ニューオリンズ旅行記その1 | 黄啓傑ランド

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トランぺッター黄啓傑(コウケイケツ)のブログ。

Trumpeter Keiketsu Ko's blog

おもえば何度目になるのだろうか。

またまたニューオリンズ(N.O)にいってきました2013。
昨年に引き続きメンバーはダディの体内にいた、オタマジャクシのころから数えると、もはや何回めか分からないほどのN.Oの達人木村さん。2回目のN.O、いまやカーミットさんのお気に入りギタリスト、なによりプロジェクト(低所得者居住地域)のウォールマートを愛してやまない富永さん。そして「ミスターのっかり上手」の私の3名。ようするにブルームーンカルテットのうきうき青年海外協力隊なのである。

前夜まで、のちにむこうで合流することになる歌手の矢野絢子さんのレコーディングを山梨で行い、そのまま成田へ。空港近くのホテルでかるく休憩して、午前中の便で飛び立つ。


アメリカン航空の機内食はおいしいともまずいともいえる、自分の心持ち一つの食べ物。私は嫌いではない。

 
よくわからない時間に寝ながら食べたおやつのターキーサンド。

ダラスで圧倒的に感じの悪い日系婦人係員の歓迎を受けトランジットし、ルイ アームストロング空港に到着。

数日後にひかえたスーパードームでのスーパーボウルに向けて空港は賑わっていた。
スーパーボウルとは、いうなればアメフトの日本シリーズのようなもの、ということだが、アメフトはルールも知らず、日本シリーズもみたことがないのでまったく響かない。
 
お、向こうに楽器を持ってどれどれ歩く黒人の集団がいる、とおもってよくみたら、トランペットはケニー氏。スネアのベニーさん率いるトレメブラスバンドであった。どうやら空港でのイベントがあるようであった。ついて早々いきなりある意味真髄に出会えてうれしかった。

しかしその夜からいきなり富永さんはカーミットさんのギグだし、まずはレンタカーを借りたり、ウォールマートに行って生活基盤を整えなければ、ということで空港でゆっくりとしてはおれずとりあえず街へ。

スーパーボウルとマルディグラが重なる、という滅多にないど祭り騒ぎの今回のN.Oは人でゴッタ返していた。そのため宿を途中で一度引っ越さなければならない。最初に泊まったのはフレンチクォーター内、アースライン通りのノースランパートにかなり近い、広くて古くて床の平坦なところがない、なかなか味なゲストハウスであった。

仕入れた食材でさっそくこちらの郷土料理レッドビーンズアンドライスを仕込みだす富永さん。その好きすぎる後ろ姿。




カーミットさんのライブのあるブルーナイルというライブハウスは近年若者のもっとも集まるフレンチマン通りにある。神戸で言うならひところの東亜ウエストおよび鯉川筋のようなところだ。

一年ぶりに生で聴くカーミットさんの音はやはり包み込むように大きくて明るく、笑えるくらいにパワフルでしかも優しい。ああ、ここに帰って来たんやな、と、じいんときたのだった。

バンドの吹田出身のピアニストの辻君、アメリカではZ2ジーツー、つまり国境を越えた業界よみでいまやカーミットさんのファーストコールとなっている彼。一年ぶりに聴く彼のプレイもさらに自分らしく自信に満ちあふれた、すばらしいものとなっていた。リズム隊それぞれがそれぞれのことを言いながら、大きくうねってアンサンブルするこのバンドのこの快感はやはり生ではないと味わえない。
そこに早速加わる富永さん。驚くほど自然に、まるで昨日も一昨日もその前からずっといっしょにやって来たかのようなとけ込みように、見ていてとても嬉しくなった。

私も男。やはりせっかくきたのだから、舞台に上がらなくてはならない。
聴いているだけで充分たのしくて満足なのだが、ここでも一日に一度は自分と向き合わずにはいられないのである。

Z2に呼ばれてセカンドセットの合間に舞台にあがり、カーミットさんと握手をかわす。やあやあようきたなワレ、ほんでどないやねんな。おお吹きたいんかいな。まあ吹きいな。と彼。訳はもちろん意訳である。

おっしゃ、となんかの曲で吹き始めたのだが、音が出ない。
あがっ! なんでや!とあせる私、射るような観客の視線。なんやこの東洋人、音でえへんやないかい。といわんばかりである。

はっ、さては、とベルに手を突っ込むと、練習用のちびっこ消音ミュートがころりーん。

不本意にもカーミットさんの爆笑をさそってしまったのだった。

その2へつづく。