モノのように使い捨てられる日本の派遣労働者、始業日から正規と同等の権利有するEUの派遣労働者 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 今年7月、派遣先の工場を突然、解雇された40代の男性は、部品を研磨剤で磨く作業では一つの部品を30秒以内に仕上げるよう求められ、ストップウォッチをもった社員から「1秒遅いっ!」と注意されたこともあったといいます。年収は200万円、3年間同じ工場で働き続けていましたが、今年の7月のある朝、朝礼で突然、「今週一杯で来なくていいから」と言われ、「こんなことがあるのか…」と、声も出なかったと言います。


 深刻なのは工場で働く派遣社員は寮で住み込みで働いている人が多く、仕事を失うことが即、住むところを失うことにつながるということです。ネットカフェに身を寄せたり、野宿を強いられたりする人が出ています。


 一昨日のNHKテレビ「時論公論」のテーマは、「工場減産 しわ寄せは派遣社員に」でした。アメリカ発の金融危機で、日本企業の先月(9月)の倒産件数は、前年比30%増で、5年4カ月ぶりに1400件を越え、輸出関連企業も減産に追い込まれ、真っ先に派遣社員が解雇されています。トヨタ自動車九州の派遣社員800人削減や、各地の自動車部品工場で100人単位での派遣社員削減が相次いでいることを伝えていました。


 好景気のときでも、正社員は増やさず、派遣社員を増やして、バブル期さえしのぐ史上最高の収益をあげた企業は、業績にかげりが出た途端、派遣社員の削減に乗り出しています。低賃金、劣悪な労働条件で、人間をモノのように扱い、必要なときに必要なだけの派遣労働者を集め、いらなくなったら、さようなら、というわけです。


 貧困と大きな格差を強いられている日本の派遣労働者の無権利状態は、派遣労働者に均等待遇の適用を進める世界の流れから大きく逆行しています。


 欧州議会が10月22日、派遣労働者に正規労働者と同等の権利を始業日から認める指令を発効しました。欧州連合(EU)加盟27カ国は、3年以内に派遣労働者の均等待遇を国内法に適用することが求められます。


 この指令では、派遣労働者は契約開始の1日目から、給料、休暇、労働時間、休憩時間、出産休暇などの重要な労働・雇用条件について正規労働者と同一の権利を持つことを規定しています。


 ほかに、社員食堂、保育施設、通勤サービス等の利用でも、正規雇用者と同等の資格を持つとされ、研修の機会も向上することになります。


 EU域内の派遣労働者は約300万人とされています。EUでは、これとは別にパート労働の均等待遇に関する指令を1998年に成立させており、日本で非正規に分類される労働者の労働条件改善が進められています。


(byノックオン)