根がある限り | あべこう一(阿部浩一) Official Blog

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シンガーソングライター

梅雨らしくうっとうしい天気が続いた関東地方。雨の日はすべての外出を控えて、家でじっとしているに限ります。窓越しに空や雨粒を眺めたり、本を読んで疲れたら寝転んだり。晴耕雨読を徹底的に実践できればよいのですが、自分自身が持っている他の欲求との兼ね合いから、なかなかそういうわけにもいきません。

2年前、私はもう誰の子分にもならない。自分の人生は自分でコントロールするのだと意気込んで8年間勤めたNGOを退職しました。その後の2年間はいろいろなことがありました。そして、何らかの軌道修正を模索していたところ、縁あって現在かかわっている福祉関係のファンドレイジング職に就き、再び組織の一員となったのでした。

そうはいうものの、身分こそ団体職員ではありますが、一人事務所で常に誰かの目があるというわけではありません。仕事のための諸々は自己管理が基本です。私のようなどちらかというと、みんなで同じことを行うことが苦手な者にとっては恵まれた環境ですが、やはりプレッシャーを感じる部分もあります。

ある程度、人生を重ねてきた人にとっては当たり前のことでしょうが、理想は理想として、現状と折り合いをつけることを妥協とは言いません。根の部分まで腐らせてしまえば妥協ですが、花や葉っぱ、実の部分は季節や天候などに合わせてどんどん変化してもよいのではないでしょうか。

「ぶれない生き方」なんていうとかっこいいですし、沈みゆく船からの脱出を試みない身の処し方というのも長い目でみればアリだというケースもあるでしょう。とはいうものの、一度花弁を閉じることを選んだ花も根がある限り、きっと次の季節にはさらに大きな花を咲かせたり、鮮やかな色彩を発したりすることを信じて、変化を恐れずいま与えられた環境に感謝する気持ちを忘れずにいたいものです。