『海馬(トド)』 | 赤と黒

『海馬(トド)』

 『海馬(トド)』(吉村昭)

―あらすじ―
 海馬(トド)撃ちに執念を燃やす老人。人に言えない秘密を抱えた鰻漁師。自然と生物と共に生きる人々を描いた全7編。



 著者の作品と言えば『冬の鷹』や『羆嵐(くまあらし)』など、記録文学のイメージがありました。が、本作はそのイメージとはまた違った魅力を教えてくれました。自然や生き物という、人間の手では自由にできない相手に対する人々の情熱。そしてまた実に大人向けの読後感。著者の作品の中では、『高熱隧道』に通じる部分はありますね。

海馬(トド) (新潮文庫)/新潮社

¥594
Amazon.co.jp