ココサポ・プログラム 講師の青木です。

セラピストのお友だち、Gさんの話をします。

彼女の長女が中学生になった時に不登校になりました。
彼女は自分も心にいろいろ抱えていた人ですから、長女が不登校になったことも仕方がないとある意味覚悟していました。
そして、
「子どもが不登校になれる」ということは、とても「親が信頼されている証拠だ」と思っているとおっしゃっていました。
これには私も同感です。

本当に親が大変で苦しい時、子どもは絶対に問題を起こすことはないからです。親の危機が去って少し落ち着いた時、子どもはそれまで我慢し続けていた苦しさを、やっと出してくるという感じがします。

親に余裕があることが実感できなければ絶対に「自分は苦しい」と言ってこないのです。
それが出せずにずっと「いい子」で親を支えてきて、大人になった人が、ついに破綻しかけて私どもセラピストのところにらっしゃることが多いのではないかと私は思います。
(体にでたり、心にでたり、人間関係にでたり、破綻の仕方はいろいろですが。)  

さてGさんのお嬢さんの話ですが、Gさん自身の問題が一段落したころ、お嬢さんの不登校が始まりました。学校が少し荒れていてはいましたが、彼女がいじめを受けていた様子も無かったそうで、原因ははっきりしない状態が続きました。しかしGさんは決して無理に学校に行けとは言わずに、根気よくお嬢さんに寄り添って話を聞き続けたそうです。(実はこれが一番の早道です。)  

そこで最終的に出てきた原因になったと思われることは、「下の兄弟の出産」でした。下の子の出産の時にGさんは三歳になる長女に何の説明もしなかった、とおっしゃっていました。
=お母さんも、お父さんも急にいなくなって不安で泣いていたら、おばあちゃんが「あんたはお姉ちゃんになるんだから一人で寝なさい。」って言われてずっと泣いてた。一週間たってお母さんは帰ってきたけど、赤ちゃんがいたから我慢してた。と、中学生になるにも関わらずワンワン大泣きして訴えたそうです。  

彼女の場合もう一つ泣きながら訴えた事があります。その後もうひとり弟が増えて二人の弟のお姉ちゃんになった彼女の悩みです。 
=お父さんとお母さん二人いる時はいいけど、どちらか片方しかいない時、私にはつなぐ手が無かった。

そう彼女は泣きながら訴えたそうです。「ずっと我慢していたんだね。ごめんね。」とGさんは、長女をしっかりハグして一緒に泣いたそうです。
そして・・・彼女の不登校はあまりこじれずに、無事卒業したそうです。  

でも、世の中の長女長男はみんな不登校になる訳ではないと、おっしゃる方もいらっしゃると思います。

ちょっと比喩的な言い方をして、説明してみましょう。

私たちの心の中に愛情のお水を入れる「コップ」があるとイメージしてください。子どもは周りの大人たちから愛情のお水をもらって大きくなっていきます。
「自己承認のコップ」です。
しかし、何かの衝撃でコップのガラスにヒビができてしまうことがあります。(例えば下の兄弟の出産とか、迷子とか、親の入院とか)一度ヒビの入ったコップは脆くなってしまいます。
すると、次に受けたちょっとした衝撃でも穴が開いてしまうこともあって、そうなるとどんなにお水を入れてもらってもその穴の部分までしか水が溜まらないので、結果的に愛情不足な状態(自己承認ができない状態)に陥ることになります。

つまり、Gさんの長女のように、些細な出来事に対しても「ストレス耐性」が低くなって、不登校になってしまうこともあるのではないかと私は考えています。
 同じ出来事が起きても、ストレスに強い人と弱い人がいますが、持っている自己承認のコップの水位で、変わるように私には見えます。