公務員賃下げ違憲訴訟スタート-国と企業が今やるべきはすべての労働者の賃上げと雇用確保での不況打開 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 5月25日、全国241名の組合員とともに国公労連は、東京地裁に対し「公務員賃下げ違憲訴訟」を提訴しました。


 東京地裁前での提訴行動と記者会見の模様が、YouTubeにアップにされていますのでご覧ください。→★「公務員賃下げ違憲訴訟」提訴と記者会見


 ここでは東京地裁前の提訴行動での発言要旨を以下紹介します。(by文責ノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)


 ▼主催者あいさつ
  国公労連・宮垣忠委員長


 国公労連は本日、東京地裁に国公労連と241名の組合員が原告となって、4月から始まった人事院勧告にもとづかない給与カット分と慰謝料の支払いを国に求める「公務員賃下げ違憲訴訟」を起こします。


 労働者側の対抗手段がない、労働基本権の回復がないままでの人事院勧告にもとづかない政府の一方的な賃下げはもちろんのこと、今回のような3党の議員立法で私たち労働組合の意見もまったく聞かずに人事院勧告を超える賃下げ法案を国会に提出し強行したことは憲法28条やILO条約に違反し、国家公務員労働者の基本的人権を蹂躙するものです。


 東日本大震災では国の出先機関で働く国家公務員が不眠不休で救援にあたったのに、なぜ労働基本権制約の代償措置である人事院勧告のマイナス0.23%を超えて平均7.8%まで生活の糧である賃金を下げられなければならないのでしょうか。課長・室長以上は10%の賃金カットになり、この10%の賃金カットは懲戒処分の水準です。懲戒処分は普通2~3カ月程度ですが今回は懲戒処分相当の賃下げが2年間も続くのです。全国の国家公務員が懲戒処分を受けるような何か悪いことでも行ったというのでしょうか。


 いま職場はこうした道理のない賃下げに対する怒りが満ちあふれています。国家公務員の人件費が国の財政赤字の原因ではありません。2002年から2011年までの10年間に自衛官を除く国家公務員は約80万人から約32万人まで減少していますが、その一方で国債等残高は525兆円から726兆円にまで急増しています。また諸外国の公務員賃金はリーマンショックや金融危機のもとでも上がっていますが、日本の公務員賃金は下がり続けています。このことからも国家公務員の人件費が財政赤字を増大させた原因でないことは明らかです。震災復興のためと言うのなら、まず政党助成金や米軍への思いやり予算など無駄な支出を削るべきです。


 国家公務員に労働基本権を全面的に回復する、少なくとも労働協約締結権を回復してから労使交渉で賃金について議論をするのがルールにもとづいたやり方です。権利も回復されず、労働基本権制約の代償措置とされる人事院勧告制度さえ無視をして一方的な不利益を国家公務員労働者に押しつける今回のやり方を看過することはできません。


 多くの民間労働者、国民のみなさんと共同して消費税増税を阻止し、公務員賃金が影響する650万人をはじめとする賃下げの悪循環をストップし、すべての労働者の雇用確保と賃上げ、そして公務員労働者の労働基本権の全面回復をめざして全力でたたかっていく決意です。みなさんのご支援、ご協力をお願いします。


 ▼弁護団あいさつ
  萩尾弁護士


 国家公務員の労働基本権の代償措置とされている人事院勧告を無視しての大幅な賃下げ強行は、憲法28条とILO条約に違反するものです。背景にある公務員バッシングは、国民の不満を公務員に向けさせ、消費税増税などの悪政を推進するためのものです。こうした悪政を阻止するという点でも重大な裁判となります。


 国家公務員労働者の賃下げは民間労働者にも波及し、結局、景気を悪化させて税収減を招き、日本経済に大打撃を与えます。これを許さず、すべての労働者の賃上げによる内需拡大で日本経済を立て直していくという点でも大きな意味を持つ裁判になります。


 そして、裁判所の判断も大きく問われます。最近、JALの判決などにも見られるように裁判所は不当な判断を繰り返しています。本来、憲法の観点から政府や国会などにものを言っていくのが裁判所の役割です。そうした裁判所の真価が問われるのが今回の裁判でもあります。こうした大きな意味を持つ裁判に勝利するためにともに頑張りましょう。


 ▼激励あいさつ
  全労連・大黒議長


 全労連は国公労連の勇気ある行動を全面的に支援します。そして、この国家公務員の賃下げをテコにして、すべての労働者に低賃金を押しつけるという二重三重の攻撃を跳ね返さなければなりません。社保庁職員の不当解雇を許さないたたかいとともに、賃下げも解雇も許さず、労働基本権の回復で人間の尊厳が大切にされる社会をつくるため、公務と民間の仲間の力をあわせましょう。


 ▼激励あいさつ
  東京地評・伊藤議長


 国家公務員労働者に対しては、憲法違反の議員立法で賃下げを強行しながら、一方で国会議員一人あたり4,500万円もの政党助成金をもらい続けています。こんな理不尽なことは許せません。長引く不況のなか、一日も早く景気回復をはかるために国と企業がやるべきことは、すべての労働者の賃上げと雇用確保で内需を拡大することです。憲法の番人ではなく財界・大企業のための裁判所のようになっている最近の司法のあり方も正さなければなりません。「公務員賃下げ違憲訴訟」の勝利のため、東京地評はともに全力でたたかいます。


 ▼個人原告代表の決意表明
  愛知国公・空議長


 先日、『中日新聞』にある民間企業の32歳の労働者の方の手取りが月40万円と書いてありました。一方、5月に振り込まれた53歳になる私の賃金は28万円でした。今回の賃下げで3万2千円減らされていました。幸い私は家のローンなどがありませんが、ローンを抱えるなどで本当に厳しい状況に置かれている仲間もいます。私の子どもはいま高校生です。このような賃下げが将来にわたって続くならば大学進学はあきらめなければならない事態にもなります。私たちの賃金はマスコミでは高すぎるとされています。しかし私たちも生活者です。私たちの生活を破綻させるような今回の賃下げは断じて許せません。


 日本は法治国家であり、法律を守るのがあたり前です。私たち行政職に対して法律を守ることを強く求めながら、一番法律を守らなければならない政府が憲法に違反し、憲法を蹂躙して、私たちの賃金を無理やり引き下げる。労働基本権がない私たちには何の抵抗もできません。労働者の生活を破壊する政府の行為は絶対に許すことはできません。すべての労働者と連帯して裁判に勝利するまでたたかう決意です。