私が大人のADHDの診断を鑑別に考えるとき | 精神医学をもっとわかりやすくもっと面白く。

私が大人のADHDの診断を鑑別に考えるとき

こんにちは。
ナルシスト活用を提唱する「ナル活」精神科医の西井重超です。

「アトモキセチンが奏効した双極性障害と診断されていたADHDの一例」
ということで、40分ほど講演をしてきました。
*アトモキセチンは商品名:ストラテラのことです。

私は発達障害の専門ではありませんが、
最近大人の発達障害をみることがちらほら増えてきました。
発達障害のことについて「診断が難しい」とよく言われます。
今日は私なりに少しADHDの診断について思うことを書いてみようと思います。

ADHDの診断はDSM-Vになって具体例が書かれ、
よりわかりやすくなったように思えます。
ただ、それでも発達障害だという診断はつきにくい。
診断基準を覚えるのが大変ということもありますが、すごく曖昧な表現ですが
ピンときにくいということが診断に至らない原因の一つなのかなと思いました。

例えばアルツハイマー型認知症の診断基準には含まれませんが、
アルツハイマー型認知症っぽい症状に多幸的というものがあります。
質問に対し「うふふ、どうやったかねぇ」という返答。
臨床医なら「アルツハイマーっぽさ」を感じる人は少なくないでしょう。

それと一緒の考え方でADHDの診断基準ではないけれども
ADHDっぽい感じっていうのがあると思うんです。
以下は私が参考書などを読んで大人のADHDの特徴として書いてあることを
乱雑にメモしたものの一部です。

打ち合わせの書類を忘れる

足をよく組み直す

机を指でたたく

ペンをよく回す

金銭管理ができない

思いついたらすぐ言動に出す

不用意な性的関係

遅刻が多い

作業途中で別の作業をする

せっかちでイライラしやすい

部下によく当たる

ミスをしても仕方ないと思う

急に怒り乱暴な態度になる

独断で重要な物事を決める

家族が予定の確認などをする

家族にしまった場所を聞く

少しだらしない

極端なおしゃべりで社交的

次から次へと何かを思いつく

まめな連絡が苦手

片づけられない

考えずに行動しているように見える

欲しいと思ったらすぐ買う

怒りっぽいとよく言われる

はじめはなんでも楽しんでする

習い事が続かない

頭の切り替えが苦手

書類を作ると記入漏れをよくする

忘れ物防止に大きなカバンを持つ

怠け者だと自分のことを思う

診断には発育歴が大事といわれています。
しかし、ぶっちゃけ限られた診察時間ですべての人にADHDに関わる発育歴を
聞いていけるかというとそうではない場合も多いでしょう。
となるとやはりピンとくることが大事。
忘れ物防止に大きなカバンを持つ」とかなかなか思いつかないですよね。
ピンとくるためには上記のような
っぽい感じ」をつかんでおく
いいのかなと思っています。

「ナル活」精神科医の西井重超でした。
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http://twitter.com/nishiishigeki