風味絶佳(山田詠美)


「キャラメルが恋人だなんて。それでは恋人とはなんなんですか、と尋ねたことがあった。すると必需品に決まってるじゃないの。・・・」

一人称で語られる相手への想いは愛なのか自己満足なのか・・・息苦しくなるくらいの濃密な空間がありました。女子的にはわからないことはないのですが、「間食」や「夕餉」はちょっと怖い世界でした。

さて「寂しい、ってどれくらいの頻度で思う?」「顔もみたくない相手っている?」
グランマ=山田詠美女史の豊かな人生の尺度らしいですよ。

久々に読んだのですが「ぼくは勉強ができない」「放課後の音符(キイノート)」「蝶々の纏足・風葬の教室」「晩年の子供」「120% coool 」「ひざまずいて足をお舐め」あたりの空気が好きですねえ。

間食:鳶職の男のためなら何でもする女
夕餉:清掃作業員の彼に食べさせる料理に心血を注ぐ元主婦
風味絶佳:SSに勤める青年とその祖母
海の庭:引越し業者と離婚した母と娘
アトリエ:水槽浄化業者とその妻の妊娠
春眠:斎場メンテ会社の父と息子、息子が片思いしていた同級生が父と結婚して

表題作の「風味絶佳」が柳楽優弥くんと沢尻エリカさんで映画化 なのですが・・・この話だけで2時間ってどーなるのかなあ。グランマの夏木マリさんはぴったりです!というかこの方しかいないでしょう!!

出版社 / 著者からの内容紹介
「甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから」。孫にグランマと呼ぶことを強要する祖母・不二子は真っ赤なカマロの助手席にはボーイフレンドを、バッグには森永ミルクキャラメルを携え、70歳の今も現役ぶりを発揮する――。
鳶職の男を隅から隅まで慈しみ、彼のためなら何でもする女、「料理は性欲以上に愛の証」とばかりに、清掃作業員の彼に食べさせる料理に心血を注ぐ元主婦など、お互いにしかわからない本能の愛の形を描いた珠玉の6篇を収録。

山田 詠美
風味絶佳
■映画化情報
シュガー&スパイス~風味絶佳~http://sugarandspice.jp/
基地の街・東京福生。アメリカの香り漂う街角で 少年ははじめて“本当の恋”を知る―。
[監督] 中江功
[原作] 山田詠美「風味絶佳」(文藝春秋刊)
[CAST] 柳楽優弥/沢尻エリカ/夏木マリ/チェン・ボーリン/高岡蒼甫(特別出演)/大泉洋
[上映時間] 2時間5分 2006年日本映画
[配給] 東宝
(C)2006 フジテレビジョン/S・D・P/東宝
[主題歌]オアシス「レット・ゼア・ビー・ラブ」「ライラ」「マッキー・フィンガーズ」「ロックンロール・スター」