PIRIKA

先日、7月からずっとお世話になってきたOpen Network Lab(オープンネットワークラボ) の最終発表が終わった。
気持ちの整理をする意味で、Twitterでひたすらつぶやいたものをまとめてみました。

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今から4ヶ月ずっとお世話になったOpen Network Lab (以下ONL)についてひたすらつぶやこうと思う。ONL ともPIRIKA とも関係無く、僕(小嶌不二夫 )の見解であることにご注意下さい。また、もし問題がある ようでしたら即刻削除致しますのでその場合もご連絡下さい。
これから書く事がもし今までONL を通じて関わった方やこれからONL に関わろうと思って下さっている方のプラスになれば幸いです。


僕ら@TeamPIRIKAONL の存在を知ったのは確か3期募集締切の4日前くらいだったと思う。チームに参加してくれたばかりの @ayakix がこんなのありますよーと募集のurlを共有してくれたのが始まりだった。

当時僕ら@TeamPIRIKA はスタートアップの事なんか何も分かってなくて、目先の資金を得たり、メディアに注目してもらうために、エコとかITとかつくコンペに当てずっぽうに申し込んでいる状態だった。

正直ONL についてはよく調べずに資料を提出した。ただ、かなり気合いを入れて資料を書いたのは覚えている。得られる成果の前に、こういう選考に勝ち進むことがチームのモチベーションになると感じていた。

運が良かったのか、PIRIKA は書類選考を通過して、東京での面接に呼んでもらえることになった。Skypeという選択肢も用意してもらえたのだけど、実際に会わずにプロダクトや自分自身の魅力を伝えきれる自信が無くて夜行バスで東京へ行く事にした。


代官山にあるONL のオフィスは凄くかっこいいオフィスだった。当時の自分はホームレス生活を初めて1ヶ月くらいたったころで、カバンなんか破れていてこんなビルに入っていいのか不安になった。

環境起業家フジオの軌跡-DGB

前田ヒロさん@djtokyo を中心に3名の方との面接を受けた。最初の数分でサービスを紹介して、そこからは質疑応答というよりどちらかというと僕サービスへのアドバイスの時間になった。終止和やかで楽しい時間だった。(4期の面接がこうなるとは限らないので注意)

またまた運良く、僕らPIRIKA は最終選考に進めることになった。あとで聞いたところによると、僕らが選考を通過したのはチームにデザイナーがいた事と、僕自身が変で面白かったからとのことだった。


ちなみにこの時点で@TeamPIRIKA には6人のメンバーがいたのだけど、みな仕事や研究で忙しかったし、お金ももったいないしなので選考は僕一人で受けた。毎回みすぼらしいボロボロの服とカバンだった。

余談だけど、ONL の合格通知はいつも次の選考ギリギリだった。毎回、選考に落ちたからこんな通知が遅いのかとヒヤヒヤしてたけど、今から考えればそれくら時間や労力を割いて選んでくれていたのだと思う。

最終選考の時には確か10チームくらいがいて、それが最終的に7チームになった。 @Joi さんとかそうそうたるメンバーが審査員だった。めちゃくちゃ足が震えた。けど、待機中に他のチームのメンバーと仲良くなってここに入れたら最高だろうなと思うようになった。

ちなみに最終選考の時他のチームの発表はまったく見れなくて、終わったチームから帰っていくという、恐怖感をかきたてるシステムだった(笑)でもこっちの方が平等でいいよね。


で、これまた最高に運良く、僕らは選考を通過することができた。メールで合格通知が来た時、思わず叫んでしまった。キックオフイベントをやるとのことなので、 @a301020 @ayakix と共に東京へ向かった。

東京へ向かう前日くらいに @ayakix の指摘を受けて、ONLのホームページ をちゃんと見て、メンター の方についてくらい知ろうということになった。 で、ようやく気付いた。ONL 凄過ぎる。。。

キックオフイベントは凄かった。「聞いた事あるある」みたいな企業やサービスの責任者の方が続々登場して、20分×8セット(詳しくは忘れたけど)くらいで集中してメンタリングを受けた。とてもじゃないけど名前を覚えきれる気がしなかったw

環境起業家フジオの軌跡-ONL

どの方からも本当に素晴らしいアドバイスや指摘をもらって、正直サービスの方向性がかなり揺らいだ。当たり前だけど皆の意見はどれも違っていて、その素晴らしい意見からすれば、現状の今まで進んで来た道は賢くない道のように見えた。

でもこの時いろんな選択肢や可能性を提示してもらえたおかげで、自分が本当にやりたいこととか、どの領域に集中すべきなのかが見えてきた気がした。それが ビジネス的に正しいかは別として、僕は環境の分野から一歩も外に出たくなかったし、一つの小さな分野に集中したかった。

結局、僕ら@TeamPIRIKA はゴミ拾いにこだわることにした。逆に言えば限られたリソースや自分達の時間、お金を考えて大きく方向転換したり、守備範囲を広げることは不可能な選択に思えた。


一緒に3期に入ったサービスはどこも凄いチームに見えた。すごい技術を持ってたり、面白いコンテンツを持ってたり、逆に何のプロダクトも無い状態でアイデアだけで選考を勝ち上がって来たツワモノもいた。。年齢は22くらいから30オーバーまで様々だった。

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参加メンバーの半数以上が英語ペラペラでかなりびびった。「あじゃいる」とか「ぴぼっと」とかよくわからない変な言葉が飛び交うようになった。ちなみに僕はこの言葉を未だに訳せない。


毎週水曜日、18時から定例ミーティングが行なわれることになって、そのためだけに夜行バスで京都~東京間を往復する生活が始まった。ただそれだけの価値は十分にあった。

定例ミーティングに来てくれる人は伊藤穣一 さん、エバーノートCEOフィル さんなどそうそうたるメンバー(省略するのが恐れ多いくらい)だったけど、皆親身になってアドバイスをくれた。定例の後に他のチームの皆とご飯を食べるのは楽しかった。

環境起業家フジオの軌跡-Joi

環境起業家フジオの軌跡-fil


ONL で凄く良心的だと思うのはその出資のシステムで、会社設立の段階まで含めてトータル140万(チームメンバー3人の場合)の支援があって、それは株式の5%と引き換え。

ただ、それだと企業価値が2800万になってどのVCも資金を入れづらくなるの、出資を50万円以下にしてその他は補助金とか助成金とか別の項目で出してくれる。凄く自由度が高くて親切なシステムだと思った。


ちょっとこのタイミングでONL で切磋琢磨し合った同期のみんなや特にお世話になった先輩チームの皆さんを僕から紹介したいと思う。みんな本当に刺激的で楽しい人達だった。そして何より優秀だった。

FindJPN は外国人旅行者向けに日本ならではの体験を提供するすごくクールなサービス。ここはコンテンツ力が凄くてトップのまさしさんの優秀さと泥臭さがこの事業にぴったり。ラボに一番早くに来て、一番遅く帰る彼。3期の中で事業として一番確実に前に進んでいるチームだ。

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美人過ぎる書道家の書道レッスンとか、築地マスターと巡る築地ツアーとか日本人の僕でも行きたくなるようなコンテンツが充実しているのがFindJPN の強み。既に売上も上がっていて、サービスとしてもビジネスとしても魅力的な事業。一歩一歩着実に前に進んでいる。


mieple は人の紹介プロセスを簡単にするWEBサービス。トップのTaroの事業をぐいぐい前に進めていく強引さ、サニーのデザイン力と人柄、西島君の確かな実装力、と高いレベルでバランスが取れてて3人でサンフランシスコに飛び込んで行ってしまうコミット具合がいい。

環境起業家フジオの軌跡

3期の中で一番海外市場に対してアグレッシブに攻めているのがmieple で彼らの数字の作り方や、スケール感の見せ方はとても参考になる。チーム全員がバイリンガルorトリリンガルなのもこのチームの強み。行動を見ていてワクワクさせてくれるチームだ。


3期最年長チームはトルコ人のボラ率いるPecoq でモノ×ヒト×コトのSNSというコンセプトで新しいEコマースの仕組みを作ろうとしている。グッドデザイン賞を取得したスーパーデザイナー、シロウさんと経験豊富なマーケターナオタケさんのチーム。

環境起業家フジオの軌跡-pecoq

Pecoq のメンバーはとにかく飲むのが大好きで、ボラとシロウさんが出会ったのも大阪の居酒屋w ナオタケさんも含め人間的に凄く魅力的で、年下の僕らでも気軽に冗談を言えるような空気を作ってくれる気遣いが凄く嬉しい。


DemoDayでベストプレゼン賞を受賞したdressful.me のトップのエーコさんのバイタリティは3期トップかもしれない。あなたの日常をほんの少しだけオシャレに変えるサービスというコンセプトで何度も方向修正を加えながら前に進み続けている。

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エーコさんに振り回されても平然としているサポート体勢の強さもdressful.me の強みの一つだと思う。女性CEOという点に目がいって見落とされがちだけどIT企業の同期で実戦経験豊富な彼らの実装力は凄くて、一度方向性が決まれば凄いスピードで進んでくる。爆発力。

ABCLoop は日英の言語学習サイトで、ここは早くからサービスを世に出して、既に多くの会員を獲得している。イケメン兄弟のJohnとBilly、愛されキャラのデザイナーFrankyのトリオは本当に親切で人格者。

環境起業家フジオの軌跡-ABCLoop

ABCLoop のサービスやモデルはエバーノートのCEOフィル さんからも絶賛されていて、毎週毎週細かくサービスの質を向上させながら築いてきたコミュニティは大きく育って来ている。いつ爆発してもおかしくない。

DemoDayでベストテクノロジー賞を獲得したのソーシャルフィットネスサービスのChillax(チラックス)。マーケットの選び方や、サービスの表現、切り口の斬新さ等の随所に光るセンスを褒められること多数。

環境起業家フジオの軌跡-cillax

周囲からサービスの進捗を心配されていたのに、最後の最後でベストテクノロジー賞を取ってくるあたり、Chillaxはほんと抜けめない(笑)


そんな彼らが同期にいて1週間ごとに進捗を報告してくるのは@TeamPIRIKA としても本当に良い刺激になった。サービスを公開する前や、した直後で誰も気にかけてくれない時、スタートアップは孤独だ。この時に定期的に進捗を報告したり刺激し合える場があるのがONL の良さ。

ちょっとだけ先輩チームもちょっとだけ紹介したい。恐れ多いのでちょっとだけ。。全てを紹介しきることはできないけど、僕らの少し前をもの凄いスピードで走り続けてくれる皆さんの存在を抜きにして ONL の魅力は語れないと思う。

1期最優秀のgiftee は日頃の「小さなありがとう」を簡単にギフトとして送ることができるサービス。代表太田さんの人柄とそれを支えるチーム、人が応援したくなるサービスのコンセプト、大企業ともどんどん提携していく営業力とスタートアップのお手本のようなチーム。

環境起業家フジオの軌跡-giftee


同じく1期のQlippy は本を読みながら感じた事を“ Qlip ”(共有)し、読書をもっともっと面白くしていくサービス。代表の「団長さん」こと白形さんはその人柄で毎週のようにONL に人を呼び、僕らに繋げて下さる方で、おかげで多くの人と知り合うことができた。

環境起業家フジオの軌跡-qlippy


株式会社一人企業
の高橋さんはアフロヘアーのサイクリスト(笑)すごく人間関係を大切にしているのが伝わってくる人で、いろんな組織やイベントのハブになっている。「一人企業」「ヘンタイアラート」など、ネーミングにもセンスがあって尊敬している。

環境起業家フジオの軌跡-一人企業


Sassor は僕も入って中から思い切りドライブしたくなるような省エネサービス。僕らが選考に落ちたE-idea という国際的な権威のあるコンペティションで華麗に2年連続表彰されている。環境ビジネスというくくりで僕らの先を突っ走ってくれているチーム。

環境起業家フジオの軌跡-sassor


2期最優秀のWondershake については今更紹介する必要もないかもしれない。今いるこの場所で、趣味や関心を通じて新しい人を発見する、繋がるきっかけを創るスマートフォンアプリで、彼らのマーケティングの巧さやデザインはいつも参考にさせてもらっている。

環境起業家フジオの軌跡-wondershake


Compath.me はCEOのアンディーさんとCTOのしょこたんさんの美男美女コンビのスタートアップ。お気に入りの場所を共有し探すことのできるアプリで公式リリース間近。アンディーさんは人の良いところを見つけるのがうまくて一緒にいるだけで自信をもらえる。ファン多し

環境起業家フジオの軌跡-compath.me


frenzee は圧倒的な開発力とデザインが武器のスタートアップ。ONL 2期時代に2週間に一度ずつ新しいサービスを発表してその内一つを売却、最終的に一番将来性の ある事業である今のモデルに特化しているCEO村田さんの姿勢はシリアルアントレプレナーの見本だと思う。

環境起業家フジオの軌跡-frenzee


と、まあこんな感じで凄く素敵な同期や先輩に恵まれて、凄く幸せな環境で仕事をさせてもらえた。7月は関西と東京を行ったり来たりしていた僕も、8月はほとんど東京にいることになって、9月には完全に拠点を東京に移すことに決めた。そんな時、事件は起こったw

8月も終わりに近づいたころ、週に2回の深夜のSkypeミーティングの途中だった。 @ayakix が突然放った衝撃の一言。「俺大学辞めようと思う」もうぶったまげた。彼の存在は無くてはならないものだったので、僕はPIRIKAオワタ\(^o^)/と思った。でも。。。

彼の意図は逆で、PIRIKA の開発に専念するために大学をやめて一緒に出て来てくれるとのことだった。考えられないくらいに嬉しかったし彼の決断に感謝した一方で、もう後には引けないなと覚悟が決まったのを覚えてる。(あ、このエピソードONL と関係ないね、笑)

環境起業家フジオの軌跡-k&a

まあ、彼がリスクを負ってでも、彼女と遠距離になってしまってでも来たくなるくらいONL が刺激的で魅力的な場所だったということです。たぶん。


@ayakix と東京に来てからの生活はめちゃくちゃ楽しくて刺激的だった。(腕相撲で負けてCEOを解任される一幕もあったけど。。。)席を並べて仕事を進めるのは凄く効率が良くて、帰れなくなってそのままオフィスで寝てしまうこともあった(笑)

無理矢理夜行バスで京都に帰ってミーティングをしたり、実際にゴミ拾いイベントを開いたり、深夜まで開発を続けたり、かなり体力的にキツかったと思うのだ けど、皆持ちこたえてくれた。関西に残ったメンバーは皆研究や仕事があるはずなのに、深夜3時まで開発が続く事もザラだった。


ちなみに関西から僕らを支えてくれているのは @a301020 @naosnnnn @Masaruau5tralia @kadoppe の4名。実は僕らは全員で集合したことが一度もない(笑)あり得ない量と頻度で仕事をお願いしたのに、彼らは十二分に答えてくれた。

小嶌に魅力は感じられないし凄いとも思わないけれど彼らのような優秀なメンバーがついてくるのだから小嶌は凄い、みたいな喜んでいいのか分からない褒めら れ方もした。実際にはしつこく泣きついたとか、だらしなさすぎてほっとけなかったとかの表現の方が近いと思うけど。。。

ちなみに最近PIRIKA のプレゼンが褒められることが増えてきて凄く嬉しいのだけど、これは主に @ayakix @a301020 @Masaruau5tralia のおかげで意味不明な僕のスライドやプレゼンを何度も改善してもらった。失われたのは彼らの睡眠時間。


話がそれすぎたのでONL の話に戻します。


ONL の隠れたメリットは、最近有名になってきた上に評価されたり名の知れ出したチームが多いので、遊びに来ませんか?という名目でちょっと声をかけづらいような立場の人や凄そうな人を気軽に呼べること。結果として交流が増え、さらにそれが新しい出会いを生む。好循環。

普通に考えたらこちらから出向かないといけないような場合でも、他のチームへの紹介等を理由に来て頂く事ができてしまう。時間的な効率を考えるとこのメリットは計り知れない。

あと普段から僕らのサポートをして下さるONL 担当のスタッフの方やDGメンバーの方が凄く素敵。普通ベンチャーで綺麗な女性秘書とか受付とか雇ってる余裕なんかないのにそんな環境で仕事ができるに等しいw 小林さんとか山本さんとか普通に素敵過ぎる。

環境起業家フジオの軌跡

(オフィスに泊まった件を書いちゃって帳消しにしたいから機嫌をとってるわけではないですよ。。。)

デジタルガレージ社員の方とも一緒に話したり、ご飯食べたりできて刺激になる。英語が堪能なスタッフの方とかいて、プレゼンを訳してもらったり、なかには英語のレッスンを受けている人も。


当たり前になってしまって忘れてしまいがちだけど、トイレがいつもきれいなこととか毎日ゴミ箱を取り替えたり自販機が頻繁に補充されたり無料のウォーター サーバーがあったり、見えにくい経費をたくさんかけてもらってるのも凄く有り難い。朝7時から掃除の人が頑張ってくれている。

スタートアップが本当に大事な営業や開発、未来を考えるための時間を取れることって凄く重要だと思っていて、それをさりげなく、かつ完璧にサポートして下 さっているのは凄いことだと思う。本当に大切なことだけに集中できる環境をつくるのって本来はもっとコストと労力が必要なこと。

他にも会社設立についてゼロから教えてくれる山本さんとか、すぐ頼りにできる人が身近にいるのが嬉しい。業務が忙しい中で時間を捻出してくれていて、本来企業からすればもっと営利に繋がる活動に優秀な社員の労力を割り当てたいはず。でも時間をひねり出してもらえる。

環境起業家フジオの軌跡


最後にもう一人だけ。この人がいなかったらONL の魅力が半減してしまいそうな存在がヒロさん で彼が期間中ほぼ僕らのために時間を割いてくれる。アドバイスはめちゃくちゃ的確だし、得意分野以外のことでも得意な人に繋いでくれる。人脈も凄い。

環境起業家フジオの軌跡

ヒロさん が何より素晴らしいと思うのは、その人柄でどんなに忙しそうな時でも気さくに相談に応じてくれる。(というか相談できる空気を作ってくれている)たまにチラッとヒロさんのGoogleカレンダーが見えることがあるけど、あの密度でそれが出来るのは神w


ちなみに僕はONL 以外のインキュベート施設に入ったことはありません。友人からは、サイバーエージェントベンチャーズやサムライインキュベートなども同様に素晴らしい環境だと聞いています。僕は単純にONL に恩があってファンなだけでONL だけが優れてるといいたいのではないです。


そして、Demo Dayの日がやって来た。

環境起業家フジオの軌跡-demoday

Demo Dayは僕らONL 所属チームにとっての卒業式というか、最後の晴れ舞台のような場だ。5分間のピッチと5分間の質疑応答でチームやプロダクトを評価される。

当たり前だけど僕らONL でDemo Dayで優勝したり評価されることを最終目標にしているチームはなくて、どのチームにとってもそれは通過点とか出資や周知を得るための手段でしかない。中には正式リリースで一気に攻めるために情報を公開しないチームもある。

ただ僕としてはこういう分かり易い短期的なゴールがあるのは凄く有り難い。週一で定例がある良さとも通じるところがあるけど、PDCAサイクルを回す周期を短くできるので事業が進むスピードがある。チームのモチベーションにもなる。


ただ僕自身は凄く気合いを入れてDemoDayに望んでいた。それは単純に僕がプレゼン好きなのと、勝利とか1番とか優勝とかそういうのが大好きだから(笑)

他のチームもDemoDayの直前は徹夜で動画つくったり、ひたすらスライドを作り込んだり。。ただ通常の業務とか開発を疎かにしては本末転倒なのはみんな分かってて、割り切って仕事をしているチームもいたくらい。


僕ら@TeamPIRIKA の場合は開発側を @ayakix に任せることができたので、僕の時間をプレゼンの準備や練習に割く事が出来た。プレゼン資料はいつもだいたいの流れを僕が作って @Masaruau5tralia@a301020 に細部を詰めてもらう。

僕のセンスの無さやおおざっぱな性格はチーム内の共通認識なので、そこらへんは皆がサポートしてくれるw 逆に僕の仕事は不完全でもいいので早いスピードで叩き台を作ることと、優先順位を決めて最終的な意思決定をすることだと思ってる。そして僕の決定は大体間違ってる(笑)

毎週定例ミーティングという発表の場があるので、毎回少しずつスライドや言葉を変化させて伝わりやすい表現はなんなのかをテストをしてた。僕は聞いていて楽しいプレゼンにしたいので笑いを取れるポイントも常に探してる。

サービスを一言で表現するヘッドラインも、10パターンくらい作って全部声に出したり人に伝えてみたりして、結果のいいものを選ぶ。差なんてほとんど出な さそうに感じられるけど、候補をたくさん作って何回かテストするとびっくりするくらい明暗が分かれる。正直まだ足りないと思う。

台本も全部用意して、気合いで暗記する。カンペも用意して、その上で当日の空気を感じながらノリで喋る。大体話が少し脱線して、言葉遣いが悪くなる(笑) その場の思いつきで物を投げたり聞き手の近くまで歩いて行ったりする。

ベトナムで営業マンをやっていた時に気付いたのだけど、人は目線が一点から動かない状況では眠気やつまらなさを感じる。だから必ず動きまわる、マイクは絶対に手に持つ、定期的にスライドから目を離させる何かを入れる。

といいつつ、意識していることを全てできることなんて滅多に無くて、皆が作ってくれたプロダクトの魅力を伝えきることが出来なくて悔しい思いばかりをしてる。プレゼンに負けて @ayakix にウンチマンと言われる(笑)


で、僕らはDemoDay本番を迎えた。会場には軽く100人以上入っていて、すごくかっこいい雰囲気。ちなみにこの会場は普段は小さな会議室に分かれている場所でDGの人が何時間もかけて壁を移動したりしてセッティングしてくれてる。

環境起業家フジオの軌跡

先に1期2期の先輩方のプレゼンが始まる。@Qlippy 白形さんが最初からしっかり笑いをとってきてさすが過ぎる。

僕らの発表順は最後だったので余裕を持って待機、ではなく最後の最後まで微妙な資料の修正と練習をしていた。言葉の表現も会場の雰囲気を見て変えたりした。会は以外とサクサク進んでいて、観客がぐったりという予想していた最悪のケースは回避できそうだった。

よく誤解されるのだけど、僕は基本いつもビビってる。(本番第一声を発したくらいで人格が変わる。)当日も最後の最後まで足が震えていた。ちなみに待機中に10回近くトイレに行って何往復もしすぎてカードキーで扉をあけてくれるスタッフの女の子に笑われた。


いよいよ3期のプレゼンが始まって緊張が一気に高まった。正直皆のプレゼンを見る余裕なんて無かった。発表時間が5分ちょうどになるように皆のプレゼンに合わせて台本を暗唱して練習をし続けた。普通にうるさかったと思う(笑)

一つ前の @dressfulme のプレゼンになって、僕らはPCをセットするために前に向かった。エーコさんがめちゃくちゃウケてくれたおかげで場があったまっていて嬉しかった。ちなみに彼女の発表中にまたトイレにいって @ayakix にあきれられた。

環境起業家フジオの軌跡

ちなみに @dressfulme エーコさんは自分のすっぴんとおしゃれ時の写真を比較してビフォーアフターで見せてきて、会場の大爆笑を誘っていた。あれは反則だと思った、面白過ぎる。



そして僕らの番が来た。

PCとiPhoneを確認して、台に据え付けられていたマイクをもぎとって準備が出来た。めちゃくちゃ足が震えてるのが分かるくらいには冷静だった。

はじめまして、の言葉から本番が始まった。人生今まで無いくらいにエネルギーを込めて、なぜPIRIKA がこの世に必要なのか喋った。後で聞いたら声が大き過ぎて音が割れていたとのことだった(笑)

環境起業家フジオの軌跡

最初の問題提起で人はそのプレゼンを聞くかどうかを決めるので、思いっきり暑苦しくいった。「テクノロジーの力で人のモラルを変えられるのか」という、ともするとただのカッコ付けに見られる言葉をつかってギリギリを攻めた。

会場の空気からつかみはうまくいったように感じた。ただピリカの使い方の部分で痛恨のミス。実演に集中するあまり、スライドをめくるのを忘れてしまっていた。あわててスライドをめくった。必死に気持ちを立て直す。

ちなみに本番で使ったスライドは5分間で30枚強。質疑応答用も入れると50枚弱くらいになる。


アプリの説明を終えて、僕らの武器である26ヶ国1000ヶ所で利用されている実績を出す。想定していたよりもずっといい雰囲気だった。もっと攻められると思った。会場に受け入れられていると感じたら、口調が少し失礼になったとしても笑いとノリ重視で行くと決めていた。

(今は冷静に振り返って書けますが、もちろん本番はこんな風に考えたりする余裕は無かったです。ただ、だいたいこう来たらこうみたいなイメージはしていて、それを頼りに最後はノリと直感でやっています)


一番の攻めどころ、WEBサイトのデモの時間になった。僕らの場合、一番大事なのはスマフォアプリなので、厳密にはWEBサイトを見せる必要はない。ただ、実際に使われている感を出して、世界観を感じてもらいたかった。これは @koba84masa4 さんからもらったヒント。

デモはウケた。自分で言うのもなんだけど、ドッカンドッカンいった。アドリブも入れまくって、もの凄く楽しかった。もちろん100人いればまったく刺さらない人や笑ってない人もいるけど、人は周りの笑い声につられて笑うのでウケている感が大事だった。

環境起業家フジオの軌跡-ピリカ

最後に僕ら一番の課題でもあるビジネスモデルの話。ここはデモの勢いのままお笑い路線で一気に押し切ると決めていた。お金の流れや市場規模、競合の話など は一切せず、企業にとっての問題意識を煽りまくってこれなら確かにお金が動くかもという納得感を出す事に全神経を注いだ。

僕らは賭けに勝った。デモの勢いそのままにドッカンドッカン状態が続いた。アドリブをいれまくったり、皆が笑うための時間を十分にとったりしていたら、一番最後のピリカからのお願いのスライドの時間が無くなった(笑)

最後は「後はスライドを読んで下さい!」というめちゃくちゃな締めだったけど、今までにやったどんなプレゼンや講演よりもウケたと思った。プレゼンが終わって最初の一言が「あーウケて良かった。。。」だったので @ayakix に怒られた(笑)

正直ウケたかどうかとか聞いていた印象は座っていた位置によって違っていたと思う。僕が喋っていた場所は一番笑い声が聞きやすい場所なので、人によっては 全然面白くないプレゼンだったかもしれなくて、そういう方には心からお詫びしたい。大事な時間を割いてもらったのだから。

プレゼンを終えて自分の席に戻った。テニスでフルセットを戦った時くらい消耗していて、椅子から立ち上がるのがキツいくらいだった。今誰かが名刺交換に来たら、凄く失礼な印象だなとかそんなことを心配していた。

やり切ったとは思っていたけど、勝敗に関してはまったく自信が無かった。評価項目はテクノロジー、イノベーション、ビジネスモデル、プレゼンテーションで4項目で各5点ずつ。 テクノロジーとビジネスモデルでは他のチームに大きく劣ることは分かっていた。

ちなみに@TeamPIRIKA の技術力はめちゃくちゃ高いと思う。@ayakix @kadoppe @naosnnnn は皆研究室や企業のエースプログラマーで国際大会での受賞歴もある。ただPIRIKAの仕組み自体はシンプルで革新的なテクノロジーは使っていない。

審査結果をまっている間はとにかく不安で不安でしょうがなかった。

予定より少し遅れて結果発表が始まった。ベストイノベーションアワードからの発表だった。1チーム、賞は1つまでだと思っていたので、「呼ばれるな呼ばれるな」と心の中で願っていた。「ピリカ」と呼ばれて、終わったと思った。

@ayakix と一緒に壇上に上がって、半ば放心状態でトロフィーを受け取った。無理矢理笑顔を作った。

次にベストテクノロジー賞をChillaxが、ベストプレゼンテーション賞を @dressfulme が受賞した。もしかしたら、1チームで二つ以上の賞があり得るかも、まだ可能性はある。。という一抹の期待はベストプレゼンを取られた時点で潰えた。本当に終わったと思った。

めちゃくちゃ落ち込んで頭を抱えた。隣にいた @ayakix は思ったらしい。「うっわ~コイツめんどくせ~」


最優秀賞の発表の時間になって、なんとかその誰かを祝福しようとして気持ちを切り替えた。

そして、



何故か「ピリカ」が呼ばれた。。。



意識より先に体が反応して「いよっしゃ!!」と声が出て机をドンキーコングみたいに叩いてしまった。周りから失笑が漏れた。


そこからは本当に心からの笑顔だったと思う。さっきとは別の意味で泣きそうだった。 @nishida さんからトロフィーを受け取って

環境起業家フジオの軌跡-ONLdemoday

@ayakix と一緒に思い切りトロフィーを掲げた。最高の瞬間だった。

環境起業家フジオの軌跡-OpenNetworkLabDemoDay

そこから先はいろんな人に祝福してもらったり、お礼を言って回っていたらあっという間に時間が過ぎた。数えきれないくらいにお世話になった人がいて、全員を回り切ることはできなかったので不義理なことをしてしまったと思う。

閉会の時間になり、片付けが始まった。結局11時近くまで片付けはかかった。今回はたまたま運良く華やかな舞台に上げてもらったけど、それを作ったり片付 けてくれたりする人のおかげで組織やイベントは成り立ってる。自分が普段からそういうことを意識できてるかは疑問だなと思った。

実際Demo Day前日@TeamPIRIKA メンバーは夜中の3時、4時まで開発やデザインを続けてくれていた。DemoDayはあくまで通過点で本当の勝負はプロダクトの出来にかかってると皆が理解してくれているのが嬉しかったし、おかげで開発側は安心して任せられた。

片付けが終わって、ONL 共有オフィスがある11階に上がり、ささやかな打ち上げのようなことをやった。楽しかった。
そんなこんなで、僕のONL での4ヶ月は終わった。本当に楽しくてエキサイティングな場所だった。ただ僕と @ayakix はここが大好きなので来年6月末のギリギリいっぱいまで居座る気まんまんですがw

と言うわけでONL での楽しい思いでをつぶやくのはこれで終わりにします。お付き合い頂いた方は本当にありがとうございました。今まで関わって下さったかたも、これから関わる方も引き続き宜しくお願いします!これからのPIRIKA の展開をお楽しみに!

環境起業家フジオの軌跡-demodaywinner