※「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークの緊急要望書を紹介します。
高校授業料無償化の存続と充実に関する緊急要望書
本日(2011年8月8日)、特例公債法案成立の前提として、高校授業料無償化など3つの制度の見直し・撤回について協議がなされると報道されております。
私どもは、日本における子ども・若者が置かれている厳しい生活状況を憂慮し、子ども・若者が将来への希望をはぐくみ、夢を諦めずに笑顔で生きていくことができるよう、活動を続けております。以下のような現状を鑑み、高校授業料無償化(現:公立高校授業料不徴収・高等学校等就学支援金)の存続と学校教育費を含む教育費の実質無償化に向けた更なる充実について緊急に要望いたします。
(1)高校授業料無償化は、「ばらまき」政策ではありません。
すべての子どもに、教育の機会均等による教育を受ける権利を保障することは、子どもの権利保障の根幹です。日本の教育への公的支出の低さは、国際的にみても顕著です。国際的水準をふまえれば、この制度への所得制限の導入等は論外であり、公立・私立ともに更なる充実・拡充が必要です。
(2)制度導入の成果がみられるとともに、依然として厳しい状況にある生徒が多くいます。
本制度導入後、高校を経済的理由で中退する生徒数が減少しています。2011年8月4日に公表された文部科学省「生徒児童の問題行等動調査」結果において、前回調査より1.0ポイント減少。
しかしなお、経済的理由により高校を中退した生徒は1,700人、経済的理由により長期に欠席している生徒は2,225人、把握されています(2010年度)。貧困の再生産のリスクを放置することは、日本社会にも甚大な影響をもたらします。
※ただし、この調査では「おもな理由」をひとつだけ選択する方式であるため、実際の経済的理由による中退数はより多いと推察される。
※東日本大震災により調査が困難な岩手県、宮城県、福島県は含んでいない数値である。
(3)東日本大震災および原発事故により、進学を諦めざるをえない状況に置かれている子ども・若者がいます。
被災地の子どもたち、避難を余儀なくされている子どもたちにとって、高校授業料無償化は命綱でもあります。
【要望事項】
高校授業料無償化を存続させるとともに更なる充実を図り、すべての子どもが「教育を受ける権利」を保障してください。
2011年8月8日
「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク
共同代表:湯澤直美・平湯真人・三輪ほう子