ゲド戦記 試写会@一ツ橋ホール


「こころを何にたとえよう」


手嶌葵さんの『テルーの唄』が頭から離れない~
劇中アカペラで歌うシーンは珍しいくらい長い。童謡のような懐かしいかんじの曲で高すぎない声でじんわりしみこんできました。


人と竜と魔法のファンタジー・アドベンチャー、魔法合戦や異生物との戦い、万能アイテム・・・を期待していくとちょっと違うかもしれません。確かに竜や魔法はでてはきますが少年(ゲドやアレン)少女(テナー、テルー)の葛藤や成長の物語です。


ストーリーはゲド戦記シリーズの「影との戦い「さいはての島へ」をベースに他「こわれた腕環」 (※原作レビュー)などの登場人物を絡ませて再構成した、というかんじでした。
設定も原作とはかなり違ってました。(原作者はOKなのか?「続編を作らない」約束なんでしょうか???)

希望や目的が見つかってないキレやすい少年アレン、親から虐待された過去を持つ少女テルー、世界のあちこちで起こっている異変を探るゲド、謎の魔法使いクモ。
アレンは終始暗い顔してるし、テルーは人嫌い。親の無関心や虐待、人身売買や麻薬、自分さえよければ、お金になればという人々。

・・・うーん、現在の世相を反映した作品であることは吾朗監督も語ってますが、映画の中では逃避したい気もするんですよねえ。。。あと愉快な仲間とか、かわいいマスコットキャラクターもいないんですよね~


映像はジブリスタジオのまんま、印象派絵っぽい景色。ジブリ作品で大好きな鳥瞰図が少なかったのが残念。


アレン役の岡田くんが思ったより低い声で、まあ鬱かおびえてるばっかだったからそんなに違和感はないけど・・・地味。テルーの手嶌さんはやや固いけどこっちもぶっきらぼうなところばかりだからまあいいのかな。
ゲドの菅原文太さん(千と千尋:釜爺)渋オヤジでかっこいい、クモの田中裕子さん(もののけ姫:エボシ御前)は熱演でしたね~!
テナーの風吹ジュンさんも包み込むような声で、過去の作品と比べると駒吉的には上位です。


ちらしにあった「父さえいなければ生きられると思った。見えぬものこそ。」
これは吾朗氏=アレン王子、駿氏=父王、ゲド=鈴木プロデューサー・・・かなあ?


で夏のアニメ決戦、総合的には「カーズ(※駒吉レビュー) 」が一番満足度が高いのではないかと予想します・笑。ファミリーには時間が長いのが難点ですが映像・ストーリーもシンプル、ラストは自分も街の皆もハッピーだし、吹替えがよいのならすんなり感動できるでしょう。(駒吉は車への関心があまりに薄いので普通だったけど)

対してブレイブストーリー(※駒吉レビュー) とゲドは映像と声優さんはそれぞれのスタジオのカラーがでてましたが、ストーリーが説明不足だったり、ちょっと唐突に思えるところがあるんじゃないかなあ、と。
原作を前提に原作を知ってる人は「あーそうしたか」、知らない人は「こーいうことかなあ」と想像の余地があるといえるかもしれませんが、すんなりのみこみたいかどうかで、評価が分かれそうです。

「原作はすごく面白いんだろうな、と思った」退場時に通りすがりの人が話してました。

http://www.ghibli.jp/ ゲド戦記


解説: アメリカの女流作家アーシュラ・K・ル=グウィンの「ゲド戦記」シリーズを、スタジオジブリが映像化したファンタジー・アニメ超大作。宮崎駿監督の実子である宮崎吾朗がメガホンを取り、少年アレンと大賢人ゲドの旅を通じて混迷する時代を生き抜くためのメッセージを投げかける。V6の岡田准一、菅原文太ら新旧の実力派が存在感ある声の演技を披露するほか、主題歌と挿入歌も担当した手嶌葵の圧倒的な美声にも心奪われる感動巨編。

ストーリー: 多島海世界のアースシーでは、聖なる生物の竜が共食いを始め、農民は田畑を捨て、職人は技を忘れていくなどさまざまな異変が起こり始めていた。やがて人々が魔法を信じることができなくなったとき、大賢人ゲドは世界のバランスを崩す者の正体を突き止めるための旅に出て、国を捨てた王子アレンと出会う。

製作年度 2006年
製作国・地域 日本
上映時間 1時間55分
監督 宮崎吾朗
原作 アーシュラ・K・ル=グウィン
脚本 宮崎吾朗 、丹羽圭子
音楽 寺嶋民哉
声の出演 岡田准一 、菅原文太、手嶌葵 、田中裕子 、小林薫 、夏川結衣

手嶌葵, 宮崎吾朗, 寺嶋民哉
テルーの唄 (ゲド戦記 劇中挿入歌)
手嶌葵
スタジオジブリ・プロデュース 「ゲド戦記歌集」
アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin
ゲド戦記全6冊セット

■あらすじ・感想(ネタバレありなので反転して)
↓ここから↓
 竜の共喰い、疫病の発生、魔法使いが魔力を失うといった災いが次々報告される中、アレン王子は父王を刺し剣を奪って城を飛び出した。砂漠で狼に襲われたアレンはハイタカ(ゲド)に助けられ、一緒に旅をすることになる。
アレンは覇気がなく何かにおびえていた。

--->原作ではゲドのもとに災いの源を調べるためアレンが遣わされ、一緒に旅立つ

 ホースタウンでは人身売買や麻薬が日常化しており、人狩りが横行していた。アレンは人狩りに追われていた少女テルーを助けるが、報復を受けたアレンは奴隷として捕らえられてしまう。移送されているところをゲドに救出されテナーのところへ身を寄せた。
テナーの家でテルーと再会するが彼女は頑なな態度を崩そうとしない。
 一方魔力を失っていない唯一の魔法使い「クモ」はゲドを捕えるべく手のものを放っていた。

--->ゲドとクモはかつてそれぞれ影と戦い、クモは影にとりこまれていった。

ゲドとアレンはテナーの家の農作業の手伝いをして地に足をつけた生活を実感する。ゲドの不在時にアレンは「何かが追ってくる」とテナーの家を出、影から逃げたところで「クモ」に拉致されて真の名を与えてしまった。
またテナーも囮として捕まってしまい、ゲドは「クモ」の館へ向かったがアレンと戦っているところ捕まってしまう。

--->魔法使い対決!かと思いきや、アレンがけしかけられ、その隙に手下に捕縛されてしまった。。。ゲド弱い?

 ゲドにアレンの剣を託されたテルーは、アレンの影に遭い彼が自分自身から逃げていることを知る。
テルーはアレンに、死ぬことが怖くないといい、永遠の命を欲することは同じことだ、生きることを恐れているのだ、と諭す。
ゲドとテナーを助け出すように説得し、処刑の場に飛び込んで阻止した。
 追いつめられた「クモ」はテルーを道連れにしようとしたが、テルーは竜の化身で「クモ」は闇に還りふたりはゲドとテナーが待つ家へ帰っていった。

↑ここまで↑