「私は読者を裏切る秋田書店が許せません」-不当解雇の撤回求め提訴した首都圏青年ユニオン組合員 | すくらむ

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 ※首都圏青年ユニオン組合員がたたかっている「秋田書店:景品水増し・不当解雇事件」の記者会見が9月11日に行われました。記者会見での秋田書店裁判原告(首都圏青年ユニオン組合員)の発言と、代理人の笹山尚人弁護士のコメントを紹介させていただきます。(※首都圏青年ユニオンと笹山尚人弁護士からの了承を得た上でのブログ転載です)


 秋田書店:景品水増し・不当解雇事件

  9月11日の記者会見での

  原告(首都圏青年ユニオン組合員)の発言


 今回の裁判で、秋田書店の不当な懲戒解雇撤回と真摯な謝罪を求めます。


 私は読者を裏切る秋田書店が許せません。読者をないがしろにして、上層部は保身をはかるという会社の隠ぺい体質は、今もなお何も変わっていないからです。その隠ぺい体質を一番表しているものこそ、今回の不正水増し事件と私に対する懲戒解雇です。秋田書店は、私個人に不正水増しという罪をなすりつけて懲戒解雇を行いました。その後、消費者庁からこの不正が組織ぐるみであったと発表されても、会社は私に罪をなすりつけたまま、この解雇が取り消されることは未だありません。そればかりか、会社は私に4年半以上もひどいパワハラとともに不正業務を強要し続けてきたにもかかわらず、一切謝罪はありません。驚くことに、不正を指示した編集長は、未だ編集長のままです。


 また、私が体調をくずし休職に追い込まれた原因も、秋田書店は業務上の労災ではなく、個人的な私病にあると主張しています。私の病気は、会社の不正業務とひどいパワハラが原因であったことは明らかです。私は、このような態度をとる会社の体質が、このまま変わっていくとは思えません。私が休職した後も誰かの手によって不正が続けられたように、秋田書店の読者を裏切る腐敗した体質が変わらないかぎり、同じことが形を変えて必ず起こると思います。私は、この不正が誰によって指示され長い間続けられてきたのか。どうしてわたしが解雇されるに至ったのかを、裁判で明らかにしていきたいです。


 解雇されてから、私の生活は一変しました。小さい頃からあこがれていた漫画編集者の夢を失いました。心と体の健康も失いました。毎日、普通の人なら当たり前に感じる、嬉しい、おいしい、美しいといった感情を破壊されました。片耳の聴力をストレスで一時的に失いました。


 摂食障害になり、食べることも安らかに寝ることさえもできない地獄の日々でした。経済的な理由で、住居も変えなければいけなくなりました。私は多くのものを失ってしまったのです。しかし、例え編集者でなくなっても、私は私です。それは会社にいた時からずっと変わらないものです。おかしいことには、おかしいと声をあげて言います。不正を隠ぺいし、会社ぐるみで読者をだます体質の秋田書店は許せません。


 秋田書店は、誰のための会社なのか考えてほしいと思います。当然、読者のためであるべきです。しかし今は、不正をおかした一部の上司や上層部の保身のための会社になっています。これは社会的に許されないことです。私は、このブラック企業・秋田書店と、全力でたたかっていく決意です。


 最後に、私の声に耳をかたむけてくださったみなさまに、感謝いたします。ありがとうございました。



 東京法律事務所 笹山尚人弁護士のコメント


 本日、秋田書店で漫画雑誌の編集者をしていた女性を原告として、秋田書店及び女性の上司を提訴しました。


 女性は、漫画雑誌の読者向けの賞品掲示に水増しがあった(つまり本当は1個しか景品がないのに5名当選者がいるといったような)ことについて、これを是正するよう社内で申し入れていましたが、これを受け入れてもらえず、それどころか黙ってこうした仕事に従事するよう強要され、さらに退職強要等のパワハラを受け、最終的には景品を窃取した等と罪を着せられ懲戒解雇されています。


 女性は窃盗はでっち上げとして解雇の撤回及び賃金の支払い、違法行為への荷担強要やパワハラに対する損害賠償を求めて裁判を起こしたものです。


 秋田書店の景品水増しについては組織的に行われたとして、8月20日に消費者庁が措置命令を発しています。


 読者の信頼を裏切り、違法行為の是正を求めた女性に対し、秋田書店がしたことは、逆に報復的に対応し、女性を精神疾患に追いやったばかりか、雇用を奪い、漫画編集者になって夢を多くの人に届けたいという生きる希望を奪う、というものでした。到底許せるものではありません。


 私は女性の代理人として、女性の人生と尊厳を回復させる取り組みに全力を傾けたいと思います。