「未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ」に、世間を騒がせている「パナマ文書」についての考察が書かれてあり、秀逸だと思うので、ご紹介します。


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「パナマ文書」でアメリカはタックスヘイブン化、これがドルと米国覇権の延命策か?

「パナマ文書」の一部公表で租税逃れに各国の首脳にかかわりのある人々の関与が明らかになった。

それがもとでアイスランドの首相は辞任し、イギリスのキャメロン首相も辞任も余儀無くされそうな厳しい立場に立たされている。

日本では「パナマ文書」のリークは匿名の人物によってなされたものであり、背後には特定の国の政治的な意図はないかのように報じられているが、実はそうではない。

リークされた文書を分析した非営利団体の「ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)」はアメリカの首都、ワシントンに本拠をおく米政府の国策機関である。

「ICIJ」に資金を提供している主要な組織は、「USAID(合衆国国際開発庁)」やジョージ・ソロスの「オープン・ソサエティー」、また「フリーダム・ハウス」などである。

これらの組織は米国務省やCIAなどと連動している機関である。

2000年から2005年まで続き旧ソビエト共和国を親欧米派の政権に転換させた「カラー革命」や、2010年末に始まり中東全域に拡大した「アラブの春」には、こうした組織が深く関与していたことはいまでは広く知られている。

「ICIJ」はこうした国策機関のひとつであることは間違いない。

今回の「パナマ文書」のデータは一般に広く公開されているわけではなく、分析を進めた「ICIJ」の手によって選択された情報が公開されているに過ぎない。

その証拠に、租税回避地としてパナマを使っている件数がもっとも多いはずのアメリカの情報は異常に少ない。

ましてや、米政治家の情報は皆無である。

こうした事実を見ると、「ICIJ」の手による今回の「パナマ文書」の公開は、米政府が特定の目標を実現するために行った可能性は極めて高いと見て間違いない。

「パナマ文書」は米政府の国策機関である「ICIJ」が分析を進め、一部を公開した文書である。

したがってこれは、決して偶然に公開されたものではない。

そこには、米政府の国家戦略上の目的があると見て間違いない。

ではその目的はなんであろうか?

調べて見ると、そこには明らかに複数の目的があるようだ。

●アメリカがタックスヘイブンを独占

もっとも大きな目的は、パナマをはじめとした主要な租税回避地(タックスヘイブン)を潰し、アメリカに超富裕層の資金を集中させることだ。

ネバダ州、ワイオミング州、サウスダコタ州、デラウエア州の4州はすでに租税回避地として機能しているが、それらを世界最大の租税回避地として強化するのが目的だ。

そのためには、超富裕層の資金の集中がすでに始まっているロンドンを先に潰す必要があった。

それが、英首相の税金逃れの資金運用の実態を公表した理由であろう。

ところで、タックスヘイブンに集中している超富裕層の資産は、概算では21兆ドル程度ではないかと見られている。

ちなみに、ニューヨーク証券取引所の株価の時価総額が16.7兆ドル、日本の東京証券取引所は3.5兆ドル、そして全世界のGDPの総額は45兆ドルだから、その額がいかに大きいのかが分かる。

日本円ではおおよそ2400兆円ほどだ。

日本政府の国家予算が96兆円程度だから、その25倍だ。

まさに天文学的な額である。

●アメリカをタックスヘイブンにする仕組み

そして、少し調べるとすぐに分かるが、アメリカは自国がタックスヘイブンになるための枠組み作りを数年前から周到に準備している。

2007年、スイスの国際的な金融グループ、UBSがアメリカ人富裕層の口座を国外の租税回避地に隠蔽していることが判明した。

米政府はアメリカ人の口座の全面的な開示を求め、同様の隠蔽を行っていたクレディスイスを含む80もの金融機関に50億ドルもの罰金を課した。

こうした事件がひとつの契機となり、2010年には「外国口座税務コンプライアンス法(FACTA)」が制定され、2013年から施行された。

この法律は、アメリカの市民権を持つすべての人々に保有する金融資産を「米国税庁(IRS)」への報告を厳格に義務づけるとともに、米国内のみならず海外の銀行も、米国民の口座をすべて「米国税庁」に報告しなければならないとする法律だ。

もし米国民が国外のタックスヘイブンに秘密口座を持っていることがばれると、巨額の罰金が課せられる。

その後2015年9月には、「香港上海銀行(HBSC)」のスイス支店からおびただしい数の秘密口座がリークするという事件があった。

その総額はおおよそ1200億ドル(14兆3000億円)で、口座の保有者には多くの著名人が含まれていた。

これまでスイスの銀行では口座所有者の秘密が保持されたため、本国で租税の支払いを回避したい富裕層の理想的なタックスヘイブンとされてきた。

だが「外国口座税務コンプライアンス法」の制定後、「HBSC」の事件なども手伝って、スイスの銀行はその伝統となっていた守秘義務を維持できなくなり、現在ではもっとも透明性の高い金融機関になってしまっている。

そして2012年、OECD(経済協力開発機構)はアメリカの「外国口座税務コンプライアンス法」にならい、「共有報告基準」を成立させた。

これはタックスヘイブンの出現を防止するため、各国が銀行口座、投資信託、投資などの情報をオープンにして共有するための協定である。

これまで理想的なタックスヘイブンとして見られていたシンガポールや香港を含め、97カ国が調印した。

もちろん日本も調印している。

ところが、アメリカ、バーレーン、ナウル、バヌアツの4カ国だけが調印しなかった。

アメリカはこの協定に入っていないのである。

●アメリカ国内のタックスヘイブン

これはどういうことかというと、アメリカは「外国口座税務コンプライアンス法」を楯にして、他の国々の金融機関に口座内容などの情報をすべて開示するように求めるが、アメリカ国内の金融機関の情報は他の国に対して一切公表しないということである。

つまりこれは、アメリカ国内に租税回避のための秘密口座を持っていたとしても、これを他の政府に開示する義務はないことを意味している。

つまり、アメリカ国内のタックスヘイブンはまったく問題ないということだ。

これは米国内にタックスヘイブンを作ると、国内外から集まる富裕層の資産は米国内で投資・運用されるため、米経済の成長に利するからだ。

反対に、米国人の資産が海外のタックスヘイブンに流れると、海外で運用されるため米経済にはプラスにならない。

いま米国内には、ネバダ州、サウスダコタ州、デラウエア州、ワイオミング州の4つの州がタックスヘイブン化している。

アメリカでは租税は基本的に州政府が決定しているが、これらの州では「法人地方税」と「個人住民税」がない。

さらに、破産したときに州内にある財産の差し押さえをできないようにする「倒産隔離法」なるものが存在しているところも多い。

また、どの州でも簡単な用紙に記入するだけで、誰でも会社が設立できてしまう。

OECDが成立させた「共有報告基準」にアメリカが調印を拒否したことは、米政府が国内のタックスヘイブンを維持し、そこに集中した世界の富裕層の資産を米政府自らが他の国の政府の追求から守ることを宣言しているようなものである。

●資金をアメリカに集中させる「パナマ文書」

さて、このように見ると米政府の国策機関である「ICIJ」がなぜ「パナマ文書」をリークし、なおかつその内容を選択して流しているのか分かってくるはずだ。

世界の富裕層は「モサック・フォンセカ」でペーパーカンパニーを設立して実態を隠し、架空の法人名でパナマをはじめ世界のタックスヘイブンのオフショア金融センターで資金を運用している。

「パナマ文書」のリークでペーパーカンパニーの本当の所有者がだれであるのか分かってしまうため、米政府やOECD諸国が「外国口座税務コンプライアンス法」や「共有報告基準」を適用してオフショア金融センターの銀行に口座の開示を迫ると、実際の資金の運用者の名前が明らかになり、本国の租税の徴収対象になってしまう。

これを回避するためには、ペーパーカンパニーと銀行口座の所有者の本当の名前が公表されるリスクが絶対にない地域に、富裕層は資金を早急に移動させる必要がある。

そうした国が米国内の4つの州なのである。

これから世界の富裕層の巨額の資産は、アメリカへと一気に移動すると見られている。

この資産をアメリカ国内に引き寄せることが、「ICIJ」のような国策機関が「パナマ文書」の内容を選択的に公開した理由であると見て間違いないだろう。

●不況に突入する米経済

では、なぜ世界の富裕層の資金をアメリカをタックスヘイブン化して集中させなければならないのだろうか?

昨年のFRBによる利上げ以後、世界の投資資金は新興国からアメリカに移動している。

それなのになぜ、パナマのような海外のタックスヘイブンを壊滅させてまで、いまの時期にアメリカに資金を集中させる必要があるのだろうか?

その理由は、米政府はこれから米経済が深刻な不況に突入することを予見しており、それに備えるためである可能性が高い。

急激に景気が減速している中国などの新興国にくらべ、米経済は堅調に成長しているとの報道が目立つ。

ニューヨークダウは最高値を更新し、GDPの成長率も年率で2%台の後半になる見通しだ。

これは先進国としてはかなり高く、0.4%の成長率の日本とは大きく異なっている。

しかし、アメリカの実体経済に目を転じると、状況はこれとは正反対であることが見えてくる。

先頃米アトランタ地区連銀は、経済予測モデル「GDPナウ」による第1・四半期の米GDPの伸び率の見通しを発表した。

前回見通しの0.4%から大幅に下方修正され、0.1%だった。

さらに同じ時期に発表された2月の卸売在庫高は、前月比0.5%減と、2年9カ月ぶりの大幅なマイナスであった。

これにより、米経済が第1・四半期に予想より大きく落ち込んだ可能性があることが示された。

こうした数値が示すように、いま米経済は深刻な不況に突入する可能性が高くなってきている。

その理由は、米企業の大幅な債務の増大と利益の減少、そしてそれらが引き起こしているある悪循環の存在だ。

●米企業の抜け出せない悪循環

これは次のような悪循環だ。

2008年のリーマンショック以降FRB(米連銀)は、ゼロ金利政策、ならびに米国債と住宅ローン債権の買い取りを骨子とする量的金融緩和策(QE)を昨年まで3度にわたって実施してきた。

そのため、市場にはほとんど金利のかからない資金があふれることになった。

他方、アメリカの実体経済は伸び悩み、需要の減少による慢性的なデフレ状態が恒常化しつつあった。

このため、特に中小企業を中心に利益は減少し、厳しい経営状態が続いていた。

そこで企業は、利益の減少を補い好調な業績を演出する必要から社債を膨大に販売し、それで得られる収入に依存するようになった。

社債は債務にほかならない。

要するに、借金をしてあたかも業績が好調であるかのような体裁を維持するということだ。

現在では、債務は企業の稼働資本のなんと平均で35%に達している。

これは過去20年で最大の債務の規模である。

だが、もし社債市場が大きく下げ、自社の社債が下落するとこの自転車操業は維持できなくなる。

また自社株が大きく下落すると、業績に対する市場の不安感から社債が売れなくなる。

このような危険性があるため、企業はさらに借金をして自社の社債と株を買い支え、値崩れが起きないようにしなければならなくなった。

幸い量的金融緩和で超低金利状態が続いていたので、借金は非常に容易だった。

この結果、企業の債務は全時価総額のなんと2.5%にも達している。

これは4000億ドル相当の額になる。

つまり、米企業は好調な業績を演出する必要から社債を販売して債務を増大させたが、この値崩れを防止するためにさらに借金をして債務を増大させるという悪循環である。

一見好調な米経済の背後では、企業によるこのような自転車操業が恒常化している。

●株の暴落と利上げの先送り

これは大変に危険な状態である。

もしここでFRBによるさらなる利上げがあると、利払いの増大に耐えられなくなった企業から破綻し、これをきっかけにして社債と株の市場は暴落しかねない。

さまざまなソースから、ニューヨークダウの大暴落のサインが出ているとする情報が出ている。

多くの市場アナリストは、月足、日足、週足のすべてで下降トレンドのサインが出ているという。

これは風船が爆発寸前にまで膨らんだ状態だろう。

もしここで利上げが発表されると、これが引き金となり実際に暴落する危険性は高い。

4月11日、オバマ大統領はホワイトハウスにイエレンFRB議長を緊急に呼び、金融政策について協議した。

政府はFRBの金融政策には介入できないことになっているため、これは異例の協議だ。

ここでオバマ大統領とイエレン議長は利上げの先送りを決定したものと見られている。

●「パナマ文書」のリークと富裕層の資金の呼び込み

さて、このように米経済の状況はかなり危ういが、FRBが利上げを先送りしたとしても、現在の状況ではちょっとしたことがきっかけとなり社債と株式の両市場は暴落しかねない。

それを契機に、リーマンショックを上回る金融危機に突入する恐れがある。

もしこれが大統領選挙が実施される11月8日以前に起こると、オバマ政権にとっては大打撃となる。

もちろん与党の民主党にも逆風が吹き、共和党に有利になることだろう。

こうした最悪な状況を回避するためには、外部から豊富な資金を米国内に呼び込むことができれば、それによる投資で社債と株価の暴落を防ぐことができる。

今回「パナマ文書」のリークでパナマなどの海外のタックスヘイブンが潰され、富裕層の資産が米国内のタックスヘイブンに移動してくると、こうした資産はやはり米国内で運用されることになる。

かなりの部分が社債と株式の購入にまわることは間違いない。

これで、市場の暴落と金融危機は回避される可能性が高くなる。

これを可能にするひとつの切り札になるのが、「パナマ文書」のリークでもたらされる世界の富裕層のアメリカへの資産移動である。

●EU諸国の社会不安は好都合

だが他方、「パナマ文書」のリークで税金逃れをしている富裕層への反発は大きくなり、社会不安が高まることは間違いない。

「パナマ文書」ではアメリカ人の情報はほとんど公開されていない。

「ICIJ」は、米民間人の情報はこれから公開されるとしながらも、米政治家の情報は含まれていないと断言している。

いまのところ、選択的に公開された情報は、EU諸国やアフリカに関するものが多い。

このため、さらに情報が公開されるにしたがい、特にEU内では富裕層に対する抗議運動がこれから激増する可能性がある。

社会不安の高まりだ。

これはいまの難民問題とともに、これからEU諸国を揺さぶる大きな問題になることは間違いない。

しかし、オフショアのタックスヘイブンが潰され各国で富裕層への反発と抗議が高まれば高まるほど、富裕層の資産は米政府によって秘密が保護されている米国内のタックスヘイブンに殺到することだろう。

皮肉にも、他の国々の社会不安の増大がアメリカへの資産移動を加速させるという構図だ。

また、このようにアメリカが世界の中心的なタックスヘイブンになることで、基軸通貨としてのドルは延命し、アメリカを中心とした現在のグローバル資本主義のシステムも維持される結果となる。

米国内に集中した富裕層の資産は、やはり米国の金融機関を通して世界の他の地域に分散的に投資される。

このようにして、グローバル経済に資金を循環させる心臓としての役割をアメリカは引き続き担い続けることが可能となる。

これはまさに、上海協力機構を中心に結束している中国とロシアの台頭に対抗し、アメリカの覇権を引き続き延命する方策でもある。

●これは本当にうまく行くのか?

おそらくこれが、「パナマ文書」の情報が米政府の国策機関である「ICIJ」によって選択的にリークされた目的だろう。

だとしたら、最近行われたG7や、これから開催されるG20、そして5月に行われる伊勢志摩サミットでは、タックスヘイブンの取り締まりのための国際的な方策が協議されるはずだ。

オバマ政権はこれらの場で米国の「外国口座税務コンプライアンス法(FACTA)」と、OECDの「共有報告基準」の厳格な順守を各国に強く要請することだろう。

しかし先に書いたように、「外国口座税務コンプライアンス法(FACTA)」は米国外の銀行に口座の開示を迫り、海外に金融資産を持つ米国人に米国税庁への資産の報告を義務づける法律である。

米国内の銀行は対象にはなっていない。

またアメリカは、OECDの「共有報告基準」には調印していない。

したがって、これら2つの規定の順守を各国に迫ることは、オフショアのタックスヘイブンを潰し、必然的に富裕層の資産をアメリカのタックスヘイブンへと逃避させることになる。

これは実に巧妙に仕組まれた仕掛けである。

しかしこれは本当にうまく行くのだろうか?

米国内で手のつけられない富裕層に対する激しい抗議運動が起こったらどうなのだろうか?

その可能性は決して否定できない。

これについては記事を改めて書くことにする。


転載終了


そろそろ米ドルが暴落して、デフォルトするのではないかと予想されていましたが、アメリカは他の国のタックスヘイブンを潰して、アメリカに超富裕層の資産を集めようとしているそうです。

ラムサによると、NASAはタイムマシンを既に開発していて、未来や過去に行ったりしているそうなので、何でもできちゃうようです。

未来に行って、アメリカにとって都合が悪い状況になっていたら、過去に戻ってその原因を解消して、修正しているのではないでしょうか?

アメリカは墜落したUFOをリバースエンジニアリングして、宇宙人のテクノロジーを手に入れているので、他の国とはレベルが違うようです。