「子どもの数が過去最低、27年連続で減少、世界最低水準に」が示すもの | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 きょうは「こどもの日」。マスコミ各紙がこぞって取り上げた話題は、「子供の数が過去最低を更新、27年連続で減少、世界最低水準に」というもの。各紙の報道のいいとこどりをして要点だけまとめると--「総務省が4日に発表した推計人口(4月1日現在)で、日本の子供の数(15歳未満)は、昨年より13万人減って1725万人となり、27年連続減少、過去最低を更新。3歳ごとの年齢別では、12~14歳が359万人で最も多く、0~2歳が324万人で最少。年齢層が低くなるほど子供の数は減っている。総人口(1億2773万人)に占める割合も13.5%と34年連続で低下し、少子化がさらに進んでいる実態を浮き彫りにした。総人口に占める子供の割合を諸外国(人口3000万人以上の国)と比べると、米国(20.3%)、フランス(18.5%)、イタリア、ドイツ(ともに14.1%)などを下回り、世界最低水準となった」


 家族関係の社会的支出のGDP(国内総生産)比は、スウェーデン3.54%、フランス3.02%、イギリス2.93%、ドイツ2.01%に対して、日本はわずか0.83%という異常な低さです。(OECDによる2003年のデータ)

 高等教育予算の水準(国内総生産にしめる割合)も、OECD(経済協力開発機構)加盟国全体の平均1.0%に対して、日本は半分の0.5%にすぎず、加盟国中で最下位です。国際人権規約(1966年に国連総会採択)は「高校や大学の教育を段階的に無償にする」と定めており、ヨーロッパ諸国では高校の学費はなく、大学も多くの国で学費を徴収していません。
 こうした国による予算措置の面だけでなく、ヨーロッパ諸国では、子育てを社会的に支える見地を政府自身が政策に反映していて、日本の「自己責任」とは雲泥の差があります。

 ヨーロッパ諸国は、保育や育児休業の拡充とあわせて、経済的給付も充実させ、子育ての経済的負担の解消を進め、労働時間短縮や非正規労働者の均等待遇など人間らしい働き方のルール、医療、教育費負担の軽減など、充実した社会保障が土台にあります。
 こうした保育、経済的支援、働くルール、社会保障など各分野の総合的な取り組みによって、女性の社会進出を進めながら、出生率回復が可能となっています。


 一方、日本はどうでしょうか。「働き方」をめぐっては、正規労働者の長時間労働と、非正規労働者の低賃金という二極化構造が、結婚・出産・子育ての大きな障害になっています。最近では医療崩壊による“お産難民”が問題になるなど、安心して出産もできない状況になっていたり、「世界一高い学費」に象徴される子どもの教育に対する異常な国民負担など、子育ての困難さをあげると、きりがないほどです。


 日本政府は、口先では、「少子化対策」をとなえていますが、実際やっていることは、「労働法制の規制緩和」による働くルールの破壊、子育て世代への増税や負担増、保育料の値上げや公的保育サービスの後退など、子育てへの障害を作り出すことばかりです。

 働いても年収200万円以下の人が1000万人を超え、自立したくてもできない人たちに対して、日本政府はどうやって安心して子どもを産み育てよというのでしょうか。

 非正規労働者の均等待遇の確立、非正規への置き換えに歯止めをかけるなど雇用の安定をはかることなしには、少子化対策もままならないでしょう。

 これまでの「構造改革」が、日本の社会をどれだけ歪んだものにしてきたか。すでに、日本社会は、将来にむけての持続的な発展を不可能にするところまできてしまっているということを、今回の数字は示しているのではないでしょうか。

(byノックオン)