『 精神文明と奇跡 』
◎ 世にも不思議な実話 ③
--- 天玉尊先生の神示録Ⅰ ---
【仏像の変身】
信じられなくても事実として、私の掌にある仏像を眺めているうちに、これが未完成であることに気付いた。
台座の横および後方の面はきれいに仕上げてあるが、正面だけけずってなく、素材のままであるために、ノコギリの切りあとらしい線が残っている。
もし人間が造れば、このみにくい面を後側にするだろう。
何故正面にあるのだろうか?
また仏像の右の耳の付近が仕上がっていない。
そして左手の指先の付近にもザラザラがある。
天玉尊先生、なぜこの仏像は未完成なのでしょうかと聞きたかったが、そのまま在り難く頂戴して帰ることにした。
その翌日から三日間新幹線は止まることになっていた。
仏像を胸に頂き、東京駅のホームにあがってびっくりした。
プラットホームは超満員である。
“ひかり”も、指定券の発売がなく、全車が自由席となっていた。
各入り口には二百人近くもならんでいる。
困ったことだと思って近くの入り口を見ると、三人しかならんでいない。
その後にならんでいるとすぐ扉(とびら)が開き、いとも楽に座ることができた。
その列車には、通路にも立てないくらいの人が入り込み、超々満員となって発車した。
大阪に帰り、そのことを先生に電話した。
先生は当りまえのように、
『大黒様があなたの代わりにならんでいてくれたのですよ。
一般の人には二百人も行列しているように見えるが、あなただけには、真の三人しか見えなかっただけですよ。
そんなことはいつでもおこりますよ』
と、平然と答えられた。
大黒様を頂いて帰ってから益々迷いは大きくなった。
大阪大学で三十有余年間研究一途に生きて、神仏の存在も信ずることができず、宗教不用論さえ唱えていた筆者にとっては、今の出来ごとは晴天のへきれきであって、頭は混乱するばかりであった。
その日からしばらくたった十二月六日、食事中にまたとんでもないことが起きた。
目の前でその大黒様がひとりで横向きになったのである。
『大黒様が動いた。
横向きになった』
と皆が言い出した。
すぐとんでいって大黒様を手に取ると少し変な気がする。
どこか変わったように思われる。
『先週写した写真とくらべよう』
長男が写真に興味を持ち、大黒様の写真を多くとっていたのでそれと比べてみる。
まず台座の前のキズがなくなっている。
そして右の耳が完全に仕上がっている。
左手の指先のモロモロもなくなっている。
そして顔も前よりも上品になっている。
最後に裏を見てまたびっくりした。
私が出現した日と場所を、エンピツ書きで台座の裏に書いていたところ、知人がもったいないことをするなと言うので消しにかかったが、深くくいこんでいて消えなかったので、そのままにしておいた字が、全部けずり取られて、その部分だけ低くなり、台座の下にはそのカンナクズが残されていた。
この現象を見た瞬間に私の心は大きく晴れやかに変わっていった。
信ずることである。
科学的には証明されなくても、自分や、七・八人の眼の前で起きるこの超常現象。
これは事実である。
この世には人間の知らないもう一つのエネルギーが存在する。
それを探求するのが、真の科学者ではないだろうか。
その瞬間から、私の心の中には暖かいものが通うようになった。
【自然が意のままに】
筆者は昭和五十年の初夢を信州の熊の湯スキー場において見た。
それが天玉尊先生に初めて会った時である。
その初夢の中に見た風景が、名古屋から少し東方にある蒲郡(がまごうり)の竹島であることを知らされ、その島に渡った時のことである。
当日は、先生とご一行が来島の日であった。
竹島に鎮座するは、白竜王と称される竜神である。
同伴の人々の話によると、昨年某日来島の時は大雨であったそうである。
中の一人が、先生が来島されているのになぜ雨が降るのでしょうねと、先生に言った。
先生は、そうですねと言いつつ、天に向かって指で丸を描かれた。
するとたちまち、島の上空の雲は四方にさがり、島の上空だけは晴天となった。
周辺の海面には雨は降り続いていた。
【自分自身の転送】
またある時、第一集会場での行事を終わり、第二会場へと天玉尊先生だけを残して出発した。
徒歩で三十分ぐらいのところである。
先生は第一会場の人と打ち合わせ等があり、三十分ほどおそくなった。
さあ行きましょうと思われると、瞬時に第二会場へついてしまわれた。
三十分前に出た組の先頭の人々と同時に、第二会場へ着かれたのである。
『あれ、先生はどこからみえたの?』
『第一会場から真っすぐに歩いたら、ここにつきましたよ』
『そんな筈(はず)はありません、まっすぐに歩くことはできません。
途中に大きな家があり、回り道をしなくては、これないはずです』
しかし先生は、現実にいまここにおられる。
では三十分間のずれはどうなったのだろう。
昭和五十二年の春の日。
食事の仕度(したく)ができたから、先生が二階でひるねをしているから起こしてきて下さいとの言葉にとんで上がった人が、
『先生は二階におられませんよ』
『そんなはずがない、三十分ほど前に先生は二階でちょっと一休みしてくると言って上がっていかれたから、ねておられるでしょう』
と。
そこで数人の人々が二階へ探しに上がった。
二階にはフトンは敷いてあるが、先生の姿は見えない。
押し入れや屋根までも探したがどうしても見つからなかった。
『おかしいね、たしか先生は二階に上がられたのに』
とお手伝いさんもなっとくのいかぬ顔をしている。
それから数分後、先生は二階からおりてきて、
『あなた方は失礼よ、私がねているフトンの上をふんづけていって』
とプンプンとおこっている。
皆びっくりした。
フトンの中はカラッポであった。
しかし先生はいたと言われる。
それでは先生の姿は見えなかったのか?
このような奇跡は、先生のお宅では常に起こっており、家人は当り前のように思っている。
先日伺ったときも、祭壇にあった仏像が全部なくなっていた。
皆が大騒ぎをしていた。
二階へ上がっていることがわかった。
皆で手わけして祭壇の元の位置にもどした。
すると、また全部なくなっていた。
こんどはとなりの部屋のピアノの上に大きなものから順番にならんでいた。
先生はにっこりとして、
『今日は雨で小学校の運動会が中止になったので、そのかわりに仏像が運動会をしているよ』
と、あたり前のように言っておられた。
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