一つのものを徹底的に磨きあげる。 | 軽井沢高原文庫

一つのものを徹底的に磨きあげる。

一つのものを徹底的に磨き上げて、ほかにないものをつくる。見た人が感激して体を震わせるようなものがあれば、人はかならず集まってきます。私は「感動分岐点を超える」と表現しています。……これはけさの新聞で印象に残った塚本こなみさん(浜松市花みどり振興財団理事長)という方へのインタビュー記事の冒頭部分です(朝日2015.11.17オピニオン/聞き手・諸永裕司)。塚本さんは女性初の樹木医だそう。このお話には私たち文化施設に関わる人間にも大いに学べる何かがあるようです。塚本さんは2年前、赤字が続いて閉鎖の瀬戸際にあった「はままつフラワーパーク」のトップを引き受けました。職員に魅力は何かと聞くと、桜がある、チューリップがある、バラも、ハナショウブも……。でも、決め手がなかった。そこで、塚本さんが注目したのは1500本の桜と50万球のチューリップ。それぞれ特別とは言えないけれど、二つを同時に見られるところは世界にない。ならば、これを目玉にしよう。さまざな改革の末、今日、入園者77万人は3年前の約2.5倍、1億2千万円の黒字がでているそうです。しかもバイトやパートの雇用も切らずに。