新聞の発行部数激減とインターネット -利用時間・情報取得量に勝るだけでなく不安解消や絆の再生まで | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 昨日、機関紙大学でブログ活用についての講師をつとめました。毎年、直前の突貫作業でヘロヘロになって講義資料を作成するのですが、ネットに関する現状を少し調べたのでデータを紹介しておきます。(講義の準備でヘロヘロで、ブログの更新が滞っていた次第。m(_ _)m )


 総務省が毎年出している「情報通信白書」(2010年版)によると、インターネットの人口普及率は、2009年末時点で、6歳以上の総人口の78.0%にまで達しています。利用者数にすると、9,408万人です。


 「世代別のインターネットの利用状況」を見ると、13歳から49歳までの世代は95%を超えています。50歳以上の高齢層になるほど利用率が下がっていきますが、次第にこの13歳から49歳の95%以上のヤマが高齢層に移って来るわけですから、近い将来、インターネットを使うことは、高齢層含めてすべての世代で当たり前になることが分かります。


 「パソコンからのインターネットの利用目的」のトップはホームページとブログの閲覧の55.8%(2位は商品・サービスの購入46.9%、3位は電子メールの受発信46.4%)で、「携帯電話からのインターネットの利用目的」は、電子メールの利用が断トツで54.5%(2位は商品・サービスの購入30.1%)となっています。


 次にインターネット協会の「インターネット白書」(2010年版。3千3百人へのアンケート調査結果。調査対象の3千3百人は、性別や年齢階層、職業など、実際に日本に存在する割合にあわせた形で調査したもの)によると、インターネット、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の、5つのメディアの「目的別メディアの重要度比較」では、「ニュース、一般報道、時事報道」についてのメディアの重要度で、1位テレビ1.21、2位インターネット1.20、3位新聞0.64となっていて、テレビが重要度1位になっていますが、2位のインターネットとは、0.01ポイントしか差がないだけでなく、新聞の2倍もの重要度がインターネットにあるという結果が出ています。さらに、「購入のための情報」や「生活情報」は、インターネットがテレビや新聞などのメディアをおさえて、断然トップになっています。


 「1日あたりのメディア別利用時間」の調査では、「パソコンでのインターネット」の利用時間が、他のメディアにくらべて圧倒的に長く、テレビは「10時間以上」が1.2%ですが、「パソコンでのインターネット」利用は、3.4%と3倍近くなっています。


 「メディア別の情報取得量」でもインターネットがトップです。情報取得量が「非常に多い」と「やや多い」をあわせるとインターネットが86.4%、テレビが71.9%、新聞が38.7%、雑誌23.2%ですから、なんとインターネットが新聞の2倍以上も情報取得量が多いという結果が出ています。


 「検索サービスの1日平均利用回数」では、グーグルとかヤフーなどで検索する1日の利用回数が10回以上という人が27.0%もいるということです(5~9回17.0%、3~4回22.6%、1~2回22.9%)。


 「検索のきっかけとなったメディア」では、上位から、テレビ番組63.9%、テレビCM35.0%、友人や知人からの評判32.7%、新聞記事25.8%などとなっています。


 再び総務省の「情報通信白書」(2010年版)にもどりますが、下のグラフにあるように、ブログやSNS、マイクロブログ(ツイッター。※ツイッター利用者は現在日本で1千万人を突破)などのソーシャルメディアの利用によって、オンラインはもちろんのことオフラインのコミュニケーションも深まるなど、「新たな絆が生まれた人」がブログで23.9%もいることが指摘されています。

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 また、下のグラフのように、ブログなどのソーシャルメディアを利用することにより「勤務先での不安・問題」も含め様々な不安・問題を解消している人が1割以上にのぼっています。

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 そして、下のグラフのように、ブログなどのソーシャルメディアを利用することにより「友人・知人の絆」「家族・親戚の絆」「世代間の絆」「職場の絆」が深まる傾向があり、総務省は「ソーシャルメディアの利用により“絆”を再生」できるとしています。(総務省は“無縁社会化”が進んでいることを意識しているのかも知れませんね)

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 こうしてインターネットの利用等が進展してくるなかで、“紙媒体”は苦戦をしいられています。以下、主な“紙媒体”のデータをあげておきます。


 ▼各国で大幅に発行部数を減らす新聞
  2007年から2009年の3年間の各国新聞発行部数の減少率
  (OECDのデータで上位10位まで)


 アメリカ 30%減少
 イギリス 21%減少
 ギリシャ 20%減少
 イタリア 18%減少
 カナダ 17%減少
 スペイン 16%減少
 トルコ 16%減少
 日本 15%減少
 ニュージーランド 13%減少
 ポーランド 11%減少


 ▼日本における書籍の推定販売部数(出版科学研究所)
 1988年 9億4,349万冊(ピーク)
 2009年 7億1,781万冊


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 上のグラフのように、出版科学研究所によれば、2009年の出版物の推定販売金額は1兆9,336億円と前年より4.1%減少、21年ぶりの2兆円割れとなり、内訳は、書籍が前年比4.4%減の8,492億円。雑誌は3.9%減の1兆864億円。雑誌の落込みは1998年から12年連続のマイナス。雑誌は、月刊誌が3.2%減の8,445億円、週刊誌が6.1%減の2,419億円。そして、こうした“紙媒体”の減少と反比例しているのが下のグラフ「インターネットの利用者及び人口普及率」(総務省「情報通信白書」2010年版。6歳以上)です。


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(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)