日本人の社会的孤立度は世界一 もはや国民病「生きづらい」の正体 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 「ラインで自動車の内装部品を接着剤でひたすら貼り付けてます。何のスキル習得にもならない。毎日、何千、何万と繰り返していると、自分は機械だと思えてくる」(33歳)、「将来どころか、半年先すら見えないのは怖い」(31歳)、「派遣期間を職歴と扱ってくれない。今までの俺の仕事は何だったんだ」(31歳)--週刊SPA!(10/14)の特集「もはや国民病『生きづらい』の正体~OECDの統計では日本人の『孤立度』は世界一」で、とりあげられている派遣労働者の声の一部です。


 特集の中の「データで見る“生きづらい国”ニッポン」では、2002年から30代のうつ病増加や将来への不安要素の増大による自殺者増とともに、職場の人間関係が次第に殺伐としていく様が如実にあらわれているデータとして、「産業人メンタルヘルス白書」07年度版から「職場の人はみんないい人だと思う」と答えた人が1982年63%から2006年46%、「職場で自分の思ったことは素直に他人に話せる」と答えた人が1984年60%から2006年44%と、一貫して減少していること。そして、OECDによる世界価値観調査で社会的孤立の度合いは日本が世界一(※下のグラフ参照。グラフ上でクリックすると拡大して見ることができます)で、どこをどう見ても日本という国は「生きづらい」現状であると指摘しています。


社会的孤立度


 「見えない敵と想像力の欠如が、格差と生きづらさを増殖させている」と指摘する武蔵大学社会学部教授の橋本健二さんは、「(生きづらいのは)労働者側が、自分たちの置かれた状況をつくった諸悪の根源は何なのかを見抜く『社会的想像力』を失ったからだ」、「搾取の根源となる派遣法の規制緩和を推し進めた小泉純一郎元首相や、背後にいる資本家にまで想像を及ばせることもなく、街で見かける“楽しそうな一般人”に憎悪の念を燃やし、憎み、殺す。そんな社会は、人間不信を生み、疲弊させる。敵を取り違えた、不毛な対立の結果が、この生きづらさなのだ」と語っています。


 「人間の尊厳を崩す格差と、弱者による妬み合いが生きづらさの元凶」と指摘する明治大学文学部准教授の内藤朝雄さんは、「日本経済の犠牲者ともいえる就職が困難な若年層に、メディアは“ニート”というイメージをおっかぶせ、“働きたがらない若者”のように報じた。メディアで喧伝される“ニート”像を見て、働く貧困層が、“俺はこんなに苦労してるのに、おまえはなんだ”と憎しみを募らせる。一方、より弱い層も、自分より少しだけましな層を引きずりおろそうとしてしまう。そうした妬みや憎しみを抱くのではなく、共に手を取り合って、不公正な社会システムに対し、正当な怒りの声を上げるべき」、「秋葉原通り魔事件のようなことが起きたときに、犯人の行為を劇的に報じたり、ネガティブな感情に共感し、同調したりするのではなく、不公正な社会システムに対して共に怒り主張できる人間関係の構築を目指すべき」とコメントしています。


(byノックオン)