『 精神文明と奇跡 』
第3章 肉体と生命体
◎ 宗教と信仰と経文 ①
宗教と信仰は、人々を救い、人々に精神的な幸福を与えるはずのものが、善人を戦争の苦難の道に追い込み、大衆を不幸のどん底に落としいれている。
その原因は何であろうか。
キリスト教のイエス・キリストがそのように教えたのだろうか?
ゴーダマ・ブッタ(釈迦)、モーゼ、アラーの神マホメット、そしてイエス・キリストも、高次元の世界において同一の神か、あるいはその分身の神である。
自分の分身が作った宗教を攻撃せよと教えるはずがないと思われる。
それでは現在の争いは何に起因するのだろうか?
それは、現在の宗教家の、自己の利益のために、自己の権益を増すために、動物的欲望を満足させるための闘争にほかならないものである。
イエスも釈迦もモーゼもアラーも無限の愛と光を持つ絶対神の指令により、その時代、その社会情勢に合った教えを人民に与えるために、人間の姿となって天上界から降臨したものである。
このように考えれば、宗教の対立はあり得ないことであり、もし闘争があるとすれば、神の教えを代行すべき現在の指導者は、もう一度昔に帰って、真の神の教えの何であるかを研究する必要があるのではないだろうか?
そして全宗教が仲よく歩調を合わせ、世界全人類の幸福のためにつくさねばならないと思う。
天玉尊先生が、神に対して、神様はどんな方ですか、そしてお名前を教えて下さいとお願いしたとき、
神とは姿形なく、光の如く平等に慈愛を無償で与えるものであって、精神のある光のようなものである。
名もないが、しいて名前が必要であれば
『無上根本大聖尊』
とでもしなさいとの教えがあった。
その絶対の神の許(もと)にある天使が、人の世を救う姿としてあらわれたのが、釈迦でありキリストであるわけである。
仏教もキリスト教も回教も神道も、全て同じ神の意志によって作られたものであり、その精神の基本とするところは全て同一のものであるはずである。
どの宗教においても、根本は人間の幸福と平和を教えているものであろう。
それが千年、二千年と経るに従って、その職にたずさわる人間が、自己の利益のために他の宗教を誹謗(ひぼう)することになった。
同門の宗教においても、みにくい争いを新聞紙上で見るが、その管理者は、宗教が何であるかを忘れ去り、営利事業と考えているのであれば、宗教株式会社を設立し、製品等によって社会に利益を還元しつつ、自分も儲ければよい。
自分は働かず信者の供物によって安穏な生活をむさぼりながら、内部で争いをするとは、常人よりも精神面は下劣ではなかろうか。
このような心掛けで導かれる人は、また我欲におぼれるようになるのではないだろうか。
救われたいと願っての信仰が、悩みの種にもなりかねないものとなる。
【お経とは】
宗教には必ずといってよいほどお経がある。
お経をあげないと仏様に申しわけないと思って、忙しい時間を割(さ)き、気持ちはいらいらしながら、心は他の事に頭をいっぱいにして読経している人を見かける。
お経とは何であろう。
人間の作文は詩とか歌になるが、お経とは、神示等によって作られた神の言葉である。
神が造ったお経を神の前で唱えて何の意味があるのだろうか。
神が経文を授けるとき、その意味をよく理解し、実践せよと教えられたはずである。
お経は唱えるものではなく、心の教訓として、自分の心の中に焼きつけるために読むもものなのではなかろうか。
中には例外として、般若心経(はんにゃしんぎょう)のように、古代インド語を漢文で表現し、意味のわからぬようなお経や、神道の大祓詞は、精神統一のときには、それを無心に唱えることによって無我の境に入る利点もあろうが、一般の経文はその意味を悟ることが主体となっている。
お経は唱えるものではなく、自分がよく理解し、その精神を実践に移すようにしなくてはならないものである。
また、仏前神前にぬかずかないと神仏に心が通じないように思う人も多いが、神は人間の心を見透(みとお)しであり、手を合わせて神前に頭を下げなくても、遠くから心の中で手を合わせることによって、心は神仏に通ずるものである。
『神は自分の心の中にある』
形式にとらわれず、心のあり方の問題であることを自覚すべきである。
最近は新興宗教なるものが各地に発生しているが、その教祖さまは、予言、透視、治病等の不思議な力を持った人が多いが、それがすべて善の神の力だと思うことは早計である。
私の政木フーチパターンにより測定すると、確かに大きなエネルギーは持っているが、それは動物的な力であって、物欲と自我本能の精神の持ち主の人がある。
これらの人々は、信者に対して金銭物資の奉納を強要し、それを断れば、神罰を下すと脅すために、弱い信者は仕方なく泣く泣くその通りに供物を続けている。
真に善い神は、人間を幸福にさせようとはするが、罰は絶対に与えないものである。
物を強要する教祖は、虎の威を借りる何とかのように、自分のよこしまな霊感を悪用し、神の意志のように見せかけた私利私欲の発露であるのであるから、信者はおそれることなくそれと決別すべきである。
善神の指導により、真に人を導く教祖とは、供物よりも、悩める人に喜びを、貧しい人には惜しみなく物資をも与えることができる人である。
【神とは】
ある小学校の先生が
『私は奇跡を見た』
の本を読んで
『神があるように書いてあるが、神とはどんなもので、どこに居ますか』
と聞きに来た。
筆者も五年前までは、神とか仏とかは観念上のものであって、実在しないと思っていた。
天玉尊先生を知ってから、甘露の湧出、真珠の発生そして仏像の出現等、物理的にはあり得ない奇跡が続出したが、それでも信じられなかった筆者に、目の前で大黒様があらけずりから完成したり、筆者の口から出た真珠が、計る度ごとに直径が大きくなり、身体が悪いときには小さくなった事実等、科学的には説明も証明もできないことではあるが、それが事実として記録に残り、また現品が実在すればそれは事実である。
科学的に説明できなくても、事実それはこの世の中に実際に起きたことである。
それが人間の力の及ばないことであり、自然の現象でもなければ、それは誰がしたことであるかと考えると、やった者がいないことになる。
そのわからない誰かのことを『神』と仮りに名付けてもよいのではないか?
天玉尊先生も、神様とはどんな姿かを尋ねたことがあったが、そのとき神らしき方から、
神とは定まった形もなく、名もないものである。
心を持つ光のようなものだから、形が欲しければ、自分で名をつければよい。
例えば
無上根本大聖尊のような名もよい、ということから、天玉尊先生は神を呼ぶとき
『無上根本大聖尊』
と唱えている。
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