裁判所職員採用試験受験の勧め | 彼の西山に登り

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今日はCSS千葉大前校にいます。

裁判所職員一般職試験の合格者で某地裁内定のチューターTさんが、「私の裁事憲法論文の取り組みかた」と題して裁判所事務官試験の専門記述対策について、受講生に話をしてくれました。会場の教室が一杯になる盛況で、受験勉強時に作成したノートなども使って、詳しく話してくれたようです。Tさん、どうもありがとう。


そういえば、

昨年末の記事で、平成27年度は、都庁・特別区・国家専門職の1次試験日(6/7)の前の週の日曜日が裁判所事務官の1次試験日(5/31)のため、都庁・特別区・国家専門職の第一志望度が高い方は、裁判所事務官の試験を受験して結果が思わしくなくても過度に気にせず、出鼻を挫かれないよう注意しましょう、という趣旨の記事を書きました。(http://ameblo.jp/kogetsuken/day-20141227.html)

ところが、そのためかどうか分かりませんが、CSSの受講生の中に裁判所事務官の受験を敬遠する向きがあるとかないとかいう勿体ない話が聞こえてきたため、今回は裁判所職員(特に裁判所事務官)受験の勧めを書こうと思います。※

まず、上記の記事で、択一式試験の問題に癖がある場合があると書きましたが、一方で、科目が絞られるというのは、勉強の開始が遅れるなどの理由で対策が行き届いていない科目がある方でも受験しやすい、ということはいえるかと思います。
特に専門試験は、取り敢えず憲法、民法、刑法か経済理論の3科目が何とかなっていれば合格が狙える、という所がタイミング的に美味しい所です。毎年、法学部以外の学部生が受験を迷う傾向がありますが、憲法7問、民法13問、選択科目10問と、民法と(選択すれば)経済理論とでは、問題数が3問しか違いません。結構法律科目以外の比率が高いのです。
また、基礎能力試験も、知能分野27問:知識分野13問と、知能分野の割合が高めで、5月末の段階でまだ知識分野に穴があっても若干受けやすくなっています。従来、都庁・特別区は知能分野24問:知識分野16問ですからね(ただし平成27年度からは、都庁は多くの国家公務員試験とそろえて知能分野27問:知識分野13問に変わります)。

また、少なからぬ受験生が苦手意識を持つ専門記述も、一般職大卒程度試験なら憲法のみの一行問題ですから対策はとり易いです。教養論文もここ数年は政策知識を要せず、現場で考えて構成しやすい問題です。配点比率も低いです(各1/10)

さらに、個別面接のみの人物試験の配点比率が高いため(一般職大卒程度試験で、4/10)、1次試験の段階で必ずしも高得点でなくても、とにかく1次試験を合格さえすれば、面接で挽回して、最終合格時に大幅に席次を上げることも可能です。

他の職種と比べた場合、職業として魅力を感じるかはその方の考え方次第でしょうが、専門職志向が強い方は裁判部門で専門性を高めることができますし、そこまででない方の場合でも司法行政部門なら、官庁や自治体の同様な部門と業務内容に極端な差があるわけではないでしょう。
平成27年度からは、総合職(裁判所事務官)も従来の一般職と同様、高等裁判所の管轄区域内の採用・勤務になりますから、全国転勤に志向が向かない方でも抵抗感が少なかろうと思います。


というわけで、受験戦略・職業選択のいずれの面からも、受験する意味は低くないと思いますよ。
特に平成27年度から、都庁・特別区と国家専門職の1次試験が同日になることにより、採用者数の多い職種の選択肢が1つ減ります。できるだけ選択の幅が広がるよう、挑戦してみることを勧めます。


※別に総合職試験(家庭裁判所調査官補)を勧めないわけではありませんが、これは従来から結構な人気職種ですから、敢えて勧める必要はないでしょう。