過労死で毎日1人超の命奪い労災最多となった日本、「残業代ゼロ」でさらに労働者の命奪うのか | すくらむ

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労働者の命を奪い続ける長時間労働が続く日本で、「働き手の怒り、連合へ 「残業代ゼロ」容認抗議、本部前デモ」(朝日新聞2017年7月20日05時00分)という異例の事態も生まれてしまっています。長時間労働を容認することは、過労死を容認することであり、労働者の命をも軽視することです。そのことは、客観的事実の問題として、政府統計でも明らかです。

厚生労働省は6月30日、2016年度の「過労死等の労災補償状況」を公表しています。これをもとに、いくつかグラフを作成しましたので紹介しておきます。

▼過労死等の労災請求件数は2016年度に2,411件と昨年度より101件増えて過去最多の件数となっています。いまの安倍政権は2012年12月末発足なので、2012年度を起点とすると、安倍政権になって毎年増え続け、直近の2016年度2,411件は2012年度2,099件と比べ312件(14%)も増えています。1年間で2,411件ということは365日で割ると6.6件です。いま日本では1日に6人以上が過労等により脳・心臓疾患、精神障害の労災となっているわけです。



▼過労等の労災請求件数を、脳・心臓疾患と精神障害で分けて見ると、精神障害による労災請求が激しく増えていることがわかります。直近の2016年度1,586件は2012年度の1,257件と比べ329件(26%)も増えています。



▼過労等による精神障害の労災請求件数の推移を年齢別に見ると、2015年度から2016年度にかけて40~49歳の年齢層が83件(18%)も増えています。

 



▼2006~2015年度を合計した年齢別の労災請求件数を見ると、若年層は脳・心臓疾患に比べ精神障害が多発していることが分かります。



▼過労死・過労自殺(死亡件数)の推移を見ると直近の2016年度で459人。365日で割ると1.25となりますから、2016年度も日本では毎日1人以上が過労死・過労自殺で命を奪われているのです。



安倍政権による「残業代ゼロで働かせ放題・過労死しても自己責任」となる高度プロフェッショナル制度創設や裁量労働制の拡大は、こうした現状をさらに悪化させるものになります。

そして、過労死・過労自殺で毎日1人以上の命が奪われ続ける現状を一刻も早く解消するために、「8時間働いたら帰る、暮らせるワークルール」をつくる必要があります。