非正規労働者を忘れたワーク・ライフ・バランス | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 今朝の朝日新聞のオピニオンで、労働経済ジャーナリストの小林美希さんが「仕事と生活の調和 非正社員を忘れるな」と題し、ワーク・ライフ・バランスについて論じています。


 国は昨年末、「仕事と生活の調和」を図る「ワーク・ライフ・バランス憲章」を掲げ、①就労による経済的自立が可能な社会、②健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会、③多様な働き方・生き方が選択できる社会--をめざし、自宅でパソコンなどを使って働くテレワーカーの比率や育児休業取得率などの数値目標を示しています。


 しかし、小林さんは、「非正社員の存在が忘れられていないか」として、「非正社員で年収300万円以下といった場合、生活の質を維持する賃金を得るために、長時間労働をして過労に陥る例が多い。一方で企業は、正社員のワーク・ライフ・バランスを実現するために、しわ寄せを非正社員に押し付けがちだ。ある有名精密機器メーカーは『ノー残業デー』を実施し、正社員が定時で退社する一方、派遣社員や請負社員が残業をこなしていた」ことを指摘します。


 また、ワーク・ライフ・バランスに逆行する若者の現実があるとして、「夜勤免除が認められず、夜勤明けに流産してしまった」と涙をこらえていた20代の介護職員や、ほぼ一日中、店で立ちっぱなしのアパレル関係者や美容師などの間でも「職場流産」といった悲劇が起きていることをあげています。


 彼女らのワーク・ライフ・バランス(WLB)は極めて悪く、「この場合のWLBとは、賃金(Wage)を得るために命(Life)を削られる均衡点と読み替えるしかないような状況で、調和などとはとてもいえない」「まず正社員と非正社員の間の賃金・待遇差別を撤廃し、『均等待遇』を実現することが急務だ」としています。

(byノックオン)