日本政府はブラック企業 - 震災賃下げの手本示す国家公務員給与10%カット | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 ウィキペディアによると、「ブラック企業」とは、「従業員に労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を強いたり、関係諸法に抵触する可能性がある営業行為を従業員に強いたりする、若しくはパワーハラスメントという暴力的強制を常套手段としながら本来の業務とは無関係な非合理的負担を与える労働を従業員に強いる体質を持つ企業(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)のことを指す」とあります。


 5月24日に国公労連が開催した社保庁職員不当解雇撤回集会にかけつけてくれた新聞労連の東海林智委員長は、激励あいさつで要旨次のように語りました。


 ずっと、現場の労働者を犠牲にする日本社会のあり方が問題になっています。沖縄県宮古島市の宮古毎日新聞で、新聞労連加盟の同社労働組合に加入する非正規の仲間を相次いで雇い止めにしたり、正社員の組合員には降格人事を乱発するなど、露骨な組合つぶし攻撃が行われています。沖縄県国公のみなさんにも支援いただき、この3月末、不当に雇い止めされようとしていた非正規の仲間3人の雇用を守ることができました。非正規の仲間3人が声をあげ不当な雇い止め撤回に立ち上がらなければ認めたことになる。不当な雇い止めも無かったことと同じにされる。そして、不当な雇い止めが「普通のこと」とされ、労働者犠牲がまかり通ってしまうのです。


 社保庁職員の不当解雇も同じです。国公労連・全厚生が不当解雇撤回に立ち上がらなければ不当解雇を認めたことになり、誰にも知られず無かったことにされ、こうした不当解雇が「普通のこと」とされ、様々な職場に広がってしまうのです。


 今回の国家公務員賃金の引き下げは度を越しています。民主党政権は公務員を奴隷のように扱い、1割引き下げるという。こんな乱暴なことは許せません。


 震災後にリストラ・賃下げを言い出す経営者は必ずいます。今回、そのお手本を国が示してしまったことになるのです。


 国公労連の皆さんが声を上げなければ、これが「普通のこと」としてまかり通ってしまいます。国家公務員賃金引き下げ反対に、私たちは心から連帯し、ともにたたかいます。(※新聞労連・東海林智委員長のあいさつの要旨はここまで)


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 上の表は、主要国の公務員の労働基本権の概要です。国際労働基準では、公務員にも労働基本権(団結権・団体交渉権・争議権)を保障しなければなりません。日本は国際労働基準から逸脱しているのです。


 日本の憲法(28条)も、公務員を含むすべての労働者に労働基本権を保障しています。そして、労働基本権は国民の基本的人権の一つです。日本の公務員には、基本的人権さえ保障されていないのです。


 こうした日本の公務員の労働基本権制約の「代償措置」とされているのが人事院勧告制度ですが、今回の政府による国家公務員給与10%削減提案は二重の意味で、公務員の基本的人権を侵害するものです。1つは、もともと公務員の基本的人権である労働基本権を侵害し続けてきた上で、3年間に渡って10%給与削減というかつてない規模での一方的な労働条件の不利益変更となること。2つは、労働基本権制約の「代償措置」とされている人事院勧告も無しに給与カットの根拠も道理もないまま強行しようとしている暴挙であることです。


 「ブラック企業」とは、「従業員に労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を強いたり、関係諸法に抵触する可能性がある営業行為を従業員に強いたりする」ところですから、今回の国家公務員給与10%削減は、まさに、政府が「ブラック企業」であることを示すものです。


 新聞労連の東海林智委員長が指摘するように、震災リストラ・震災賃下げを狙うブラック企業のお手本を政府が示してしまったことになるのです。日本政府は、日本のブラック企業の発祥の地となってしまったのです。


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)