第24回は、「こんな貴族もおったのにゃ~」でした。
まずは源隆国…
のちに大納言にまで出世して、宇治大納言と称されました。
実に有能な官僚だったらしく、藤原派だったにもかかわらず、藤原氏と関係が薄い後三条天皇が位についた後にも重用されました。
さて、この人物の逸話が古代のスキャンダル雑誌とでもいうべき『古事談』に掲載されています。
隆国卿、頭と為して、御装束に奉仕す。
先に主上の御玉茎を探り奉るに、主上隆国の冠を打ち落とさしめ給ふ。
敢て事と為さずして本取を放ちて候ふ。
是れ毎度の事なり。
話はたったのこれだけ。この前にもこの後にもな~んにも書かれていません。
初めてこれを読んだときは、しばらく間があってから爆笑してしまいました。
頭、というのは蔵人頭のこと。
天皇の側近で、現在で言えば官房長官に近いかもしれません。あるいは首席秘書官、といったところでしょうか…
毎朝、天皇のお召替えのときになると、まず天皇の「御玉茎」をいじくる…
「なにしとんねんっ」と、天皇は隆国さんの頭をはたく。
めっちゃ強くたたかれたから、冠が飛んで髻(もとどり)が外れてざんばら髪になる…
隆国さんは、何事もなかったように、御着替えをそのまま手伝っていく…
この『古事談』の筆者はなかなかセンスがあって、細かくいろいろここには書かない。
是、毎度の事なり
という最後の〆の一文が効いていますよね。
源隆国と後一条天皇の、記録に残る最古のミニコント、でした。