。監督の強硬な指導に我関せずの巧。そんな彼に対し周囲からは非難が集中する。そしてついにある事件が起こり・・・

■バッテリーⅢ
出版社 / 著者からの内容紹介
大人も子どもも夢中になる、読めば誰でも十代に戻れる小説
活動停止処分が解けた野球部で、部活が開始された。先輩も後輩もない、実力で自分の野球を認めさせてやる! しかし、キャッチャーとしての才能に悩む豪と、巧との間に亀裂が入って・・・
青波の視点から描かれた文庫だけの書き下ろし短編「樹下の少年」収録。



あさの あつこ
バッテリー
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バッテリー〈2〉
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バッテリー 3