阪南大クラブvs福島ユナイテッドFC:観戦レポート | ここからJリーグ

阪南大クラブvs福島ユナイテッドFC:観戦レポート

準々決勝。他の3試合は地域リーグ決勝大会の出場権を持っている所謂権利持ちが勝ち残っていたため、阪南大クラブと福島ユナイテッドFCはこの試合で勝てば全社枠での地域決勝出場に大きく近づくことになる試合だった。
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省エネサッカー福島U、攻め続けた阪南大クラブ

試合は阪南大クラブが攻めて福島ユナイテッドFCが守る構図となった。福島ユナイテッドFCは元々攻撃的なサッカーをするチームだが、疲労を考慮してか、守備を堅めたまま攻撃は前線の選手だけに任せた。

相対するように阪南大クラブは常に攻め続けることになる。しかしながら阪南大クラブは攻めさせられているわけではない。阪南大クラブは若さあふれるフィジカルコンタクトとスピードを生かして両サイドで勝負した。福島ユナイテッドFCの守備をなかなか崩すことは出来なかったが、粘り強く勝負することでセットプレートのチャンスを多く獲得する。決定的な場面は阪南大クラブが圧倒的に多かった。

24分、阪南大クラブはペナルティエリア外ゴール正面でボールを受けた15片山雄大が勢いよく右足を振り抜く。片山自身がノーマークでシュートコースもしっかり空いていた。シュート練習のような状態になったが、片山が放ったボールは僅か左に逸れた。
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阪南大クラブに生じた綻び、逃さなかった福島ユナイテッドFC

阪南大クラブが先制するのは時間の問題と思われた。ところが、ここで事件が起こる。33分、阪南大クラブはCBの29朴賛友が福島Uの時崎塁と接触してしまい、一時的に戦列を離れることになった。

福島ユナイテッドFCはこのチャンスを逃さなかった。応急処置的にポジションを修正してばたついていた阪南大クラブの守備を福島ユナイテッドFCは久野純弥が切り裂く。久野は左サイドから簡単に阪南大の守備を突破すると、飛び出していたGK山田健太をよく見て冷静に流し込んだ。
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守備を崩さず、無理なく攻めて効率よく先制点を奪った福島ユナイテッドFC。このチームがこれ程賢く戦えるチームに成長しているとは思わなかった。

反撃の阪南大クラブ・・まさかの自滅

後半も福島ユナイテッドFCは守備を崩さなかった。福島ユナイテッドFCは4バックとセンターハーフが一時も崩れることなく、低い位置阪南大クラブの攻撃を防ぎ続けた。攻撃も2トップにサイドハーフが絡む程度のカウンターを仕掛ける程度。時折、サイドバックが補助に入っていたがこの日に限っては珍しい光景だった。

阪南大クラブが引き続き積極的に攻め込む。2日間連続でロスタイム同点・逆転劇を目の当たりにしている私は、阪南大クラブにドラマを期待した。

期待は裏切られた。阪南大クラブは後半26分に38加藤雄大が2枚目の警告を受けて退場してしまう。特に加藤はファイトあふれるプレーで阪南大クラブの攻撃を牽引していただけにダメージは大きかった。
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それでも阪南大クラブはセットプレーからチャンスを作り続けた。後半35分には左CKから中央へボールを放り込む。一度は弾かれたが、右サイドに流れたボールを29朴賛友が拾って再び放り込んだ。中央で合わせたのは22金城基樹。金城は右足でそれを捕えてゴールへ叩き込もうとしたが、ゴールはクロスバーを超えた。
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見せつけた大人のサッカー


平均年齢20.5歳。若さ溢れる力強さを全面に出して戦っていた阪南大クラブ。現実は厳しかった。福島ユナイテッドFCが追加点を奪って試合を締めることになる。これが勝負に徹した時に大人の戦い方だ。

後半ロスタイム、福島ユナイテッドFCはカウンターから右サイドをドリブルで駆け上がった22久野順弥がGKとの一対一の場面を迎える。同点に追いつきたい阪南大クラブにとって絶体絶命のピンチだ。このピンチはGK山田健太が体をはって防いだ。
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ここで点が取れるチームとそう出ないチームの差が出た。福島ユナイテッドFCはGK山田が弾いたボールに対して、途中出場で入ったばっかりの16小西祥がきちんと詰める。小西はこぼれてきたボールを大きく開いていたゴールに蹴り込んだ。
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福島ユナイテッドFCが大会3日目ということで無理なく攻めて勝利。この時点でチーム初となる地域リーグ決勝大会出場へ大きく前進したと共に、優勝へ向けて次に繋がる勝利を得た。
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福島ユナイテッドFCが全社枠での地域決勝出場が決定!


準々決勝全日程が終了し、福島ユナイテッドFCが全社枠での地域リーグ決勝大会出場が決まった。東北リーグでは2年連続でグルージャ盛岡の壁に阻まれた。昨年の全社は関東王者のYSCCに阻まれた。本格的に全国を狙うようになって2年目で地域決勝の舞台を掴むことに成功した。

難しいのはここからだ。地域決勝の壁は厚い。この壁を超えられないまま何年も挑戦しているチームは少なくない。中には志半ばに姿を消したチームすらある。この壁を1回で超えるためにも、全社の残り2試合で手ごたえを掴んでおきたい。福島ユナイテッドFCの挑戦はまだ始まったばかりだ。