『グミ・チョコレート・パイン』 チョコ編 | 赤と黒

『グミ・チョコレート・パイン』 チョコ編

 『グミ・チョコレート・パイン』(大槻ケンヂ) 「チョコ編」

―あらすじ―
 黒所高校二年生の大橋賢三は、「人とは違う何か」を見つけるために、親友のカワボン、タクオ、山之上らとノイズ・バンドを結成。一方、黒所高校一の美人であり、賢三の片思い相手・山口美甘子もまた、心の中では、自分には人とは違う何かがあるはずだと思っていた。そして美甘子は映画監督の大林森にスカウトされ女優になることを決意し、学校を去ってしまう。賢三、カワボン、タクオ、山之上、そして美甘子…それぞれの旅立ちを描く、著者の自伝的大河小説、第二弾。


 前巻から一歩前進し、賢三たちは音楽バンドの世界へ、美甘子は映画女優への道を進んでいきます。映画の世界で変わっていく美甘子の言動や行動は、現実を見せられているかのようで辛いものがありました。何百冊の本や何百本の映画を知ることで構成されていた自分の世界が、一瞬にして滅んでしまう。ここにおいて、賢三と美甘子の世界が完全に隔絶されてしまいました。さらに賢三には、作詞という試練が待ち構えており、彼が呟く「周回遅れ」の言葉が心に響きます。

グミ・チョコレート・パイン チョコ編 (角川文庫)/角川書店

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