石原都政の「孤独死」倍増を継承する猪瀬都副知事vs人にやさしい東京つくる宇都宮けんじさん | すくらむ

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 11月25日、東京都知事選(29日告示、12月16日投票)の立候補予定者による合同討論記者会見がおこなわれました。


 最初に発言した猪瀬直樹都副知事は、石原慎太郎都知事のもとで5年5カ月の間、副知事をつとめ、その前に小泉首相のもとで5年5カ月の間、ブレーンとして構造改革を推進したことを誇り、都庁職員は1万5千人削減し、つい先日も都庁職員の退職金を13%カットするなど行政スリム化を進めて財政再建をなしとげたことが石原都政の一番大きな実績だと誇りました。2つめの石原都政の実績は、意思決定にスピードがあり、羽田空港の国際化などを進めたこと。3つめは地下鉄の一元化などを進めたことで、石原都政には発想力・決断力・実行力があったので、この石原都政を私は継承すると猪瀬都副知事は語っていました。(※猪瀬氏の原発政策については、田中龍作ジャーナル「猪瀬氏『電気の輝きを維持しなければならない』」を参照ください


 2番目に発言した宇都宮けんじさん(前日弁連会長、反貧困ネットワーク代表) は、弁護士として30年近く多重債務問題、貧困問題に取り組んきたことをいかし人にやさしい東京をつくるとして、1つは東京都がまず脱原発をすすめることが重要で、福島原発と柏崎刈羽原発は廃炉にすること。2つめは、石原都政で貧困と格差が広がっていているため福祉の充実をはかること。3つめは、石原都政において管理統制の教育が強められ、とりわけ日の丸君が代強制で教師に大量処分がおこなわれるなど教育現場が萎縮し自由な討論がおこなえず、加えて過剰な学力競争で子どもたちの中にストレスがたまり、いじめ・不登校・校内暴力の原因になっている問題の改善、教育の再建をはかること。4つめとして、首都東京で平和憲法をいかし、アジア諸国との関係改善をはかること、などを語りました。


 その後、猪瀬都副知事と宇都宮さんとの間で石原都政の評価をめぐって議論。猪瀬都副知事は何より財政再建を誇るわけですが、宇都宮さんは、「大型開発や1,400億円の税金をつぎ込んだ新銀行東京などムダづかいの一方で福祉を削った結果、特養ホームの待機者が4万人超で4倍増になり、孤独死が倍増している」と指摘しました。


 なので、孤独死について少し調べてみました。


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 上のグラフは東京都監察医務院が公表している「東京都23区における孤独死の実態」に掲載されているものに、石原都政スタートの時期などを私が書き加えたものです。(※全文をPDFで見ることができます。→

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kansatsu/kouza.files/19-kodokushinojittai.pdf  )


 東京23区での孤独死は、1987年(昭和62年)に、男性788人、女性335人、合計1,123人で、2006年(平成18年)に、男性2,362人、女性1,033人、合計3,395人となっています。上のグラフを見てもらえば分かるように、石原都政以降、東京23区における孤独死は毎年のように史上最悪を更新し続けているのです。


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 そして、上のグラフは、内閣府の「高齢社会白書」(2012年版) に掲載されている「東京23区における65歳以上の孤独死」に、石原都政の節目を私が書き加えたものです。猪瀬氏が都副知事に就任してその成果が十分に発揮されるであろう3年後の2010年(平成22年)に過去最悪の孤独死2,913人を記録しています。(※この上のグラフは「65歳以上」に限った孤独死であることに注意ください)


 宇都宮さんは石原都政において「孤独死が倍増した」と指摘していたわけですが、このグラフの範囲だけで見ても、2002年(平成14年)の1,364人から2010年(平成22年)の2,913人と、2倍以上に孤独死は増えているのです。


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 それから上のグラフは、最初に紹介した東京都監察医務院「東京都23区における孤独死の実態」に掲載されている「男女別・年齢別の孤独死発生件数」(2005年)です。このグラフを見て分かるように、孤独死は「65歳以上」に限った問題ではありません。10代も20代も30代も日本の首都東京の23区において孤独死しているのです。いま「人に冷たい東京」か「人にやさしい東京」かが問われていると思うのです。


(byノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)