軽井沢高原文庫 -174ページ目

夏季特別展「130年の軽井沢~室生犀星・堀辰雄・川端康成・遠藤周作…~」終了まで残り5日

きょうの軽井沢は青空が広がっています。心地よい風も吹いています。きのうは、軽井沢町中央公民館の軽井沢再発見講座があり、霧雨の中、参加者の方々を旧軽井沢・桜の沢一帯にご案内して歩いてきました。その前に、今回のテーマに関わる、当館の堀辰雄山荘と今の展示の川端康成コーナーもご覧いただきました。全部で約2時間。このところ雨続きだったせいか、旧軽別荘地の庭や小道のあちこちに珍しいきのこが出ているのが目につきました。日当たりのよい当館周辺と違い、別荘地の森の中は紅葉はまだだいぶ先のようにも感じました。あす、あさってと軽井沢は晴れという天気予報でしたので、けさは早起きし、自宅庭にブルーシートを敷き、そこへ家北側にチェンソーで伐り、斧で割り、ただ積み上げていた薪を猫車に載せて移しました。薪を乾かすため。さて、当館で開催中の夏季特別展「130年の軽井沢~室生犀星・堀辰雄・川端康成・遠藤周作…~」も残すところあと5日となりました。皆さま、どうぞよろしかったら軽井沢のほうへお出かけください。

「宮森敬子 個展 PD x EarthⅡ」

きのう、西隣の御代田町の雑貨店&ギャラリー&ブックカフェのpace aroundで開かれている「宮森敬子 個展 PD x EarthⅡ」をのぞいてきました。大浅間ゴルフ場の近く。先日、ニューヨーク在住の造形作家本人が当館に来られ、当館の庭木の<木肌>から和紙に木炭で写し取った作品も、会場の一隅に飾られていました。個展会場の周囲の樅や赤松、モミジから採取したという大きな和紙作品や、旧式タイプライターやアリゾナの旅で出会った木の枝や小石を和紙でくるんだ作品なども展示されていました。作品から感じられるのは、自己主張というより、時間や空間を自由に行き来しつつ、和紙という自然素材で自然や記憶や様々な痕跡を写し取ってゆく。出会いや繋がり、そうした作品創造のプロセスまでも作品に生かし、作品の中に溶かし込んでゆくといったらよいでしょうか。和紙は福井県今立町の職人さんが漉いたもの。木肌を採る木炭は現場で拾った枝を自分で焼いて作っているので、今回の作品は多くが軽井沢周辺で採取した木から得た木炭を使用。会場をひとわたり見て、さて、本人はどこにいるのかと思い、お店の方にお聞きしたら、作家は奥の隠れ部屋のような所で、メインとなる机と椅子を木の枝でつないだ作品をなんとまだ制作中でした。もう個展は始まっているというのに。コーヒーを飲みながら宮森さんからうかがったところでは、フィラデルフィアに12年ほど、その後ニューヨークに5年ほど滞在しながら、こうした作品を作り続け、こども病院や倉庫、雑貨店などで時折、個展もなさってこられたとのこと。木の根っこをアクリル樹脂で閉じ込めた立方体作品や、日本にいた初期には日本画もやっておられたそう。最初は獣医を目指していたこと、フィラデルフィア美術館で見たブランクーシ展がよかったこと、ペンシルベニア大学にも一時おられたことなどもうかがいました。彼女が現在、進めている「つなぐプロジェクト」というのも面白いなあと思いました。

『磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義』

先日、『磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義』(六耀社)という新刊を磯崎新氏からお送りいただき、少し時間がとれましたので、この二日ほどかけ、ほぼ読了しました。私は門外漢なので、おそらく十分の一も理解できていないと思いますが、要するに、本書は、建築界において、これまで語られることのなかった日本のモダニズムの<戦前から戦後の流れ>を、相当意識的に辿ろうとした、もっといえば、戦時下で隠されていたものをもさがしだし、日本のモダニズムの成立過程を明らかにしようとした対談のようです。その核心をつかむために、ここでは8人の人物が、俎上にあげられています。アメリカと深く関係したアントニン・レーモンドと吉村順三、前川國男と坂倉準三という二人のフランス派、戦前にドイツに渡った白井晟一と山口文象、最後に戦後1950年代初頭に渡航し、「国際建築」としてのモダニズムを介して自己形成した大江宏と吉阪隆正です。私は個人的に、アントニン・レーモンド、吉村順三、前川國男、坂倉準三、白井晟一、山口文象、大江宏、吉阪隆正の章を面白く読みました。あっ、これは全員でした。(以前から、多少関心を持っていた白井晟一の裏のエピソードも興味深かったですし、これまで知識の少なかった大江宏と吉阪隆正という人物にも興味がわきました。ちなみに、私の貧しい知識でも、山口文象、吉阪隆正をのぞくほぼすべての人物が軽井沢と深い関わりをもっているのには驚きました。)

 

秋景

当館の前庭のハルニレの大木が、黄葉を落とし始めています。この数日、朝、その落葉を集めるのが日課になっています。けさ、野上弥生子書斎のそばでヤマカカシを見ました。30センチくらいのこども。ひと月ほど前、堀辰雄山荘のそばにいたのと同じ個体です。きのうは、軽井沢タリアセンの中央ゲートを入った一帯に、茅野へいってトラックで運んできたという巨大なカボチャがオブジェのように点在しておかれました。ハロウィンの準備が始まっているのです。軽井沢は日一日と、秋のよそおいを見せてきています。皆さまのところはいかがですか。

辻邦生山荘見学会2016③が終わりました

きのう、辻邦生山荘見学会2016③がおこなわれました。今年3回目、今年最後の特別公開。天気は曇り。きのうは、辻邦生氏の勤務先のはるか後輩にあたられる学習院大学文学部フランス語圏文化学科の田上竜也教授もご参加くださいました。山荘内の書斎、リビング、山荘周囲などを一時間あまり、ご案内しました。一週間ほど前、磯崎新氏にお目にかかった際、隣りの磯崎新・宮脇愛子山荘や、磯崎氏の書斎「イソゴヤ」、宮脇作品「うつろい」なども見学してよいとのご許可を再びいただきましたので、そちらも歩いて見学させていただきました。ところで、辻山荘を崖下からふと見上げた際、色づき始めた樹の葉の間のかなたに灯りがともった辻山荘が眺められ、一瞬、辻夫妻が居間で親しく語らっておられるかのような錯覚を覚え、どきっとしました。夜は、神戸から来られた旧知の大学教員の方を囲み、当館近くのイタリアン「ロゼッタ」で赤白ワインを1本ずつあけ、食事をしました。

軽井沢演劇部「ある死刑囚の手紙」朗読会(東京、11/18・19)チケット予約状況

軽井沢高原文庫・軽井沢演劇部「ある死刑囚の手紙」朗読会(東京、11/18・19)のチケット予約状況について、お知らせさせていただきます。

9/22(木)からすでに予約受付をスタートしておりますが、一週間あまりが過ぎた現在、残りチケットがしだいに少なくなってきております。

ご参加をご希望のお客様には、お早目のご予約をおすすめいたします。

本公演の概要を、以下に再記します。(チラシ画像→http://kogenbunko.jp/

 

 

軽井沢高原文庫 軽井沢演劇部 朗読会
『ある死刑囚の手紙』

 

◎日時

2016年11月18日(金) 19:00 開演   
2016年11月19日(土) 13:00、 17:30 開演 

※全3回 開場は開演30分前

各回出演者によるアフタートークあり  ★ゲスト 加賀乙彦(11/18)

  

◎会場  東京、明大前 キッド・アイラック・アート・ホール 

京王線、京王井の頭線 明大前より徒歩2分

〒156-0043 東京都世田谷区松原2-43-11

 

◎プログラム

朗読 『ある死刑囚の手紙』 

「ある死刑囚との対話」(加賀乙彦 著)、 「死の淵の愛と光」(加賀乙彦 編) より

 

◎出演  坂本岳大 岩﨑大(Studio Life) 山本芳樹(Studio life)  矢代朝子

◎料金  4000円 (自由席)

◎定員  各回 限定40名

◎予約開始  9月22日(木)  キッド・アイラック・アート・ホールにて受付

         電話 03-3322-5564  メール arthall@kidailack.co.jp

 

制作   軽井沢高原文庫・軽井沢演劇部  http://kogenbunko.jp

協力   キッド・アイラック・アートホール http://www.kidailack.co.jp

 

1953年に起きた「バー・メッカ殺人事件」の犯人、正田昭が獄中より若い女性教師に綴っていた手紙の朗読『死の淵の愛と光』は、さまざまな会場(2013年、軽井沢、睡鳩荘、東京、神田教会、2014年、東京・キッド・アイラック・アートホール)で上演、好評を博しました。

今回は、さらに作家であり精神科医でもある加賀乙彦との書簡『ある死刑囚との対話』を加え、新しく構成、死刑囚正田昭の内面に迫ります。いつ訪れるかわからぬ死と向き合いながら、死刑当日の朝まで書き続けていた手紙を、軽井沢演劇部フルメンバーで朗読いたします。

本年で閉館となる、歴史あるキッド・アイラック・アート・ホールの空間を生かして、最後を飾る公演となれば幸いです。

 

9月も終わります

9月も今日で終わります。さて、来月は、当館の催しとしては、明日10月1日(土)に辻邦生山荘見学会2016③が、10月22日(土)に軽井沢文学散歩(追分編)が行われます。また、現在の夏季特別展「130年の軽井沢」が10月10日で終わり、10月14日(金)から「軽井沢ゆかりの文学を訪ねて」展が始まります。軽井沢タリアセンではハロウィン仮装イベント(全体)、秋限定炭火ロースターいい肉祭り(バーベキューハウス山里野)、蕎麦パスタやアップルパイなどの秋メニュー(レストランソネット)などが用意されています(町内にはけさ、チラシが新聞折込されました)。また、過日、本欄で紹介した軽井沢町主催「軽井沢 紅葉まつり」も始まっています(9/26~11/3)。どうぞ、皆さま、秋の軽井沢にお出かけください。

近況

きのうは、軽井沢町中央公民館の講座があり、2時間ほど、お話してきました。この講座も、毎年テーマを変え、年2回ずつ、今年で5年目、今度で10回が終了することになります。きのうの参加者には、朗読の会のオオルリのメンバーの方もいて、終了後、ご自身が読むことになっている作品(川端康成「白馬」)の台本を見せてくださいました。文学作品を大勢の前で読むというのは、一人で楽しんで読むのと異なり、文学作品との別種の関わり方になるのだろうと思います。きのうは、私が出かけている間、長崎市の遠藤周作文学館学芸員の川崎友理子さんが来館くださったようでした。また、きのうは、ニューヨーク在住の造形作家の宮森敬子さんという方が、ご友人と来られ、来月、軽井沢での初個展をなさるという「PD x EarthⅡ」の資料をお持ちになり、作品制作についての説明を受けました。

当館の夏季特別展終了まで、あと10日あまり

朝、仕事場へくる途中に必ず通ってくる塩沢の桂並木通りは今、美しい黄葉が落ち始めています。塩沢湖畔の「中の島」のモミジも深紅に色づきはじめました! 皆さまのところはいかがですか。さて、当館で現在、開催中の夏季特別展「130年の軽井沢」は、会期終了まで残り10日あまりとなりました。10月10日まで(会期中無休)。皆さま、高原の紅葉を見がてら、どうぞ足をお運びください。

御嶽山噴火から今日で2年

御嶽山噴火から今日で2年がたちました。噴火したのは2014.9.27お昼時。秋の紅葉シーズンの土曜日で、比較的登りやすいと言われた山の頂上付近は、お弁当を広げる人でいっぱいでした。直後、御嶽山(長野・岐阜県境、3067メートル)は噴火し、63人の死者・行方不明者を出してしまいました。被害にあわれた方々、そのご家族にたいし、あらためて謹んでお悔やみ申し上げます。(ここで、一つ指摘しておきたいのは、御嶽山は有史以来、一度も噴火したことがなく、霊峰とも言われる信仰の山でもありました。しかし、1979年に初めて水蒸気爆発し、そして35年後の2014年に再び大噴火となったのでした。現在、御嶽山は噴煙を立ち上げ、頂上付近の神社や山荘の建物の屋根には火山灰が降り積もったままで、硫黄臭も感じられるとのこと。)100の活火山がひしめく日本列島。皆さまの暮らす土地にも、ふだんは静かにしている山があることでしょう。日本列島に生きる私たちは、火山や地震、あるいは台風などとともに生きる存在でもあることを忘れないでいたいと思います。