終わりよければすべてよし | 軽井沢高原文庫

終わりよければすべてよし

今年で生誕450年を迎えた文豪シェイクスピアの作品をこの機会に、少しずつ読んでいます(小田島雄志訳『シェイクスピア全集』)。「終わりよければすべてよし」は舞台が仏ロシリオン、パリ王宮、フローレンス。悲劇とも喜劇ともいえないこの作品の主役はなんといっても全編を通じ、忍耐強く愛する男性をわが身に引き寄せようとする、行動的で賢い女性ヘレナでしょう。一方、相手役バートラム伯爵は同情の余地の少ない人物として描かれています。これは実際の舞台で見たら、いっそう躍動感にあふれ、面白いように思いました。材源は、ボッカチオの『デカメロン』に求められるのだそう。以前、訳者河島英昭氏から頂戴した講談社文芸文庫『デカメロン』を取り出してみましたが、第3日第9話の部分は残念ながら、「略」となっていました。