インドを回ることのできる事実上の最終日。

この日、朝食の席でご主人とインドの環境ビジネスの話しをしていて、「廃品回収がいいんじゃないの?」という話になった。

確かにデリーの街はゴミに溢れているし、廃品回収なら他の多くの環境ビジネスと違ってあまり元手もいらない。


なので、この日は観光がてらデリーのゴミ事情を見て回ることにした。


ひたすら落ちているゴミの写真を撮ったり、ゴミをあさっている貧困層のおばさんをストーキングしたりしているうちに気付いた事。

ほんの少しでも価値があるものであれば勝手に拾われる、ということ。

街中どこを見渡しても、カン、ビンはほとんど落ちていない。
ペットボトルボトルもたまに見かける程度でほとんどは拾われてる。

これらのゴミは街中に買取所みたいなところがいくつもあって、その店の前に積まれていた。

上記の三種類が拾われるのは基本的に何処の国でも(日本でも)同じだろう。
面白いのは、捨てられて硬くなったナンみたいな食べ物も拾われていたこと。(もちろん大多数の生ゴミは放置)

つまりほんの少しでも価値があれば、そのゴミは拾われていく。競争みたいにして貧困層が拾っていく。

ほとんど無価値なゴミは放置されるか、たまに来る公共の収集業者(でも場所によってはほとんど来ない)に拾われていく。

拾われて集められた先でも、更にほんの少しでも価値あるものは分別されて回収される。(インドで言えばビニール袋がそう。)


当たり前の話かもしれないけど、こういう所にもしっかり市場原理が働いている。

だから今捨てられているゴミに価値を持たせる事が出来れば、例え1円でも貧困層が喜んで拾っていってくれる。
彼らを物乞いから労働者に変えられる。

ゴミを一円でもいいからお金に変えるアイデア、絶賛募集中。
それさえあれば、僕が10年がかりでインドで事業化してみせる。


といいつつ、ゴミばかり追っているのも飽きたので、お昼前からは普通にデリー市内を観光した。

途中、泊めて頂いていた家庭の奥さんと合流して生鮮食品が手に入るマーケットも見せて貰った。

机の下に生きたニワトリがたくさんいて、机の上は鳥肉の山。

劇的ビフォーアフター。

この日も前日同様に駐在員夫妻の家に泊めて頂いた。
ご主人にも奥さんにもメイドさんにもいろんな話を聞かせて貰って楽しい夜だった。

翌日の朝にはシンガポール行きの飛行機の中。
「インドは警戒してたけどそんなに大きなトラブルも無くて良かったな。」
そんな風に思った。



今から思えばこの油断が命取りだった。