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ブログ移転のお知らせ

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カマタマーレ讃岐がJリーグ準加盟

カマタマーレ讃岐がJリーグ準加盟!


今年からJFLを戦うカマタマーレ讃岐は申請していたJリーグ準加盟が承認されて事を発表しました。
Jリーグ準加盟が承認されました|カマタマーレ讃岐
Jリーグ準加盟審査について|Jリーグ

昨年の早い段階からホームタウンとなる香川県知事を表敬訪問するなど着実に準備を進めてきた成果がここに現れました。もちろん、地道に続けてきた地域活動があってのものというのも忘れてはなりません。Jリーグ加盟に向けてまず一つ大きなハードルをクリアしました。次なるステップへ、まずは来る全国リーグを楽しんでいってください。カマタマーレ讃岐の関係者およびサポーターの皆様、おめでとうございます。
浜田県知事表敬訪問 | カマタマーレ讃岐
高松市長、市議会議長 表敬訪問 | カマタマーレ讃岐


ツエーゲン金沢、FC琉球は承認されず・・


カマタマーレ讃岐と共に準加盟申請をしていたJFLのツエーゲン金沢とFC琉球は準加盟申請が通らなかったとのことです。しかしこれで道が途絶えたわけではありません。むしろNGとされたところが明確になったのは大きなステップアップです。Jリーグに突きつけられた問題とその対策を明らかにし、サポーターやスポンサー企業と共有する事で克服していきましょう。

参考としてガイナーレ鳥取が昨年のJリーグ加盟申請で条件付きとなった際の対応を紹介します。
Jリーグ入会予備審査 結果ご報告及び今後の対応|ガイナーレ鳥取

例えば平均入場者数が下回っているとの指摘に対して「9月18日のホームゲームに予定しております1万人プロジェクトに全力を挙げます。」と明示しました。同試合への動員に向けてのプロモーションをサポーターと共にする事が出来た結果、ぎりぎり1万人には達しませんでしたが、平均入場者数の問題をクリアしました。問題が明らかになったのは三位一体の強い関係を作るチャンスだと思います。

SGシステムvsSC相模原:観戦レポート

年が明け、いよいよ各Jクラブが始動を始めた。来る新しいシーズンで愛するチームはいかなる結果を残すか。待ち焦がれている毎日をお過ごしでしょう。ところがしたのカテゴリに目をやると、実はまだ2010シーズンを終えていなかったりする。全国的な寒波に見舞われて各地で雪による被害が出る中、幸いにして平穏を送っている関東首都圏では関東リーグ2部の入替戦が行われた。

今回お伝えするのは関東リーグ2部6位のSGシステムと、関東リーグ昇格を賭けた都県決勝で準優勝のSC相模原の一戦。SGシステムは佐川急便の子会社で、かつてのJFL強豪であった佐川急便東京に在籍した選手もプレーしている。関東2部では6勝8敗勝ち点18、6位となっての入れ替え戦出場。しかしながら2010年の関東2部は、2位となった神奈川県教員が勝ち点20であったように大混戦だった。降格して当然と言われるような弱いチームでは決してない。SC相模原は当ブログではお馴染みのJリーグ準加盟チーム。JFL昇格を賭けた地域決勝では一次ラウンドで敗退したが、神奈川県3部からついに関東リーグを目の前にした。

会場は駒沢オリンピック公園の補助競技場。元々観戦するための競技場ではないので観戦者に厳しい環境であったが、それでもおよそ300人もの観客が試合を見届けた。

SGシステムが先手。堅守で主導権を握る


試合はSC相模原が先攻で主導権を握ろうとしたところでSGシステムがカウンターから先手を打つ。カウンターから13菅沼守が左サイドを抜け出してゴールへと迫ったのを筆頭に、CKからチャンスを演出。決定機とはならなかったが、最初の奇襲に成功した。
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SGシステムはSC相模原を徹底的に研究していた。サイドはある程度余裕をもたせて、中央を堅める守備をとった。SGシステムの守備はクロスを跳ね返すだけでなく、ゴール前へ楔となるパスを通さない。非常に堅い守備を披露した。

攻めては11根本知治、13菅沼守が最終ラインに張り付いて常に裏を狙う。攻撃は前線の4人に任せきって、後方の選手は決して守備の陣形を崩さなかった。シンプルなサッカーを貫いたSGシステムがSC相模原を自由にさせず、試合を優位に進めた。

徹底した守備を前にSC相模原は苦戦する。攻撃の要である前線の斎藤将基にはなかなかボールが収まらず、中央から攻撃を展開する事ができない。辛うじてサイドに流れてクロスを上げるなど、遠目からこじ開けようとする時間帯が続いたが、ことごとく跳ね返され続けた。
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隙を突いたSC相模原が先制


拮抗した試合展開。このまま後半へ突入すると思われた前半終了間際に試合は動くことになる。この時間帯にきてSGシステムは勝負をかけたのか、あるいは集中力を欠いたのか、頑なに崩さなかった守備を崩して重心を高くした。SC相模原はその隙を逃さなかった。SC相模原は最終ラインの裏にボールを放り込むと、18斎藤将基が1人抜け出す。斎藤はそのボールをうけると、飛び出していたGKをよく見て丁寧にゴールへと放り込んだ。SC相模原が一瞬のチャンスを生かして先制した。
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スタイル貫いたSGシステムが同点


後半は先制されたSGシステムの戦い方に注目することとなる。何かしら攻撃の手を打つのか、あるいは守備的なサッカーを貫いて同点を狙うのか。SGシステムの回答は後者だった。SGシステムは後半もバランスを崩すことなくカウンターからゴールを目指した。

ついにSGシステムの攻撃が実る。後半8分、4浜崎真人がSC相模原の最終ラインを右から突破すると、PA内に侵入したところで後方からのタックルを受ける。主審の判定は疑う余地もなくSC相模原のファウルを告げた。SGシステムは後半開始早々にPKを獲得した。SGシステムはこのPKを10小山悠がゴール左にきちんと蹴り込む。スコアを同点とした。
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SC相模原は吉岡投入で持ち直す


試合を振り出しに戻されたSC相模原は流れを取り戻すべく、選手交代に踏み切る。サイドバックの13鈴木隼人に変えて攻撃的な15吉岡航平を投入した。この交代が的中する。左サイドハーフの位置に入った吉岡はボールを左サイドから中央へ運び続ける。それまでのSC相模原には無かった動きが加わったことでSGシステムを混乱させると、決定機を作り続けた。
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耐え続けたSGシステム、運命分けたラストプレー


押し込まれながも逆転を狙うSGシステムはSC相模原の攻撃をGK山口徹を中心とした体を張った守備で防ぎ続けた。耐えて、耐えて、耐え続けて作り出した絶好機は後半終了間際。SGシステムは自陣左コーナー付近でSC相模原にFKを与えてしまう。ラストプレーの大ピンチと思われたが、SGシステムはこのセットプレーでボールを奪うと、一気に前進した。足が止まっていたSC相模原に対してSGシステムが全員で押し上げた結果、絶対的な数的優位の状況を作り上げた。SGシステムはボールを持ち上がった4浜崎真人が左サイドから中央へスルーパスを配球。フリーで走り込んでいた3石川清司に渡れば得点は確実とも言えるチャンスとなった。
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しかしラストプレーのラストパスはSC相模原のGK佐藤健が丁寧に対処。スコアを同点としたまま90分の戦いを終えた。試合は10分ハーフの延長戦へ突入する。
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消耗しきった延長戦


延長戦は消耗戦となった。というより既にSGシステムの選手に走る体力が残っていなかった。時間の経過と共に足が止まっていくと、SC相模原に与えるスペースが増えていった。

SC相模原は止まりはじめたSGシステムを相手に畳み込む。延長前半7分、右サイドに空いたスペースに17金澤大将が走りこむと、SC相模原は逆サイドからピタリとボールを送った。金澤は慌てるSGシステムの守備を引きつけると、簡単に中央へボールを送り込んだ。中央に走り込んでいたのは18斎藤将基。斎藤は頭でピタリとボールを捉えると、ゴールへとねじ込んだ。
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SC相模原は更に延長後半6分、9森谷佳祐が右サイドから持ち込んでゴールへと迫る。最後はきちんとボールをゴールへと流し込んだ。
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全力を出し切った両者


関東2部の舞台を賭けた一戦はSC相模原が粘り勝ちを収めた。対策を尽くしてきたSGシステムに対しても、ひとつのチャンスで先制した決定力はさすがのものだ。確かに、絶対的な戦力を揃えなが確かにSC相模原は苦戦した。しかしその点については出来る限りを尽くしたSGシステムを誉めるべき試合だった。SGシステムは2011シーズンを東京都リーグで戦う事となる。再び関東の舞台へ戻ってくることを願うばかりだ。

試合終了間際、SC相模原は1人の退場者を出した。私自身、退場となったプレーを見ていなかったので詳細は不明だが、報復行為での一発退場だったとのこと。これは退場となった選手個人の問題ではない。SC相模原は新しいシーズンを迎えるにあたり、チームが何を目指すのかというのを振り返る必要があるのかもしれない。

アルテ高崎vs三洋電機洲本:観戦レポート

日本のサッカーにシーズンオフはない。Jリーグが終わったと思いきや、天皇杯の本戦が残っていたり、インカレや高校サッカーが始まったり。幅広く見始めると、つまみ食いをしているうちに気がついたら開幕を迎えていたりする。あるいは終わりというのが来年へ向けた戦いの始まりでもあると言えば、心臓には悪いが退屈しない。この際、終わりという表現が適切かどうかはわからないが、ひとつの戦いが終わろうとしていた。JFL入替戦第2試合「アルテ高崎vs三洋電機洲本」がアルテ高崎のホーム浜川運動公園競技場で行われた。
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お伝えできなかった入替戦第1試合は三洋電機洲本のホームであるアスパ五色で行われて、アルテ高崎が3ー0で勝利。敵地で3ー0勝利ということでアルテ高崎がJFL残留へ向けて優位に立っていた。

攻め続けた三洋電機洲本が先制


少なくとも3得点が必要な三洋電機洲本は前半から攻撃的に試合を進める。元々自ら組み立てて攻めるのは得意なチームではないが、出来る事の精一杯を出した。主になったのは前線への放り込み。ゴール前で攻撃の起点を作ってアルテ高崎のゴールに迫り続けた。

19分、三洋電機洲本がひとまず先制する。三洋電機洲本は右サイドでFKを得ると、壁を越してゴール前にボールを配球する。これを受けたのは3太田晃一。太田はフリーでこれを受けると、反転して右足を振り抜き、ゴールへとねじ込んだ。
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ローペースのアルテ高崎


アルテ高崎は明らかに集中力を欠いていた。いや、欠いていたと言い切るほどではないかもしれない。必要十分のサッカーをしているように見えた。しかしながらアルテ高崎が無理をする必要はない。結果論かもしれないが、肩の力が入るぐらいならば少々気持ちに余裕のあるサッカーをした方がいい試合だった。

アルテ高崎は三洋電機洲本の攻撃をあしらうと、攻撃に転じる。27分、アルテ高崎は右サイドを16岩間雄大が攻め上がると、GKと最終ラインの裏に絶妙なスルーパスを通す。そこに走り込んでいたのは34小柴翔太。小柴は三洋電機洲本の守備陣ともつれながらボールを捉えようとしたが、あと一歩足らなかった。
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アルテ高崎は三洋電機洲本が殆ど使わなかった中盤のスペースを効果的に使う。縦にボールを動かしてはサイド攻撃を仕掛けていた。これが全国リーグを戦っているチームの標準だ。まるで幼児をあしらう様とは言い過ぎかもしれないが、パスの回し方ひとつを見ても歴然とした差を目の当たりにした。

後半、遠い1点


後半開始時、アルテ高崎は2人の選手を替えた。「ホームで勝っていなかったので勝ちたかった」とは試合後のインタビューで監督とキャプテンが口を揃えて言った台詞だ。アルテ高崎は今年のJFLはホームで1勝も挙げられていなかった。残留を目指した入替戦とはいえ、だからこそホームできちんと勝利してシーズンを締めくくりたかったらしい。下げられた2選手が特別に気持ちを切らしていたというわけでもなさそうだったが、この交代をメッセージとして後半はアルテ高崎も積極的に攻めるようになる。

後半15分、アルテ高崎は右CKのチャンスを得ると、最後は7山田裕也が右足でボールを捉える。しかし相手DFに寄せられていて十分なシュートを放つ事ができなかった。攻めど攻めど遠い1点。ホームで3得点をとったのが不思議なくらいにアルテ高崎はゴールから遠かった。
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1点が遠いのは三洋電機洲本も同じだった。放り込み一辺倒となりバリエーションに欠く攻撃ではアルテ高崎をこじ開けることができない。セットプレーでも、同じ手をアルテ高崎の守備が許すわけがない。ついに三洋電機洲本が決定機を迎えることはなかった。

決着は自らつける


そして180分の戦いは主審の笛を待たずして決着を迎える。後半ロスタイム、アルテ高崎は左サイドからクロスを送り込む。送られたクロスは三洋電機洲本の守備が対応するが、ここで甘さを見せてしまった。弾いたはずのボールはちょうど良いポストプレーとなってアルテ高崎の吉田明生へと送られてしまった。ゴール正面でボールを受けた吉田は迷うことなくボールをゴールへと蹴り込んだ。アルテ高崎はJFL最終節にロスタイムで蹴落とされた入替戦をロスタイムにケリをつけた。
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三洋電機洲本が見せた一瞬の隙。全国リーグではこの一瞬の隙が失点に繋がる。第2戦は1ー1、トータルスコア4ー1でアルテ高崎がJFL残留を果たした。

三洋電機洲本が果たした2つの役割


地域リーグ決勝大会一次ラウンド3試合、同決勝大会3試合、入替戦2試合。ながい戦いに終止符が打たれた。結果は関西リーグ1部残留。三洋電機洲本は昇格を果たすことはできなかった。

試合が終わってもピッチから離れられない三洋電機洲本の選手たち。横になる者、そのまま崩れ落ちる者、某然としたままピッチを去ろうとする者。私は藤枝ラウンドから見ているだけに、彼らがとった一つ一つの行動に胸の中を強く握られた気分になった。8試合の死闘を終えても三洋電機洲本は何も手にすることはできなかった。

いや、何も手にしていないわけではない。三洋電機洲本は大切な役割を果たした。ひとつは今回唯一の企業チームとして参加し、JFL昇格へあと一歩のところにたどり着いたこと。今年の地域決勝は特にクラブチームの参加が多く、元Jと言われる選手がどのチームにも所属している状態だった。金銭に任せて補強するチームが未だ耐えない中、身の丈にあったチーム編成でこの場所までたどり着けたことは他のチームに向けた強烈なメッセージとなったはずだ。

もう一つ、三洋電機洲本が果たした役割は、声だしのサポーターを獲得したことにある。彼らが今回だけでなく、藤枝の一次ラウンドからずっと三洋電機洲本の戦いを見届けてきたことは知っている。高崎にも応援へ駆けつけてきたというだけでも熱いものを感じるが、試合中の声だし応援をしていたことに感動を覚えた。

今の日本の地域リーグに決定的に足らないのはサポーターの存在と考えている。特に関西リーグでは1部に限れば奈良クラブとバンディオンセ加古川にしかサポーターと言える団体が存在しない。アマチュアカテゴリには不要という方もいるかもしれないが、ピッチに緊張感と試合の意義を与えるサポーターは日本のサッカーがこれから発展する上で必要と私は感じている。

三洋電機洲本は8試合の死闘を経てサポーターの存在を手にした。彼らが今後も同じ様なサポートを続けていくかは分からないし、傍観者である私が口出しをすることではない。しかし、来年のリーグ戦が始まってもまた三洋電機洲本にサポーターがついていたとすれば嬉しいことはないだろう。必ずや三洋電機洲本のみならず関西リーグ、果ては日本のサッカーを支える存在のひとつになると考えている。
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最低限の結果。求められるさらなる進歩


今年もJFL残留を果たしたアルテ高崎。最悪の事態を免れてまずは安堵といきたいところだが、反省してやまないシーズンとなった。ここ数年で、かつて最弱と言われたほどに弱いチームでは確かになくなった。全国リーグを戦うに見合うサッカーをできるようになったのは大きな進歩だ。しかしながら、これでもまだ足らないというのが成績で突きつけられることとなった。来年は外部環境が安定するという噂を耳にしている。それがどう転ぶのかは蓋を開けて見なければ分からないが、アルテ高崎の来期の戦いを楽しみにしている。
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今年は日本代表がW杯でベスト16に入るという快挙を成し遂げた。日本のサッカーは着実に強くなっている。それはJリーグだけの話だけではない。Jリーグとつながっている以上、JFLも地域リーグもどんどん高いところに向かっている。今の日本のサッカーにおいて一瞬の一時だけ変わるだけでは何も生まれない。進歩し続けることが求められている。そんなことをアルテ高崎に学び、今の自分に当てはめるのであった。

三洋電機洲本vsカマタマーレ讃岐:観戦レポート

地域リーグ決勝大会決勝ラウンド3日目第2試合「三洋電機洲本vsカマタマーレ讃岐」。第1試合の結果、AC長野パルセイロの2位、YSCCの4位が決まったためこの試合は優勝を争う試合となった。三洋電機洲本は90分以内の勝利で優勝、それ意外で3位となり入替戦を戦うこととなる。逆にカマタマーレ讃岐は90分以内で敗れなければ優勝となった。奇遇にも引き分けとなった第1試合と同じ境遇。9地域の頂点を決める6日間もこの試合で終わる。
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三洋電機洲本が攻めた前半戦


前半はJFL昇格へ勝利が必要な三洋電機洲本が積極的に攻める。最終日とあって、三洋電機洲本にもついに声だし応援が加わった。メインスタンドでは「eneloop」と書かれた青いスティックバルーンと赤いタオルマフラーが配られる。三洋電機洲本に関係がある人も無い人も一体になって選手の背中を押した。

18分、三洋電機洲本は右サイドから14梅川毅士が抜け出すと、勢いをそのままにシュートを放つ。DFともつれながら放ったシュートはGK家木にしっかり止められてしまった。
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43分には正面遠目の位置から8廣瀬一樹がミドルシュートを放つ。一直線にゴールを目指したボールはGKを惑わす弾丸となったが、惜しくもクロスバーを叩くのみだった。
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無理をしないカマタマーレ讃岐


一方のカマタマーレ讃岐は全くと言っていいほど攻めに転じなかった。全社の5日間決戦を無敵で勝ち上がったカマタマーレ讃岐でさえこの日は体力に気を遣っていたようだ。攻めても岡本、吉澤、飯塚といった攻撃的な選手が絡むのみ。まるで攻撃に厚みが無かった。吉澤に至ってはマリーシアを繰り返すなど、時間稼ぎと相手の集中を乱すのに精を出していた始末だ。

前半はカマタマーレ讃岐の思惑通り、スコアレスで終了する。引き分け以上でよいカマタマーレ讃岐とて、まさか最初から引き分け狙いなわけがない。どこかで点を取りにくるときが勝負の分かれ目となった。

後半からカマタマ始動


後半に入ると、いよいよカマタマーレ讃岐が攻めに転じる。両サイドを制圧して三洋電機洲本を押し込むと、チャンスを作り続けた。こうなると逆に三洋電機洲本の強さが生きる。三洋電機洲本の眈々としたカウンターは迫力こそないものの、決定力が高い。全国の強豪を押しのけてきたのを目の当たりにしているだけに、尚更緊張感を感じる展開となっていた。スコアを動かすのはどちらか。

先制したのはカマタマーレ讃岐だった。後半13分、カマタマーレ讃岐は左サイドでFKを得る。8下松裕が上げたクロスは22神崎亮佑の頭を経由してゴールへと収まった。カマタマーレ讃岐は決勝大会で得た4得点全てがセットプレーでの得点となった。セットプレーで得点できるチームは強いと言うが、それを身をもって実践した形となった。
ここからJリーグ-三洋電機洲本vsカマタマーレ讃岐
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走り抜いた三洋電機洲本


失点を喫して自動昇格が絶望的となった三洋電機洲本。逆転へ何かしらアクションを起こしたいところだった。しかしながら、三洋電機洲本の体力はもはや限界に達していた。走るのが精一杯でパスは精度を欠き、まるで攻撃を組み立てられない。私自身が藤枝からの6試合全てを見ているという背景が影響しているのかもしれないが、精魂尽きても走り続けた三洋電機洲本には強く心を打たれた。

特筆すべき絶好機は両チーム共に訪れなかった。前半に体力を使い切った三洋電機洲本と、90分走り抜いたカマタマーレ讃岐。負けなければよいという精神的なアドバンテージがあったとはいえ、カマタマーレ讃岐が駆け引きで勝った形となった。

なるべくしてなった王者カマタマーレ讃岐


カマタマーレ讃岐は全国社会人サッカー選手権大会に続いての2冠となった。これで2年連続で全社王者と地決王者が同一チームになったことになる。準優勝のAC長野パルセイロも全社で準優勝となっており、今後も全社の結果がひとつのパラメータとなりそうだ。

カマタマーレ讃岐は2年ぶりの決勝大会で悲願を達成した。かつて四国王者として出場した時は大敗を喫することも珍しくなく、カマタマーレ讃岐への評価は一向に上がることがなかった。ところが全社で優勝し、一躍脚光を浴びると、マークがきつくなったであろう地域リーグ決勝大会でも勝ち星を重ねた。

カマタマーレ讃岐の特徴は守備に徹した時の強さ。3バックから5バックまで自在に変化するバックラインはなかなか興味深かった。この地域リーグのカテゴリにはサイドから崩すチームが多いだけに、5バックで両サイドを固めてしまえば大抵の攻撃は防げる。攻めては3枚のみを最後尾に配置して前線の枚数を厚くする。攻撃陣は飯塚をはじめとしたボールを足元に収めることができる選手が揃っているため、相手のバックラインの裏を幾度となく突いてきた。

そして何よりも印象的だったのはオンとオフの切り替えが上手かったこと。相手に主導権があった場合は無理をして攻めず、疲れたところでスピードを上げて勝負を仕掛ける。それは正に勝ち方を知っているチームの戦い方だった。Jリーグのチームがなく、サッカーをあまり知らない文化圏のチームは、このオンとオフの戦い方を使い分けられないことが多い。香川県のチームがこれほどに成熟した戦い方をしてきたのは衝撃だった。正に昇格すべくして昇格したとしか言いようがない。カマタマーレ讃岐おめでとう!
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昇格2チームの共通点、鍵は普段のリーグ戦


まだ入替戦を残しているが、昇格を決めた2チームの共通点をここで挙げたい。両チームに共通するのは普段のリーグ戦から地域リーグ決勝大会を意識した戦いをしてきたことだ。

優勝したカマタマーレ讃岐で印象的なのが9月に四国リーグを観戦に行った時の光景だ。中位のチームを相手に前半を3ー0のリードで折り返すも、ハーフタイムのミーティングでは徹底的にダメを出した。それ自体は珍しくなくないことかもしれない。しかし北野監督の「この程度の暑さでへばっていたら3連戦は戦えない」という言葉が今でも耳に残っている。カマタマーレ讃岐は常に地域決勝を意識した戦い方をしてきた。そして、カマタマーレ讃岐はリーグ戦を勝ち取った後に、全社できちんと優勝を果たしている。

AC長野パルセイロについては数字に残っている。リーグ戦14試合で68得点というのがそれだ。数字だけでなく、8月に観戦に行った時は何得点しようが常にスコアレスの戦いをしていた。同等のチカラがあるJAPANサッカーカレッジとの差を見ればなお分かりやすい。その成果として、AC長野パルセイロは一次ラウンドでさいたまSCに4得点、決勝ラウンドでも三洋電機洲本に4得点を奪っている。決勝ラウンドの最終戦でAC長野パルセイロが自力で2位を決められたのもその4得点が大きく影響しているので軽視できない。

私も全ての地域の全てのチームを等しく見たわけではないので一概には言えないが、とりわけこの大会を意識して戦ってきたチームが頂点を極めることとなった。JFL昇格を有力視されながらも一次ラウンドで散ったチームに決定的に足らなかったのはこれだ。

勘違いしていただきたくないのは、リーグ戦を軽視しろというわけではない。きちんと目の前の対戦相手に目を向け、相手がどこだろうと等しく丁寧に戦うことが求められると言いたい。敗退したチームは相手を軽視して戦ってはいなかっただろうか。結果としてリーグ戦さえ優勝すればよいと考えていなかっただろうか。選手のキャリアだけを比較して勝った気になっていなかっただろうか。まだまだ地に足が付いていないチームが多いことを警告して本大会の締めとしたい。
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