グルっぽを作成しました。
「国語指導」という名称です。
国語(日本語)についてなら、なんでも語り合っていきたいと思います。
お陰様でたくさんの方にご参加いただいています。
関心のある方は、どうぞご参加お待ちしております。

今年度の、埼玉県公立高校入学考査が月曜日に実施されました。
その問題は、翌日の新聞に折り込まれます。
もちろん、分析は欠かせません。

今年の国語の問題で、一番注目したのは古典ですね。
古今著聞集の巻第九の「武勇第十二」にある「源義家衣川にて安倍貞任(さだとう)と連歌の事」が出題されました。
前九年の役(1051~1064年)の際の衣川の闘いです。
安倍貞任・宗任兄弟を追い詰めた源氏の大将、八幡太郎義家が貞任にこう呼びかけます。
「衣のたてはほころびにけり」
するとすかさず貞任はこう続けます。
「年を経し糸の乱れの苦しさに」
それを聞いた義家は、弓に番えていた矢を外し、帰ってしまうのです。

つまり、自分が読みかけた和歌の下の句に対して、当意即妙の上の句をつけた貞任に感心し、
その風流を愛でたのですね。
上の句と下の句がぴったり符合しているだけでなく、ともにかけ言葉を遣っています。
「たて」が衣の縦糸と館を表し、「いと」が糸と意図です。
さらに縁語(糸とほころび)も含まれる、かなり技巧的な歌ですね。

戦乱のさなかに、無教養な荒くれ者と思われた武士同士での和歌のやり取り、
原文では「さばかりの闘いの中に、やさしかりけることかな」と感動を表しています。
「やさし」というのは、ここでは「風流」という意味ですね。
平家物語でも、昼間熊谷次郎直実に打たれた平敦盛が戦場に笛を持参し、管弦を奏でていたことを知り、
「上臈はなほもやさしかりけり」と義経をはじめとする源氏の武将たちが感にいる、あれと同じです。

さて、私がこの問題に注目したのは、好きな時代、好きなエピソードということもありますが、
私の入試問題の予想がドンピシャに当たったこともあります。
まず、2年生から私のクラスにいた生徒は、この和歌のやり取りの部分だけは見た覚えがあるはずです。
教材に出てきました。
さらに、各単元を指導するときに「韻文の中で、詩が単体で出題されることはおそらくない。
ただし、知識として俳句の季語などの技巧が小問として問われることは十分考えられる。
また、和歌は古典の中に差し込まれる可能性がある。実際過去問でも韻文との融合文が出題されている。
そして、その場合掛詞が絡んでいるケースが何度かあるので要注意」
と告げてきました。

今回、まさに和歌を含む古文であり、その和歌は掛詞を使用しています。
その他、俳句の問題もありました。
問題を見た生徒たちの中には、小さくガッツポーズをした人もいるのではないでしょうか?
国語は一時間目ですから、予想が当たりいいスタートを切らせてやることができてよかったと思っています。
あとは結果を待つだけですね。
全員の合格を、心から祈っています。


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