「派遣切り」は労働契約法違反・解雇権乱用、とにかく『寮』を出てはダメ-まず労働組合に相談を | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 これから年末にかけ本格化するとみられる「派遣切り」。くびを切られ、住居を奪われる労働者にとっては、まさに生存権にかかわる問題です。いまこそ労働組合の出番。働く仲間の救済はまったなしです。


 ◆住み続ける権利がある


 「とにかく言われるがままに『寮』を出てはだめ。労働組合を通じて派遣会社と交渉すれば、住居は確保できます」


 いすゞ自動車など県内大手メーカーの期間工や派遣労働者を支援する神奈川労連県地域合同労組の山下孝広書記長は、連日のように舞い込む労働相談や、派遣会社との交渉の経験をもとにこう強調します。


 借地借家法では家主が退去を求める際には、遅くとも6カ月以前に申し入れなければなりません。低額な使用料で住居を提供する社宅の場合、同法は適用されませんが、派遣労働者の多くは、市価水準かそれを上回る家賃分を給料から天引きされているため、賃貸借契約とみることができます。同法の適用を主張することが十分可能なのです。


 製造業派遣の多くは時給千円前後。フルタイムで働いても年収200万円の水準です。乏しい貯え、失業などの条件を考えると、新たな入居先を確保するのは極めて困難。


 まず、現在の住居に「住み続ける権利がある」という構えで、派遣会社と交渉しましょう。


 ◆中途解除は解雇権乱用


 今回の「派遣切り」は契約の中途解除が多いのが特徴です。これは明白な労働契約法違反。解雇権の乱用にあたります。契約満了日までの就労、賃金支払いを要求すべきです。


 一方、派遣会社が派遣労働者に、中途解約に同意する書類を書かせるなどの事例もみられます。


 日産ディーゼル上尾工場で働く派遣労働者の相談に対応している派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は、派遣会社が「同意」を迫る手口について、①解約に同意する書面、②契約期間を短く直した契約書--に署名させる2つのケースがみられると指摘します。


 派遣会社に迫られ、「同意」させられたとしてもあきらめは禁物。同ユニオンは、判断する機会を十分に与えられない状況の下での「同意」は無効だと主張し、派遣元・先に「解雇撤回」を求めています。


 「派遣切り」の大本の責任は派遣先にあります。厚生労働省の指針では、派遣契約を中途解除する場合、派遣先には再就職先のあっせんが努力義務として課せられています。これを根拠に派遣先への責任追及も可能です。


 ◆期間満了でも、まず交渉を


 「期間満了」による雇い止めでも、交渉の余地はあります。


 たとえ1回の契約期間が短くても3回以上更新しているか、あるいは1年を超えて働いていれば、派遣会社は30日前までに雇い止めの日を予告しなければなりません。


 派遣会社から「長く働いてほしい」などと言われているケースも多く見受けられます。そうした場合、長期就労への期待権があることを根拠に、雇用責任を追及することもできます。


 契約を長期間繰り返し更新している場合は「期限の定めのない契約」とみなされ、解雇には整理解雇の4要件を満たす必要が生じます。簡単に雇い止めできないと主張しましょう。


 神奈川労連ではこうした交渉を通じ、賃金の6割の休業補償や、事実上の解雇予告手当の支給、「引っ越し代」名目の一時金など、さまざまな補償を引き出しているといいます。


 同労連の山下さんは「まずは労働組合に加入し派遣会社と交渉してほしい。結果がゼロで終わることはありません」。


「連合通信・隔日版」(2008年12月16日付 No.8139)より転載。(※月に1回ぐらいは、連合通信の記事を転載してもいいかな、ということで)