消費税増税は「貯蓄なし世帯」の3千万人はじめ多くの国民を「奈落の底、貧困の淵」に沈める | すくらむ

すくらむ

国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。


すくらむ-28


 上のグラフにあるように、日本において「貯蓄なし世帯」は、1995年には7.9%でしたが、2011年には28.6%とこの16年間で3倍以上に激増しています。(※上のグラフは金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」 から私が作成したものです)


 国勢調査の最新データによると、日本には2010年時点で、5,195万世帯(1世帯平均2.46人)が存在しています。


 そうすると、「貯蓄なし世帯」の28.6%を世帯数にすると1,485.77万世帯になります。そして、「貯蓄なし世帯」の人数は、1,485.77万世帯に、1世帯平均2.46人を掛け合わせて、3,654万人になります。


 現在、日本には「貯蓄なし世帯」に3,654万人が暮らしていることになるわけです。


すくらむ-12-3


 「貯蓄なし世帯」は低収入の世帯に集中していますが、総務省「家計調査年報」の所得10分位の最下層である年間収入280万円世帯の消費税増税10%分を計算すると上のグラフのようになります。野田政権は、年収が280万円の世帯に年間11万3千円もの消費税増税を強行しようとしているわけです。野田政権による消費税増税は、「貯蓄なし世帯」に暮らす3,654万人を、さらなる「奈落の底、貧困の淵に」沈めるものです。


 消費税増税は、「日本国民の多くが奈落の底、貧困の淵に沈みかねない」と警鐘を鳴らす最新の論考を紹介しておきます。『文藝春秋』4月号が「日本をギリシアにせぬために――大新聞『船中八策』競作」という大仰な巻頭特集を組んでいるのですが、意外と言っては失礼ですが共感した部分がありました。産経新聞の特別記者・編集委員兼論説委員の田村秀男氏による「『オオカミ』はとっくに来ている」と題した論考の一部です。


 復興債償還財源に使う所得税の臨時増税は25年と長期にわたる。増税期間の引き延ばしの結果、1世帯当たりの所得税年間負担増は薄められ、財務省の試算では年収500万円の場合で1,600円、800万円だと7,360円という。野田内閣と民主、自民、公明の3党は「月にならすと負担額はコーヒー1、2杯分にすぎない」と納得したわけだが、認識が甘すぎる。


 復興関連の負担増は所得増税に限らない。年1,000円の住民税負担増(2014年6月から10年間)や地方の退職所得減税の13年1月からの廃止も盛り込まれている。


 消費増税を柱とする「社会保障と税の一体改革」で、家計負担はどれだけ増えるのか。財務次官OBで増税派と目される武藤敏郎理事長の大和総研によると、子どもが2人いる年収500万円の標準世帯では消費税分16万円など負担増で可処分所得が約31万円目減りする。可処分所得が月額平均2万5,833円、勤労日ベースで1日約1,000円も減る。コンビニ弁当で昼食を済ませていたサラリーマン・ウーマンは、朝食や晩飯の残りを弁当に詰めて出勤しても、まだ600円以上も足りない。月に1、2回にとどめていた居酒屋にもめったに行けなくなる。さらに復興増税も加わるので、家計負担はもっと増える。


 可処分所得は前年比平均で1%、4,770円ずつ下落してきた。このなだらかな慢性デフレが今度は激症デフレに転じ、日本国民の多くが奈落の底、貧困の淵に沈みかねないのである。(『文藝春秋』2012年4月号109~110ページ、産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員・田村秀男氏「『オオカミ』はとっくに来ている」より)


 民主党が消費税増税法案の事前審査を本日未明、増税に慎重な議員らの強い反発で混乱のなか議論を打ち切ったとマスコミ報道されています。民主党がいくら混乱しようが知ったことではないですが、国民の暮らしを混乱させ、日本国民の多くを奈落の底、貧困の淵に沈めてしまう消費税増税は直ちに撤回すべきです。


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)