2008-04-27 23:57:59

ワーキングプア、貧困は自己責任vs反貧困(「朝まで生テレビ」観戦記)

テーマ:ワーキングプア・貧困問題

 首都圏青年ユニオンのメールを紹介したこともあって、「朝まで生テレビ~激論!“新しい貧困”とニッポン」を見ました。いつも田原総一朗の司会が恣意的でイライラするので最後まで見ることはなかったのですが、今回はブログで紹介しようと集中して最後まで見ました。


 出演していた経済同友会幹事や会社社長、自民党議員、御用学者など政府・財界側の主張は、ひとことでくくると、「グローバル化のなか、日本が国際競争で生き残るためには、低賃金の非正規労働者の拡大はしょうがない。それがいやなら、正規労働者の労働条件を下げて(解雇も自由にできるよう規制を緩和して)その分を非正規労働者に回すしか方法はない」ということです。


 雨宮処凛さん(作家)が、「製造業の派遣労働者が100万人ぐらいいて、1~3カ月で解雇され寮など住むところも奪われ、ネットカフェ難民になる。ダブルワークで、ネットカフェで3時間寝る生活を続け、肺に穴があいてしまった人を取材した。ネットカフェで寝られるならまだしも、本屋やパチンコ屋のトイレ、ATMの中、コンビニでひたすら立ち読み、山手線をぐるぐる回るなどし、最後に行き着くのは路上生活者。フリーターの取材をしていると、いつのまにか、ホームレスの取材になっていき、フリーターとホームレスがボーダレスになっている」と実態を告発しました。


 湯浅誠さん(反貧困ネットワーク事務局長、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長)は、「35歳の派遣社員の男性から相談があった。家族は、妻と3歳、4歳、6歳の3人の子ども。月収は20万円だが、派遣会社の寮費が7万円、ガス・電気代や家具レンタル代などの合計で毎月15万円が引かれて、手取りは5万円で生活できないという悲痛な相談だ」と実例を紹介。河添誠さん(首都圏青年ユニオン書記長)も、「有休休暇はうちの会社にはない。有休取ったら解雇だ」などと非正規労働者のみならず正規の若年労働者が会社側の横暴でいかに無権利な状態におかれているかについて発言しました。


 これらに対して、「それは雇用主が暴力団じゃないか。まともな会社じゃない」「労働者に知識が無さすぎる。勉強が足りないせいだ」「派遣は悪くない。いろんな仕事に派遣できるようになって、むしろ雇用が創出でき改善された」「派遣は非正規の2%。派遣は少ないのだから問題ではない」「中高年の正規労働者が守られ過ぎてるから、新規採用が取れず、ロストジェネレーション(就職氷河期の世代)が生まれざるをえなかった」などと財界側出演者はこぞって反論。語るに落ちるとはこのことで、違法な偽装請負などで労働者を使い捨てにしているのは、キヤノン、松下グループ、シャープ、ニコンなど、日本を代表するそうそうたる巨大上場企業。大企業=暴力団、やらずぶったくり集団だと自ら告白しているようなものでした。


 根本的な大問題は、湯浅さんが指摘したように、「政府が貧困を社会問題だと認めていない」ことです。自民党議員が「完全失業率の推移は、2002年6月の5.5%から2007年6月には3.7%にまで改善。有効求人倍率は2002年1月の0.5倍から2007年6月には1.05倍と改善している。構造改革で景気拡大した」と自慢したように、これが現状認識ですから、“貧困”に対してなんの政策も打ち出さないのは当然のことです。その上、自民党議員は、スキルがないのだから正規で雇えない、高い賃金を払うわけにいかない、とまさに“自己責任”だと主張し、さらに、生活保護は不正受給以外にも、もらうべきでない人がもらっていると文句をつける始末で、まさに富裕層の代弁者。


 貧困をなくす立場から論陣を張った森永卓郎さん(独協大学教授、経済アナリスト)は、「有効求人倍率の改善にはからくりがある。非正規の求人が含まれているからだ。正社員のみの求人倍率は、2007年7月で0.59倍。つまり、求職者10人に対して、正社員の求人は6人以下だ。そして2001年度から2005年度にかけての雇用者報酬(全労働者に支払われた総賃金)は非正規労働者の増大で8兆5千億円も減少。ところが、企業の利益は、逆に10兆1500億円も増えている。もし、日本企業がグローバル競争に勝ち抜くという理屈なら、人件費の節約分を製品価格の引き下げに振り向けるはずなのに、実際は、人件費の下落を上回る分が、まるまる企業のもうけになっている。2001年度から2005年度までの4年間で、企業が払った株主への配当金は3倍に増え、2001年度から2006年度の5年間で、大企業の役員報酬は倍増している。非正規労働者を増やして労働者の給料を下げておき、自分たちの儲けを5年で倍増させた。企業が労働分配率を低めているから格差と貧困が拡大した。これが小泉構造改革の本質だ」と喝破しました。


 河添さんは、若年層では非正規の中で派遣が7割以上を占めていて派遣は大きな問題であり、特に仕事があるときだけ雇用される登録型派遣はやめるべきで、常用型派遣を原則とする必要があることや、同一価値労働同一賃金や社会保障をきちんと確立していくことが、貧困を解消していく道筋だと主張しました。


 司会なのに、財界側の発言をしながら仕切る田原総一朗が、「最低賃金引き上げや社会保障を充実するための財源は、企業がこれ以上負担できないから消費税を上げるしか選択肢はない。自民党は選挙があるからといって消費税率アップを言わないのはけしからん」などと主張。「消費税を上げなくても、法人税率を上げれば財源はいくらでもある」と森永さんが切り返し、ヨーロッパと較べて、日本の企業が負担する税・社会保障がいかに少ないかも指摘していました。社会保障の財源、貧困をなくすための財源として、消費税率アップが必要という主張は、消費税の持つ逆累進性(所得の低い人ほど負担率が高くなるもっとも社会保障にふさわしくない仕組み)で庶民負担だけをさらに増やし、大企業に負担は求めず、その上、本当に社会保障が拡充するかどうか疑わしいという、まさにやらずぶったくり、政府・財界による庶民からの一層の収奪以外の何ものでもありません。


 最後に、一番印象に残った場面。「自殺、児童虐待、いろいろな問題の背後に“貧困”の問題がある。反貧困ネットワークは、なかなか表に出てこない貧困問題を社会的に訴えていき、改善していきたい。ディーセント・ワーク--人間らしく働くということを誰にでもきちんと保障していくことを基本に、社会保障などセーフティーネットを広げていく必要がある」と真摯に語る湯浅さんらに向かって、「能書きたれててもしょうがないだろ」とすごんで反論した財界側出演者。いまここにある“貧困”に対する人間のありようがこうも違うものか、スキルが高いから莫大な報酬をもらって当然とのたまう人間がいかに非人間的なものなのかを垣間見た瞬間でした。

(byノックオン)

反貧困ネットワーク



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